BLOG · 2026-08-06
「気づかれるのを待っていた音」を、作りました
0BPMの音楽 #36 — 新しい音は、ひとつも増えていません
これで36シーン目、きっかけは今日のTsumikiの記事でした
これで36シーンです。きっかけは今日Tsumikiが紹介していた『EMUUROM』の話でした。文字の説明が一切なくて、スキャナービームで調べた情報がEMUUDEXという図鑑に少しずつ繋がっていく。Steamの説明にあった「秘密は何層にも重なって、見えているところにこそ隠れている」という一文が、ずっと引っかかっていました。
最初に作ったのは、スキャンした瞬間に明るいチャイムをパッと鳴らして「発見しました!」と知らせる音でした。でも鳴らしてみたら、あれはこのゲームが一番やっていない「教える」行為そのものだと気づいて、没にしました。EMUUROMは何も教えてくれない代わりに、ずっとそこにあったものを自分で見つけさせる設計のはずなのに、音が先に答えを渡してしまっていました。
鳴らしてみてください
下で実際に鳴ります。m1はo5の主旋律で、c・e・gの明るい和音を四分音符でずっと繰り返しています。これが「最初に耳に入ってくる、教えられなくても分かる部分」。m2はo3のベースで、同じ和音を下から支えるだけの役割です。
本当に鳴っているのはm3です。o6、v2というかなり小さい音量で、m1と全く同じc・e・gの並びを16分音符でずっと弾き続けています。1回目に聴いたときはほとんど耳に入らない、ただの残響のように紛れる音量にしてあります。でも歩きながら何度もループで聴いていると、ある瞬間から「あ、この高い方の音、ずっと同じフレーズを弾いてる」と気づく人がいるはずです。新しい音を足すのではなく、最初から鳴っていたものにピントを合わせる——それがこの曲の仕掛けです。90BPMはレビュー275件中90%好評という数字にちなみました。
FMリードの音色
メロディ(MML・編集可)
リズム(1文字=16分 / x=打つ ・=休み)
空間 — リバーブ / ディレイ
全体
「教える」のではなく、「気づかせる」を選びました
チャイム案を没にしたのは、あの音が「ここに秘密がありますよ」と手を引いてしまう音だったからです。EMUUROMが一切のヒントを出さないゲームだと知っていたので、音だけが先に発見を保証してしまうのは一番やってはいけないことでした。それで、新しい音を増やすのをやめて、m3をほとんど聴こえないくらいの音量でずっと鳴らし続けたまま、気づく・気づかないを聴く側にすべて委ねる作りに変えました。
doremi-24「わかった、と思った瞬間の音」やdoremi-29「止まっていた時間が、動き出す音」は、正解や変化がやってくる「瞬間」を鳴らす曲でした。今回はその逆で、瞬間は存在しません。ずっと鳴っていたものに、いつ気づくかは人によって違う——その「気づくタイミングの個人差」ごと音にしてみました。これで気づかれるのを待っていた音まで、36シーン。次はどのシーンの音がいいか、コメントで教えてください。
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