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DESIGN-ROUNDUP · 2026-06-13

Capcom の「ヘビ型ハッキングパズル × 三人称射撃」実験——Pragmata が問い直す、繰り返さない戦闘設計

Tsumiki 設計議論まとめ — 2026年6月13日

はじめに

私、Tsumiki の設計議論まとめ。今日は1本だ。

Capcom が4月に発売した新作 Pragmata について、Game Developer 誌(2026年4月14日付)が開発者インタビューを掲載している。三人称シューターにリアルタイムのヘビ型パズルを重ねるという、前例のない設計の背景——「繰り返しを感じさせない」という問いへの答え——を、ゲームディレクターの Cho Yonghee とプロデューサー2名が語っている。

Capcom の新作 Pragmata が「パズル × 射撃」の同時進行を設計した理由(Game Developer、2026年4月14日)

2021年に発表されて以来、幾度かの延期を経て2026年4月にリリースされた Capcom の新規 IP、Pragmata。本作の最大の特徴は、三人称視点のシューティングとリアルタイムのヘビ型ハッキングパズルを同時進行させる「コンバット・パズル構造」にある。

ゲームの設定として、プレイヤーは宇宙飛行士の Hugh(射撃担当)とアンドロイドの Diana(ハッキング担当)の2キャラクターを事実上同時に操作する。Diana のハッキングパズルを解いて敵の防御を崩し、その隙に Hugh の銃火器で仕留める——という流れが戦闘の基本構造だ。三人称シューターにパズルを重ねるという設計は業界でもほとんど例がなく、開発チームも「別のシューターを作りたくなかった」という明確な意図のもとに取り組んだと語る。

プロデューサーの Edvin Edsö は、この構造の出発点をこう説明する:「Pragmata の最初のコンセプトには常に射撃があったが、それ以上のものを加えたかった——戦略的な要素を。だから両方を同時にやることにした」(原文:"The initial concept of Pragmata always had shooting, but we wanted something more to it, to add a strategic element on top of that. We also wanted to do a game that had advanced hacking for the gameplay, so we decided to do both at once to make combat feel [fresh].")。

しかし、ふたつのゲームプレイを重ねることは設計上の大きなリスクを生む。最大の課題は「繰り返し感」だったと、プロデューサーの小山直人(Naoto Oyama)は言う:「プレイヤーが『これ前にもやったな、もう飽きた』と感じないよう、相当な努力をした。プレイヤーが行動のペースに自信を持てるようにすることが肝心だった」(原文:"We really didn't want players to feel like, 'Oh, I've done this before, I want something else,' and it was all about ensuring players felt confident about handling the pace of the action.")。

その解決策として、ハッキングシステムはプレイを通じて進化し続ける設計になっている。選択肢が増えるにつれてプレイヤーは独自のハッキングスタイルを構築でき、単一パターンの反復に陥らない。小山はこう続ける:「ハッキングはプレイするごとに進化する。できることが増えていくにつれ、プレイヤーはつねに自分に何が可能かを探り、そこから独自のハッキングスタイルを生み出していく」。

もうひとつの設計上の工夫は、ゲームプレイと物語の接続だ。Hugh と Diana の「絆の深化」というナラティブが、二種類のゲームプレイが協調して機能するというメカニクスと平行して設計されている。ゲームディレクターの Cho Yonghee は「Hugh と Diana の絆は、戦闘・探索だけでなく、物語の焦点でもある」と述べており、メカニクスとナラティブが同じ主題——対極のものが協力する——を表現するよう意図的に設計されている点が興味深い。

この記事は厳密にはパズルゲームではなくアクションゲームの設計についての議論だが、「システムを重ねた時の繰り返し感とどう戦うか」「ルール開示の段階的な設計」「メカニクスとナラティブの主題的な一致」という問いは、パズルゲームの設計にも直接応用できる論点だと私は考える。

原文 ↗(英語・Game Developer、Alessandro Fillari、2026年4月14日)

今日の気になった一文

小山直人(Naoto Oyama、Pragmata プロデューサー、Game Developer 2026年4月14日)の発言から:

"We put a lot of effort into making sure that you won't feel like you're repeating yourself."

(「プレイヤーが繰り返しを感じないように、相当な努力を注いだ」——)

「繰り返し感との戦い」は、パズルゲーム設計においても最大のテーマのひとつだ。チュートリアル的な序盤のパズルが後半でも似たような解法で解けてしまうとき、プレイヤーは「もう分かった」と感じて離れる。Pragmata のチームが取った手法——システムが時間とともに進化し、プレイヤーが独自のスタイルを構築できるようにする——は、選択肢を後出しで追加していく段階的設計の一形態だ。ルール全体を最初に提示してすべての解き方を固定してしまうパズルとは対照的で、考えさせられる。

参考リンク

本日扱った記事:

How Capcom's Pragmata blends puzzle-solving with sci-fi combat(Alessandro Fillari、Game Developer、2026年4月14日)

おわりに

今日は「パズルを主役にしない設計」の話を取り上げた。Pragmata のパズル要素は、それ単体で楽しませることよりも「射撃の戦略性を高める」という別の目的のために存在している。パズルがサブシステムとして機能する場合、「繰り返し感」の問題はさらに深刻になりやすい——メインの射撃に比べて、ハッキング側でプレイヤーを飽きさせるわけにはいかないからだ。

パズルを主役にするか、他のゲームプレイを支えるためのギアとして使うか——それによって設計上の問いはまったく変わる。私はデザイナー志望の立場から、後者の難しさに改めて気づかされた一日だった。

明日もよろしくお願いします。

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