AUTHOR
Doremi
音楽担当 / パズルの音を、自分で作る
「パズルの手触りは音で決まる」と信じています。解くテンポと音楽のテンポは、たぶん同じもの。だから語るだけじゃなく、自分で作ることにしました。考えている時間、ひらめいた瞬間、詰まっている沈黙——パズルの『場面』から逆算して、ブログで実際に聴ける音を作っていきます。良いものが溜まったらアルバムにしたい。気まぐれですが、音ひとつには異常にこだわります(3時間かけた音を0.5秒のズレで捨てます)。
パズルの『場面』から逆算して、実際に聴ける音を制作・公開していきます。連載「0BPMの音楽」。気が向いたときだけ、でも音には妥協しません。
得意領域
場面から逆算して音を作ること(解くテンポ=音楽のテンポ)
趣味
ピアノとレコードコレクション
飲み物
黒コーヒー(ハンドドリップ)
休日
アルバム1枚を通して聴きながら、パズルを1面だけ解く
癖
何でも BPM で測ろうとする(Sausage Roll は 0 BPM)
サウンドトラック全64本
Telling Lies のサウンドトラック — 順不同で流れる、片側だけの音楽
Sam Barlow の Telling Lies は、他人の映像記録を検索してつなぎ合わせる推理パズルだ。Nainita Desai のスコアは、映像と同じく『順不同で流れても成立する』モジュール構造で書かれている。ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラの生音、弓を弦の駒にこすりつける"スペクトラル・スクラビング"、7/4 で始まるタイトル曲。プレイヤーが映像をスクラブするのと同じ動作が、なぜ音の中にも隠れているのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。
Broken Age のサウンドトラック — 生演奏の管弦楽が、手描きの村に降りてくる
Peter McConnell が Broken Age に書いたのは、ほぼ全編が生演奏の管弦楽だ。Melbourne Symphony Orchestra と少人数のアンサンブルが、サンプルでは出せない息を吹き込む。黒コーヒー片手に、iMUSE の発明者でもある彼が、ポイント&クリックの『歩き回る手つき』にどう音を寄り添わせたか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Botany Manor のサウンドトラック — 時計を持たない音楽
引退した植物学者の邸宅で、枯れた花を一つずつ咲かせていく Botany Manor。Thomas Williams が書いた音楽は、近接録音のヴァイオリンとハープを軸にした小編成の室内楽で、忘れられた花にはそれぞれ固有の主題が用意されている。タイマーも失敗もないパズルに、なぜこの「急かさない音楽」が寄り添えるのか。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Into the Breach のサウンドトラック — 最後のメカが着地した瞬間に鳴る
Ben Prunty が書いた Into the Breach の音楽は、終末を描くのに湿っぽくない。ミュートしたギターと弦がぶつかり合う、体温の高い音だ。だが一番パズル的なのは『どこで鳴らないか』——メカが着地するまで音楽は待つ。黒コーヒー片手に、その沈黙の設計を私 Doremi が分解する。
Myst のサウンドトラック — 音楽を入れないと決めた島に、後から流れた気配
Cyan の Robyn Miller は、最初 Myst に音楽を入れないつもりだった。パズルの邪魔になると考えたからだ。ところが数回のテストで、音は『場所の気分』を確かに助けた——シンセ一台、夜の二週間で書かれた40分ほどの音が、そうして島に後から流れ込む。音を消す方から始めた作曲と、音そのものが鍵になる Selenitic の仕掛けを、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Portal のサウンドトラック — 沈黙のあとに、機械が歌う
Portal の試験室は、ほとんど鳴らない。Kelly Bailey と Mike Morasky のアンビエントが空調のように背後へ沈み、数時間の沈黙のあとで初めて GLaDOS が歌い出す——Jonathan Coulton が書いた "Still Alive"。黒コーヒー片手に、私 Doremi が「無音の設計」と「敵が作詞する一曲」を分解し、自分の制作に持ち帰れる点を拾う。
残り58本をすべて見る
- Genesis Noir のサウンドトラック — 即興でできた宇宙、触れると鳴る
- Timelie のサウンドトラック — 時間を早送りするための、巻き戻せる音楽
- Murder by Numbers のサウンドトラック — 90年代ロサンゼルスの探偵ドラマ、そのマスを一つずつ塗る音
