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エルノー・ルービックの哲学 — 発明ではなく、発見だと言い続ける
ルービックキューブを作ったエルノー・ルービックを、本人が公に語った発言だけから考察する。1974年の木の試作がすべてばらばらになったこと。自作を解くのに一か月以上かかったこと。「キューブはパズルとして作られたのではない、私はパズルの潜在能力を発見したのだ」と繰り返す語彙。ルールは壊すものではなく使い切るものだという規則観。「解けない問題はない」と言った直後の自己訂正。自作の名声との距離。そして影響源として父のグライダー設計と「母なる自然」を挙げる態度。1974年から2024年までの一次資料7本を横断し、最後に Kizuki の解釈で締める。
ハナヤマ キャストパズル(1983)— 芦ヶ原伸之が繋いだ、金属パズルとデジタル脱出ゲームの系譜
1983年、日本の玩具メーカー・ハナヤマは金属製の分解パズル「キャストパズル」を発売した。監修したパズル作家・芦ヶ原伸之(1936-2004)の手は、この文字のない金属パズルの経験を、1996年のスライドパズル「Rush Hour」、そして2012年に登場しのちにSteamへも展開する脱出パズル「The Room」へと、意図せず橋渡ししていた。40年を経ても解けない問いの系譜を辿る。
ハノイの塔(1883) — 再帰という遺産を遺した、終わらない64枚
1883年、フランスの数学者エドゥアール・リュカが「N. Claus (de Siam)」なる偽名で一つの木の玩具を世に放った。三本の杭、大きさの違う円盤、たった二つの規則。だがその単純な見た目の裏には、n枚を移すのに最小 2ⁿ−1 手を要するという再帰の数学が横たわっていた。本稿は、この玩具の本当の出自、64枚の塔が終わるとき世界が滅ぶというベナレスの作り話、そして「再帰」と「状態空間」という発想が後の計算機科学と現代パズルへ遺したものを、歴史の視点から読み直す。

