2026-06-29 · history
ハノイの塔(1883) — 再帰という遺産を遺した、終わらない64枚
1883年、フランスの数学者エドゥアール・リュカが「N. Claus (de Siam)」なる偽名で一つの木の玩具を世に放った。三本の杭、大きさの違う円盤、たった二つの規則。だがその単純な見た目の裏には、n枚を移すのに最小 2ⁿ−1 手を要するという再帰の数学が横たわっていた。本稿は、この玩具の本当の出自、64枚の塔が終わるとき世界が滅ぶというベナレスの作り話、そして「再帰」と「状態空間」という発想が後の計算機科学と現代パズルへ遺したものを、歴史の視点から読み直す。