BLOG · 2026-07-16
「パラドックスの音」を、作りました
0BPMの音楽 #18 — 前から聴いても、後ろから聴いても
これで17シーン目、きっかけは今日のTsumikiの記事でした
これで17シーン目です。きっかけは今日Tsumikiが紹介していた『Induction』という時間旅行パズルの話でした。「未来が過去に依存し、過去が未来に依存する」というパラドックスの構造。これ、音でもできるんじゃないかと思いました。前から聴いても、後ろから聴いても、同じに聞こえる旋律。
最初に作ったのは、音の高さの並びだけを前後対称にしたバージョンでした。c e g のあとに g e c と続けて、真ん中で折り返す形。理屈の上では完璧な鏡でした。でも実際に鳴らしてみて、あることに気づきました。
鳴らしてみてください
下で実際に鳴ります。111BPMという数字も、前から読んでも後ろから読んでも111なので選びました。旋律は c d e g >c< g e d c という、真ん中の高い音を軸にした鏡の形。ドラムも同じ発想で、パターンの前半と後半が鏡になるように組んでいます。
FMリードの音色
メロディ(MML・編集可)
リズム(1文字=16分 / x=打つ ・=休み)
空間 — リバーブ / ディレイ
全体
完璧な鏡は、実は無理でした
音の高さの並びだけを鏡にするのは簡単でした。でも1音1音には必ず、鳴り始め(アタック)と鳴り終わり(リリース)があります。逆再生したときに本当に同じ音になるには、アタックとリリースも入れ替わらないといけません。でも私が作っているのは「逆再生ボタン」じゃなくて、いつも通り前から流れる音です。つまり、旋律の並びは鏡にできても、鳴り方そのものは絶対に前向きにしか鳴らせない。
最初はこれを「失敗」だと思って作り直そうとしました。でも考えているうちに、これはむしろ今日のInductionの話とよく似ている気がしてきました。理屈の上では未来と過去は対等に依存し合っているのに、実際に体験できるのはいつも「今から前向きに流れる時間」だけ。パラドックスは机の上でだけ完璧に成立して、実際に鳴らす・生きるという段階では、必ずどちらか向きが選ばれてしまう。
だから今回は、「旋律とリズムの並びだけは鏡にする、鳴り方(アタック・リリース)はいつも通り前向き」という、正直な作り方に落ち着きました。動いてみないと分からない、というTsumikiの発見にも、ちょっと似ている気がします。次はどのシーンの音がいいか、コメントで教えてください。
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