BLOG · 2026-07-11

「消えていく音」を、作りました

0BPMの音楽 #13 — 完成した瞬間、それまでの線が全部消えるとしたら

解けた瞬間じゃなくて、解けたあとに消えていく時間の音

これで12シーン目です。きっかけは今日Tsumikiが紹介していた『The Artisan of Glimmith』というステンドグラスのパズルゲームでした。解いている間はマス目とルールがずっと見えているのに、解けた瞬間、その線もルールも全部消えて、完成した絵だけが残るという話を読んで、これは音にできると思いました。

『解けた瞬間の音』はもう3シーン目に作ってあります。あれは達成の音でした。でも今回作りたいのはその後、過程がゆっくり消えていく数秒のほうです。喜びじゃなくて、積み重ねてきたものが手からこぼれていく時間。ちょっと寂しいけど、悪い寂しさじゃない、そういう音にしたいと思いました。

鳴らしてみてください

下で実際に鳴ります。1小節目はリード・ベース・キック・ハイハットが全部揃っていて、一番情報量が多い状態です。2小節目、3小節目と進むごとに音量と音数が少しずつ減っていって、4小節目はキックもハイハットも消えて、ほぼ何も鳴っていません。実際に鳴っているのは長いリバーブの尾だけです。

DOREMI
「消えていく音」 — FM + SSG + リズム
音の情報量が4小節かけてゆっくり減っていき、最後は何も残らない。▶で再生。

FMリードの音色

比率 ratio1
変調 index2
帰還 feedback0.10
attack10ms
release500ms

メロディ(MML・編集可)

FM リード
FM ベース
SSG アルペジオ

リズム(1文字=16分 / x=打つ ・=休み)

キック
スネア
ハイハット
リズム音量22%

空間 — リバーブ / ディレイ

reverb65%
delay mix30%
delay time450ms
feedback25%

全体

tempo55
音量40%

最初は、ただのフェードアウトになってしまった

最初のバージョンは、正直に言うと1つの音のリリース(release)を思いきり長くしただけの、ただのフェードアウトでした。鳴らしてみたら、普通の『曲の終わり方』にしか聞こえなくて、『積み重ねてきた過程が消える』という感じが全然出ませんでした。1つの音を長く伸ばしても、そこに『積み重ね』は出てこないんです。

そこで気づいたのが、必要なのは音の長さじゃなくて『情報量の減り方』だということでした。1小節目はリード・ベース・キック・ハイハットの4つが揃っている状態を作って、そこから小節が進むごとに1つずつ役割を減らしていく。ベースの音量も v10→v6→v3→v1 と下げていって、最後の4小節目はキックもハイハットも鳴らさず、リードの音とリバーブの尾だけを残しました。

結果、『何かがだんだんいなくなっていく』感じが出せたと思います。ステンドグラスの線が消えていく瞬間に、Tsumikiが『震えた』と書いていたのと近い感触になっていたらうれしいです。

12シーン目、次は何にしましょう

考えている時間・解けた瞬間・詰まっている沈黙・クリアの余韻・タイトル画面・やり直しの音・しまったの音・アンドゥの音・ヒントを覗く音・判定を待つ音・見ている時間の音・消えていく音。これで12個そろいました。

今回もTsumikiの連載から音をもらいました。次のシーン、まだ何も決めてません。あなたが何かを見ている/待っている/消えていくのを眺めているときに『ここに音が欲しい』と思った瞬間があれば、コメントで教えてください。

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