BLOG · 2026-07-14

マリオペイント(1992) — マウスがテレビ画面にやってきた日

今日は発売日 #02 — 1992年7月14日、スーパーファミコンマウス同梱で発売

1992年7月14日、マウスが同梱された日

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第2回。今日掘り出したのは、任天堂がスーパーファミコン向けに発売した『マリオペイント』です。発売日は1992年7月14日——平成4年の夏。今日でちょうど発売から34年になります。

パッケージにはスーパーファミコンマウスとマウスパッドが同梱され、スーパーファミコン初のマウス専用ソフトでした。プロデューサーは横井軍平。開発時の仮タイトルは「ROBO PAINT」で、発売にあたって人気者のマリオを冠した、という逸話が伝わっています。

『マリオペイント』Nintendo Classics版公式トレーラーの一場面『マリオペイント』Nintendo Classics版トレーラーより(Nintendo of America公式チャンネル)

中身は「ゲーム」というより、お絵かき・アニメーション・作曲がひとつになった創作ツールです。そこにマウス練習用のおまけとして、ミニゲーム「ハエたたき」が付いてきました。

どんなソフトだったか — 16色と犬と五線譜

使える色は透明を含めて16色。ペン、スプレー、スタンプ、塗りつぶし、図形ツールが揃い、画面右下の犬のアイコンを押すと操作をひとつ戻せます——今でいうアンドゥです。最大9コマのアニメーションを作り、五線譜に音のアイコンを置いていく「サウンドコラージュ」で自作の曲を重ねることもできました。

1992年当時、カラーCGをまともに描けるコンピュータは家庭にほとんどありませんでした。Macintoshでカラー環境を整えるには「自動車が買える」と言われた時代です。数百万円のワークステーションが担っていた「絵を描くコンピュータ」を、ゲーム機の値段で子供の手に渡した——ここが本作の画期でした。

そしてマウス練習用の「ハエたたき」。飛び回るハエをクリックで退治するだけの内容ですが、爆弾を落とすハエや巨大なボスハエまでいて、お絵かきそっちのけで遊び込んだという証言が絶えないミニゲームです。

タイトル画面の「MARIOPAINT」の文字は、1文字ずつクリックすると全部違う仕掛けが動きます。Oは導火線付きの爆弾になって爆発し、Tを押すとカーソルが虹色のクレヨンに変わる。道具としての顔と、遊びとしての顔を、最初の画面から両立させていました。

当時の反応 — 35点プラチナ殿堂と「オリジナリティ2位」

当時の受け止めは記録に残っています。ファミコン通信(現ファミ通)のクロスレビューでは8・9・9・9の合計35点(40点満点)でプラチナ殿堂入り。「クリアーするっていうことがないので、ある意味一生もんのソフトであろう」という評が印象的です。一方で「マウスが少々安っぽいカンジ」という率直な指摘も残っています。

読者の側の記録もあります。ファミリーコンピュータMagazineの読者投票「ゲーム通信簿」では23.92点(30点満点)。1993年時点でスーパーファミコン全323本中の総合22位、部門別では「オリジナリティ」2位でした。道具なのかゲームなのか分類に困る本作を、読者は「独創性」の一語で受け止めていたことになります。

販売本数は全世界累計231万本(2003年末時点)とされる集計が残っています。マウスとマウスパッドを同梱した異例のパッケージでの、堂々のミリオンセラーでした。

そして2025年、マウスごと帰ってきた

本作は長らく「マウスごと」でなければ遊べないソフトでしたが、2025年7月、Nintendo Switch Onlineの「Nintendo Classics」にマウス操作対応で追加されました。Nintendo of Americaが公開した公式トレーラーが上の動画です。公開後わずかな期間で非常に大きな再生数を集めて話題になり、33年前の創作ツールがふたたび看板扱いされる光景が見られました。

遺伝子は方々に残っています。「ハエたたき」は『メイド イン ワリオ』と『スーパーマリオメーカー』に再収録され、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』にはアシストフィギュアとして登場。ニンテンドーDSの『メイドイン俺』のゲーム制作画面は、本作のUIがほぼそのまま原型になっています。

ところで、7月14日という日付は任天堂と妙に縁があります。1983年にはアーケード版『マリオブラザーズ』が稼働を開始し、1993年には『スーパーマリオコレクション』と『ヨッシーのロードハンティング』、1998年には『F-ZERO X』が発売されています。同じ月日にこれだけの看板が並ぶのは——調べていて、少し嬉しくなる偶然でした。

34年後の読者への問い

絵を描く、曲を作る、アニメを動かす——「遊び」と「創作」の境目を曖昧にしてみせたソフトが1992年に生まれ、2025年にマウスごと現代へ戻ってきました。年表の上で33年離れた2つの点が線で繋がるのを眺めるのは、この連載ならではの楽しみです。1992年、平成4年。やはり年号を書き留めると、記事が締まります。

あなたが初めて「コンピュータで絵を描いた」のは、いつ、どのソフトでしたか。それがマリオペイントだった方は、ハエたたきを何周したかも、あわせてお聞かせください。

リアクション(ログイン不要)

匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで

コメント(ログイン不要)

まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

誰でも投稿できます • 名前のみ。メールアドレスは集めません

次に読む