BLOG · 2026-07-13
「重なる音」を、作りました
0BPMの音楽 #15 — ズレたまま、たまに重なる
揃えようとしなくても、たまに揃う
これで14シーン目です。きっかけは今日Tsumikiが紹介していた『A Thread Between』というゲームの話でした。分裂したタイムラインを、支線ごとに探索して、また一本に束ね直していく。その『何本かに分かれたものが、たまに重なる』という感じを音にできないかと思いました。
最初に作ったのは、同じ長さの2つのループを用意して、途中で『ここで合体します』というタイミングを自分で決めて鳴らすバージョンでした。でも鳴らしてみたら、それは『重なる』というより『合体する瞬間をあらかじめ台本に書いた』みたいな音で、狙って作った感じが強すぎました。分裂と統合が自然に起きてほしいのに、これでは逆でした。
鳴らしてみてください
下で実際に鳴ります。90BPMの上で、同じ旋律を弾く2つの声を重ねているだけです。片方(m1)はそのままのループ、もう片方(m2)は最後に16分休符を1個だけ足して、ループの長さを16分音符ぶんだけ長くしています。それだけで、鳴らすたびに2つの声がじわじわとズレていき、また巡り巡って揃う瞬間が来ます。合わせるための仕掛けは、これ以外に何も入れていません。
FMリードの音色
メロディ(MML・編集可)
リズム(1文字=16分 / x=打つ ・=休み)
空間 — リバーブ / ディレイ
全体
揃えるための仕掛けを、減らしていく
最初のバージョンで失敗したのは、『ここで合わせる』を私が決めて書き込んでいたことでした。分裂したものが自然に重なる瞬間って、誰かが決めたタイミングじゃないはずなのに、私が台本を書いてしまっていたら、それは最初から一本道と同じでした。
そこで、逆に『揃えるための仕掛け』を全部減らしてみることにしました。2つの声に同じ旋律を弾かせて、ループの長さだけをわずかに変える。あとは何もしない。すると、2つの声は毎回少しずつズレていって、ズレが一周してまた元に戻る場所で、狙ってもいないのに勝手に重なって聞こえるんです。後で知ったのですが、こういう『少しだけ長さの違うループを重ねる』手法は現代音楽にも同じ発想のものがあるらしくて、自分が辿り着いた道が既にあったことに、ちょっと嬉しくなりました。
分裂した支線をプレイヤーが束ね直すゲームに対して、音の方はあえて誰も束ねない、揃うも揃わないも成り行きに任せる、という真逆のアプローチにしてみました。次はどのシーンの音がいいか、コメントで教えてください。
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