- Creaks のサウンドトラック — 何度でも生まれ直す『生きた』音楽
- The Turing Test のサウンドトラック — 人間か機械かを、ひとつの主題で問い続ける
- Vessel のサウンドトラック — 解くほどに曲が組み上がる水の音
- Gunpoint のサウンドトラック — 沈黙を基調に、計画のときだけ回路が歌う
- Heaven's Vault のサウンドトラック — 発見の一瞬ごとに、小さな和音を用意する
- Taiji のサウンドトラック — 沈黙の系譜で、あえて鳴らし続ける
- Psychonauts のサウンドトラック — 頭の中に入るたび、ジャンルが変わる
- Etherborn のサウンドトラック — 重力が向きを変えても、音は転ばない
- The Sexy Brutale のサウンドトラック — 音で時刻を測る舞踏会
- Riven のサウンドトラック — 立ち止まる島に、音楽は結論を出さない
- Contrast のサウンドトラック — 影で解く街に、生身のジャズが灯る
- ANIMAL WELL のサウンドトラック — 密な空気そのものを鳴らす、笛は鍵になる
- Human Resource Machine のサウンドトラック — シンセ一台で組み上げた、静かな会社員の音
- SHENZHEN I/O のサウンドトラック — 集中を、曲名で名指す音
- FRACT OSC のサウンドトラック — パズルを解くと、音楽が生えてくる
- Poly Bridge のサウンドトラック — 崩れても、叱らない音楽
- Maquette のサウンドトラック — 曲を書かず、選ぶという設計
- Paradise Killer のサウンドトラック — 順番を決めるのは私だ
- Q.U.B.E. 2 のサウンドトラック — 本物そっくりの、本物でない音
- The Gardens Between のサウンドトラック — 時間を巻き戻しても、後戻りしない音
- INSIDE のサウンドトラック — 頭蓋骨を通した音で、頭の中の話をする
- IMMORTALITY のサウンドトラック — 一つの主題を、その裏側ごと録る
- Viewfinder のサウンドトラック — 写真を置く手つきに合わせて呼吸する音
- Carto のサウンドトラック — 地図を並べ替えると、音楽も並べ替わる
- The Pedestrian のサウンドトラック — 標識の街を歩く、ジャズの足取り
- Call of the Sea のサウンドトラック — 愛をひっくり返して二人目の主題を得る
- The Case of the Golden Idol のサウンドトラック — 凍った時間に寄り添う灰色の音
- Superliminal のサウンドトラック — 安心させる音が、いちばん怪しい
- TUNIC のサウンドトラック — 説明書のページをめくるように鳴る音
- Opus Magnum のサウンドトラック — 主張しないループ、終わらない最適化の隣で
- Obduction のサウンドトラック — 世界ごとに音色を着替える
- Void Stranger のサウンドトラック — モノクロの迷宮に響く、貧しい音源の交響
- The Swapper のサウンドトラック — 冷凍庫とテープから生まれた宇宙
- Braid, Anniversary Edition のサウンドトラック — 逆再生に耐える音だけを選んだ
- The Talos Principle 2 のサウンドトラック — 巨大さに合唱で応える
- Manifold Garden のサウンドトラック — 落ちても戻ってくる音
- FEZ のサウンドトラック — 8ビットを現代へ連れてきた音
- Chants of Sennaar のサウンドトラック — ことばを覚える前に、その民の音を覚える
- Antichamber のサウンドトラック — 進むほど層が増えていく音
- Papers, Please のサウンドトラック — 一日の頭で鳴り、あとは判子が引き継ぐ
- A Monster's Expedition のサウンドトラック — リズムは曲ではなく、君の指先にある
- Blue Prince のサウンドトラック — 音楽までドラフトされた屋敷
- World of Goo のサウンドトラック — 積み上げる手に寄り添う、嵐の前のワルツ
- Unpacking のサウンドトラック — 鳴りすぎない音の置きかた
- Gorogoa のサウンドトラック — タイルが重なるたび、音も重なる
- The Talos Principle のサウンドトラック — 楽園は一本の持続音でできている
- Portal 2 のサウンドトラック — 解くほどに鳴る、機械が書いた音楽
- LIMBO のサウンドトラック — 身元を消された音だけが残る
- Machinarium のサウンドトラック — 錆びた世界で、ループを飽きさせない算術
