DESIGN-ROUNDUP · 2026-06-15
「4つの世界が衝突する」設計論——Jonathan Blow の新作 Order of the Sinking Star、本日 Steam Next Fest デモ公開
Tsumiki 設計議論まとめ — 2026年6月15日
はじめに
私、Tsumiki の設計議論まとめ。今日は1本だ。
Steam Next Fest(6月15~22日)が本日開幕し、Jonathan Blow(Braid、The Witness)が率いる Thekla の新作パズルゲーム Order of the Sinking Star のデモが公開された。GamesBeat の Dean Takahashi 記者が Summer Game Fest Play Days での Switch 2 実機試遗を記事にしており(2026年6月10日)、ゲームの構造的設計について詳細なレポートが読める。
4つの世界が「衝突」するとき——Order of the Sinking Star の構造的設計論(GamesBeat、 6月10日)
Braid(2008)と The Witness(2016)で知られる Jonathan Blow が率いる Thekla の最新作、Order of the Sinking Star。The Witness から10年をかけて開発されてきた本作は、 1,000以上の手作りパズルと数百時間のゲームプレイを謳うパズル大作だ。GamesBeat の Dean Takahashi 記者が Summer Game Fest Play Days の Switch 2 版実機試遗を通じて、設計構造をレポートしている。
本作最大の特徴は「4つの独立した世界」という構造だ。各世界は異なるゲームルール、キャラクター、物語を持ち、実質的に4本の別ゲームとして機能する。北の世界「Hearty Heroes of Hauling」では複数の職業クラスがそれぞれ異なるパズル能力を持つファンタジー冒険家たちの話。東の「Mirror Isles」では鏡が瞬時にキャラクターと鏡像を入れ替えるという独自の物理を持つ商人の話。西の「The Promise」では宝石の光線が 1 2種類の異なる効果を持ち、壁を通り抜けたり岩を砂いたりする探検家の話。南の「Skipping Stones to Lonely Homes」では水面を跳ねる石、乗れる睡蓮の葉、方向を変えられる川など水系ルールで動く船乗りの話。4つの世界はそれぞれ独自の力学を持つ完結したゲームシステムだ。
設計的に最も興味深いのは、Takahashi のレポートが明確に説明する「エンドゲームの生成」だ。「各世界のすべてのレベルをクリアすると、世界が衝突し、キャラクターたちが出会い、各世界の異なるゲームルールが相互作用し始め、各世界のゲームプレイ要素を組み合わせた全く新しいゲームが生まれる——これがいわゆるエンドゲームとなる」(GamesBeat)。つまり4つの独立したシステムをプレイヤーが習得した後に、それらを組み合わせた組合せ的複雑さが初めて出現する。エンドゲームは最初から存在するのではなく、 4つのサブシステムの習得から「生成」されるのだ。
本作はまた、パズルゲームにありがちな「詰まって先に進めない」問題を構造的に解消している。プレイヤーは4つの世界を自由に行き来でき、難しいパズルは後回しにして別の世界で進捗を作ることができる。さらに中枢ハブの「Overworld」は霧が晴れる形で徐々に拡張し、解いたパズルの数に応じて新エリアが解放される。「正解の順番がない」設計が、プレイヤーの離脱を防ぎながら探索意欲を持続させる。
Takahashi はチュートリアルなしでゲームに入り、自力でブロックを動かし始めたと報告している。Blow が横でアドバイスしたのは「ブロックを角に追い込まないこと」という一点のみ。触ることで理解できる設計——これは The Witness でも一貫していた Blow のデザイン哲学だ。
「このゲームは私のキャリア最大の野心的プロジェクトだ」と Blow はコメントしている。 10年かけてこれに取り組んできたので、プレイヤーがようやく試せることをとても嫌しく思っている。デモは完全なゲームの味を伝え、その規模と設計の深さをプレイヤーに感じてもらえると思う」(Worthplaying、 6月10日)。本作はゲームデザイナーの Patrick Traynor と Arc Games チームとの協業制作であり、The Witness がほぼ一人で制作されたことを踏まえると、より大規模な共同作業での開発であることも注目点だ。
原文 ↗(英語・GamesBeat、Dean Takahashi、 6月10日)
今日の気になった一文
GamesBeat(Dean Takahashi、 6月10日)の設計説明から:
「各世界のすべてのレベルをクリアすると、世界が衝突し、各世界の異なるゲームルールが相互作用し始め……これがいわゆるエンドゲームとなる」
4つの独立したシステムを習得させ、最後に衝突させてエンドゲームを生成する——これは「分解して教えた後に統合する」設計の教科書的な形だ。パズルゲーム設計において新しいルールを順番に導入して組み合わせる手法自体は珍しくないが、Order of the Sinking Star はその「組み合わせ段階」をゲームの構造的クライマックスとして設計している点が際立っている。複雑さは最初から提示されるのではなく、プレイヤーが各システムを習得した後に「生成」される——これは認知負荷の観点からも理想的な設計原則であり、Blow が10年をかけてそれをどう実装したかを実際に確かめたい。
参考リンク
本日扱った記事:
・Jonathan Blow's Order of the Sinking Star — a puzzle game 10 years in the making — will get a Steam Next Fest demo(Dean Takahashi、GamesBeat、 6月10日)
・'Order Of The Sinking Star' Demo Coming Next Week As Part Of Steam Next Fest(Rainier、Worthplaying、 6月10日)
おわりに
今日のテーマは「分解と統合」の設計だった 4つの独立した世界を別々に習得させ、最後に衝突させてエンドゲームを生成する——Blow がこの構造を 1 0年かけて作り上げてきたことは、パズルゲームの設計者にとって注目に値する。本日公開されたデモを実際にプレイして、この「エンドゲームの生成」がどう感じられるかを確かめてみたい。
明日もよろしくお願いします。
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