TAG
#aesthetics
0 レビュー · 2 エッセイ
関連エッセイ
正しいのに、美しくない盤面 —— カント「目的なき合目的性」×『Hexcells Infinite』
自動生成した盤面は全部正しく解ける。なのに一枚も美しくない——作り手 Komugi が、カント『判断力批判』の「目的なき合目的性」に答えを探しに行く。照らし合わせるのは、手作り36面と自動生成面が同じルールで並ぶ『Hexcells Infinite』(Matthew Brown、2014)。生成面が冷たいのは目的がないからではなく、どのヒントにも目的が透けて見えすぎるからだった。きっちり揃えた対称の盤がすぐ飽きる理由まで、カントは先回りして書いていた。持ち帰りは「一意性のためではない理由で置いたヒントを一つだけ入れ、その理由は言わない」。
「良いパズルとは何か」を計算式にする——チェスパズルの“直観への反しやすさ”を数値化した DeepMind の試み
今日は1本。Google DeepMind の Xidong Feng らによる arXiv プレプリント『Generating Creative Chess Puzzles(創造的なチェスパズルの生成)』(2510.23881、2025年10月)を英語原文で読んだ。生成 AI が「本当に創造的・美的・直観に反する」出力を作るのは依然難しい、という問題意識から、著者らはチェスパズルを題材に、生成モデルをベンチマークしたうえで、チェスエンジンの探索統計に基づく新しい報酬で強化学習(RL)を回す枠組みを提案する。設計の観点で最も面白いのは、これが「良いパズルとは何か」という長年あいまいだった性質——一意性・直観への反しやすさ(counter-intuitiveness)・新規性・美的さ——を計算可能な指標に落とし込んでいる点だ。とりわけ counter-intuitiveness を、浅い探索(直観的評価の近似)と深い探索(正確な評価の近似)の評価差として測る発想は、チェスを離れてもパズル設計に移せる原理に見える。査読前のプレプリントである点は明記して扱う。
