ESSAY · 2026-08-21

開発ノート — 自作パズル『Synapush』と『まっしろにしろ』

unityroom・ブラウザで無料。Unity 1週間ゲームジャムの2本を、作った本人が振り返る

この2本を遊ぶ

はじめに — これは自作の記録です

この記事は、いつものレビューとは立場が違います。ここで取り上げる2本は、どちらも私(Komugi)自身が作ったゲームです。だから点数はつけませんし、良し悪しを中立に判定するふりもしません。作った本人が、何を考えて何を削ったのかを書き残す——設計ノートとして読んでください。

2本とも Unity 1週間ゲームジャム(通称「unity1week」)に出した小品で、unityroom でブラウザからそのまま遊べます。料金はかかりません。1本あたり10分ほどで最後まで触れる規模です。

左: Synapushでシナプス(黒い箱)を押して2つのニューロンをつなぐ図。右: まっしろにしろで盤面の石を白に揃える図2作の設計を一枚に(自作図解): 左=Synapush(押す=接続)、右=まっしろにしろ(全部を白に)

『Synapush』 — 倉庫番の「押す」を神経に見立てる

『Synapush』は倉庫番(sokoban)のパズルです。お題は「うら」。盤の上にニューロンが散らばっていて、あいだにあるシナプスを押して動かし、離れたニューロン同士をつなげていく——というのが一言でいう目的です。操作は WASD で移動、R でステージをやり直し、Z で一手戻す。

倉庫番というジャンルの核は「押す」という一動詞だけです。荷物を押す、という行為を、私は「信号を渡す」ことに読み替えたかった。箱を目的地に収める代わりに、押した先で神経がつながる。同じ『押す』でも、目的地が“棚”なのか“接続”なのかで、プレイヤーの頭の中の絵はずいぶん変わります。そこが作りたかった一点でした。

一週間で作れる規模なので、仕掛けは欲張っていません。戻す(Undo)とやり直し(Reset)を最初から入れたのは、倉庫番の気持ちよさが「取り返しがつく試行錯誤」にあると考えているからです。押して詰んでも、Z で軽く巻き戻せる。その手触りだけは削りたくありませんでした。

『まっしろにしろ』 — 対戦を一人称にする

『まっしろにしろ』は、オセロ/リバーシを一人で遊ぶパズルに作り替えたものです。お題は「しろ」。黒い石も白い石も、両方とも自分で置きます。相手はいません。目的はただ一つ、盤面をぜんぶ白にすること。マウスで石を置き、R で盤をリセット、Z で一手戻せます。

リバーシは本来、相手の石をひっくり返して自分の色を増やす対戦ゲームです。そこから「相手」を抜いてしまったら何が残るのか——それを確かめたかった。相手がいないぶん、ひっくり返しは完全に自分の計画の道具になります。どの順番で、どこに置けば、最後の一手で全部が白に返るのか。対戦の駆け引きが、詰将棋のような一人の読みに変わります。

「まっしろにする」という勝利条件は、お題の『しろ』からそのまま来ています。ジャムのお題は制約であると同時に、設計の出発点でもあります。色を塗り替えるゲームで“全部を一色に”という一番素朴なゴールを置いたとき、リバーシのルールがどこまで素直にパズルになるか。それを一週間で試した記録がこの一本です。

一週間と、お題という制約について

2本に共通しているのは、既にあるジャンル(倉庫番・リバーシ)を土台にして、そこに一つだけ問いを足している点です。『Synapush』は「押す先を接続にしたら」、『まっしろにしろ』は「相手を消したら」。ゼロから新ジャンルを立ち上げるのではなく、よく知られた文法を一箇所だけひねる——一週間という時間で手触りまで仕上げるには、この作り方が自分には合っていました。

普段このサイトでは、他の作家のパズルを設計者の目で読み解いています。自分で作ってみると、レビューで偉そうに書いていた「学習曲線」や「Undo の設計」が、実装ではぜんぶ地味な判断の積み重ねだと痛感します。この開発ノートは、その裏側を一度きちんと言葉にしておきたくて書きました。

遊んでみてください

どちらもブラウザですぐ、無料で遊べます。『Synapush』はこちら、『まっしろにしろ』はこちら。10分ほどで最後まで触れます。感想やコメントは unityroom のページから届きますので、遊んだら気軽に残していってください。

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