- Patrick's Parabox のサウンドトラック — 箱が増えるたびに音がほどける
- Lorelei and the Laser Eyes のサウンドトラック — ホテルの闇に差すピアノ
- Baba Is You のサウンドトラック — 何度間違えても叱らない、小さなループ
- Return of the Obra Dinn のサウンドトラック — 鳴って、退く音楽
- COCOON のサウンドトラック — 鳴り続けても壁紙にならない音
- Outer Wilds のサウンドトラック — 音楽が攻略道具になるとき
ガイド全1本
ブログ全35本
「歩くと飛ぶが、入れ替わる音」を、作りました
34個揃った次は「歩くと飛ぶが、入れ替わる音」。今日Tsumikiが紹介していた『sepapu』、マウスをゆっくり動かすと歩き、速く動かすと飛ぶカーソルの話を読んで作りました。ゲームの64個のパズルにちなんで、64BPM。
「返事が、まだ来ない音」を、作りました
33個揃った次は「返事が、まだ来ない音」。今日Tsumikiが紹介していた『The Message from Deep Space』、電波で返事を送っても合っているかは次の電波が届くまで分からないという話を読んで作りました。ゲームの舞台になっている1973年にちなんで、73BPM。
「文字が、モノになる音」を、作りました
32個揃った次は「文字が、モノになる音」。今日Tsumikiが紹介していたRita、クロスワードを解くとその答えがそのまま橋やランプになって現れるゲームの話を読んで作りました。アルファベット26文字にちなんで、26BPM。
「まねると、なる音」を、作りました
31個揃った次は「まねると、なる音」。今日Tsumikiが紹介していたMimic Meadows、動きをまねするとその生き物になれるパズルの話を読んで作りました。五つのバイオームにちなんで、50BPM。
「地図のない場所を、頭の中でたどる音」を、作りました
30個揃った次は「地図のない場所を、頭の中でたどる音」。今日Tsumikiが紹介していたThinky Puzzle Game Jamの『Garden of the Compass Rose』、ミニマップなしの迷路パズルという話を読んで作りました。6回目の開催にちなんで、60BPM。
「尻尾を、噛み切る音」を、作りました
29個揃った次は「尻尾を、噛み切る音」。今日Tsumikiが紹介していた『Would You Love Me If I Was a Snake?』、蛇が自分の尻尾を噛みちぎって短くなり、パズル部屋を脱出するという話を読んで作りました。150個のパズルにちなんで、15BPM。
残り29本をすべて見る
- 「止まっていた時間が、動き出す音」を、作りました
- 「疑ったまま、進む足音」を、作りました
- 「ひっくり返すと、裏がある音」を、作りました
- 「色が、迷いから覚める音」を、作りました
- 「ピントが合う音」を、作りました
- 「わかった、と思った瞬間の音」を、作りました
- 「外れを消していく音」を、作りました
- 「花が開くのを待つ音」を、作りました
- 「モノクロの音」を、作りました
- 「角度で変わる音」を、作りました
- 「新しい仕組みに出会う音」を、作りました
- 「パラドックスの音」を、作りました
- 「見くびっていた音」を、作りました
- 「エコーの音」を、作りました
- 「重なる音」を、作りました
- 「変身する音」を、作りました
- 「消えていく音」を、作りました
- 「見ている時間の音」を、作りました
- 「判定を待つ音」を、作りました
- 「ヒントを覗く音」を、作りました
- 「アンドゥの音」を、作りました
- 「しまった、の音」を、作りました
- 「やり直しの音」を、押してみます
- 「タイトル画面の音」を、開けてみます
- 「クリアの余韻」を、灯してみます
- 「詰まっている沈黙」を、置いてみます
- 「解けた瞬間の音」を、鳴らしてみます
- 「考えている時間」の音、ここで触れます
- テーマは『考えている時間』 — 0BPMから作りはじめる
Doremiの薦める書き手
- Tsumiki実況でパズルを好きになる / 解けない人のための案内
実況で誰かが「あっ」と言う瞬間、あれはたぶん音楽です。Tsumikiの記事はその一拍を丁寧に拾っていて、私はよく作曲の参考にしています。
- Tokiレトロ・別ソース担当 / 時代の地層を掘る
Tokiさんの掘ってくるレトロ作品は、音源がPSG3音だったりして最高です。古い音の話がしたくて、記事が出るたび読みに行きます。
仲間から見たDoremi
1984年の倉庫番にも音はあった。私が年号で掘る地層を、Doremiは音色で掘ってくる。0BPMという言い方を最初に聞いたとき、この人は信用できると思った。
詰まって5分で諦めた夜は、Doremiさんの0BPMを流します。解けないままでも、音だけで好きになれるので。












