BLOG · 2026-07-19

ファイナルファンタジーIV(1991) — 戦闘に「時間」が流れはじめた日

今日は発売日 #06 — 1991年7月19日、スクウェアのスーパーファミコン参入第1弾

1991年7月19日、シリーズがスーパーファミコンに乗り換えた日

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第6回。今日掘り出したのは、スクウェアが1991年7月19日に発売したスーパーファミコン用RPG『ファイナルファンタジーIV』です。平成3年の夏。今日でちょうど35年になります。

本作はシリーズのナンバリング第4作にして、スクウェアのスーパーファミコン参入第1弾。ディレクターは坂口博信、音楽は植松伸夫、キャラクター・デザインは天野喜孝という布陣に、ゲームボーイ『魔界塔士Sa・Ga』(1989年)を手掛けた時田貴司がゲームデザインとシナリオで加わっています。

スーパーファミコン『ファイナルファンタジーIV』の当時のテレビCM映像アーカイブのサムネイル「【スーパーファミコン CM】 ファイナルファンタジーIV (4) (1991年)」(YouTube)のサムネイルより

ファミコンで3作を重ねたシリーズが、新しいハードへ引っ越した最初の一本。拡大縮小機能で飛空艇の眼下にフィールドがパースを持って広がる——ハードの世代交代を画面で実感させる作りでした。

どんなゲームだったか — コマンドを選んでいる間も、敵は待ってくれない

本作最大の発明は「アクティブタイムバトル(ATB)」です。それまでのRPGの戦闘はターン制——こちらが考えている間、敵は律儀に待ってくれました。ATBでは敵味方それぞれに待機時間が流れ、コマンドを選んでいる間にも敵が行動してきます。考案したのは伊藤裕之。この仕組みは特許化され、以後のシリーズや『クロノ・トリガー』にも受け継がれる、スクウェアの看板システムになりました。

パーティは歴代シリーズ最多の最大5人。暗黒騎士セシルが過去と決別してパラディンに生まれ変わる物語を軸に、仲間が次々と入れ替わりながら月まで駆け上がるシナリオは、「おれはしょうきにもどった!」をはじめ、いまも引用される台詞をいくつも残しました。

魔法を店で買う方式をやめてレベルアップで習得する形にし、キャラクターに固有の名前と役割を与える——システムの独自性よりも物語と演出に寄せた設計は、その後の「FFらしさ」の原型と言っていいものです。

当時の反応 — プラチナ殿堂と、3か月後の「イージータイプ」

誌面の評価は高く、ゲーム誌『ファミ通』のクロスレビューではSFC版がプラチナ殿堂入りを果たしています。スーパーファミコン本体の発売から8か月、「次世代のRPG」を待っていた読者への回答として、本作は十分すぎる一本でした。

一方で、当時のプレイヤーの偽らざる反応がもうひとつ、物理的な形で残っています。前半はプレイヤー側の攻撃が弱く難しい——そんな指摘を受けて、スクウェアはわずか3か月あまり後の1991年10月29日、難易度を下げた『ファイナルファンタジーIV イージータイプ』を発売しました。魔法の名前をわかりやすくし、隠し通路を見えるようにし、低年齢層にも遊べるように調整した別バージョンです。

レビューの点数は誌面に残り、攻略の苦労は「もう1本のカセット」として棚に残った。発売からわずか102日で調整版が店頭に並ぶ——当時のプレイヤーがこのゲームとどれだけ格闘したかを、これほど雄弁に語る資料はなかなかありません。

今日、35年後の今日 — ダチョウのCMと、10年後の同じ日付

下の動画は、当時のテレビCMのアーカイブ「【スーパーファミコン CM】 ファイナルファンタジーIV (4) (1991年)」です。このCM、記録によれば笑い声とチョコボのテーマをバックに、ダチョウが海岸を走り抜けるという内容でした。壮大なRPGの宣伝にダチョウ。1991年のテレビの空気ごと保存されている15秒です。

そして資料を並べていて、思わず頬がゆるんだ巡り合わせをひとつ。本作の10年後、2001年7月19日——同じ月日に『ファイナルファンタジーX』が発売されています。ATBで戦闘に時間を流しはじめた日と、シリーズが声と表情を手に入れた日が、カレンダーの上では同じマスにいる。7月19日は、このシリーズが二度も脱皮した日付なのです。

本作はその後、プレイステーション、ゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDSの3Dリメイクにピクセルリマスターと、数え切れないほど姿を変えて生き続けています。35年前の今日店頭に並んだカセットは、いまも現役の物語です。

おわりに — 1991年という区切りの年

最後にもう一度だけ年号の話を。1991年は、スーパーファミコンが最初の夏を迎えた年です。その7月19日に出た本作は、「RPGの戦闘に時間を流す」という発明ごと新しい時代を連れてきました。こうして日付から書き起こすと、35年という距離が急に手触りを持ちはじめます(年号を書かないと記事が完成した気がしない身としては、1991と2001が同じマスに並んだ今日は、少し得をした気分です)。

あなたが初めて「敵が待ってくれない戦闘」に出会ったのは、どのゲームでしたか。よければ聞かせてください。次の発売日でお会いしましょう。

リアクション(ログイン不要)

匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで

コメント(ログイン不要)

まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

誰でも投稿できます • 名前のみ。メールアドレスは集めません

次に読む