WEEKLY-RELEASES · 2026-07-20
今週の新作 — 2026-07-13週 のパズル系リリース
予告通りの本命ラッシュ。「圧倒的に好評」の推理2本を筆頭に、Steam から6本
今週の概観
対象は先週、2026年7月13日(月)〜7月19日(日)に Steam / itch.io でリリースされたパズル系の新作だ。先週の記事で「来週はいよいよ本命ラッシュ」と書いたが、手帳のカレンダーがその通りに埋まった。7月14日に D-topia と The Incident at Galley House、16日に The Mermaid Mask と Moss 合本版。予告した3本が全て着地し、しかもいずれも好評という、スカウトとしては答え合わせの気持ち良い週だった。
今週は6本。内訳は思考系3本(デダクション2本+ロジックパズルADV)と隣接3本(推理ADV・パズルプラットフォーマー・ボードゲーム)だ。特筆すべきは「圧倒的に好評」が2本並んだこと——発売週のデダクションものとしては、今年でも指折りの当たり週だと思う。濃いめのドリップを片手に、順に見ていこう。
今週のピックアップ
The Incident at Galley House

1936年3月、とある屋敷で起きた惨劇。数十年後、過去の「残響」を聴ける奇妙な機械を手に、あの夜に何が起きたのかを組み立てる——カルト的人気を博したテキストブラウザゲーム Type Help の全面リマスター拡張だ。ストアの説明によれば、挿絵付きのビジュアルノベル表現、フルボイス、3Dのメモリー探索インターフェース、新規パズルが加わり、日本語字幕にも対応した。移植を手がけたのは The Roottrees Are Dead を Steam に持ち込んだ作り手たちで、系譜としてはあのタイプの「聞いて・繋いで・確信する」デダクションど真ん中。発売週で1,243件・96%の「圧倒的に好評」は推理ものとして頭抜けた滑り出しだ。断片から地道に組み立てる根気は要るので、テンポの速い謎解きが好みの人は先にトレイラーで肌合いを確かめたい。
The Mermaid Mask

世界一奇妙な潜水艦の、施錠された船室で死んでいた船長。傍らには古代の石の大釜——Tangle Tower と Crow Country の SFB Games による Detective Grimoire シリーズ4作目、手描きポイント&クリックの不可能犯罪ものだ。証拠は全て3Dオブジェクトとして手に取って調べられ、容疑者はフルボイス、音楽は Budapest Art Orchestra の生演奏という念の入りよう。発売週で593件・99%の「圧倒的に好評」に加え、Game Informer は9/10で「シリーズ最高作」、EDGE も8/10と、メディアの評も揃って高い。1本4〜6時間、日本語字幕対応。ロジックの厳密さより「キャラクターと会話しながら絵解きする」快感が主軸なので、雰囲気重視の推理ADV好きにまず薦めたい。先週このコーナーで発売を予告した1本が、期待通りに着地した格好だ。
D-topia

AI が人間の幸福を「キュレーション」する居住施設で、新任の整備員(Facilitator)としてロジックパズルを解きながら施設と住民を保守する——先週の予告欄でも触れた Annapurna Interactive の1本だ。明るい表の世界と、裏側の「Block Side」を行き来して不具合を直し、住民の相談に踏み込むと選択が彼らの未来を左右する。Steam では57件・94%の「非常に好評」。メディアの評価はパズルそのものより物語に寄っていて、CBR は8/10、一方で「穏やかなパズルとライフシムの間でテンポが揺れる」という指摘もある。パズルの歯応えを主目的にすると肩透かしかもしれないが、「幸福の最適化」という主題を手を動かしながら考えたい人には良い思索の椅子になりそうだ。日本語対応。
Desktop Explorer

叔父から「生前相続」した古いPC。電源はまだ入る。中には失踪事件の調査を頼む手紙と、Desktop Explorer という謎のパズルプログラムが残されていた——90年代風の架空OSを丸ごと探索する、デジタル考古学系のミステリーだ。ファイルエクスプローラ、チャットログ、壊れたアプリ、プリインストールのゲームまでもが手がかりになる作りで、Hypnospace Outlaw の系譜を思わせる。パブリッシャー欄には Among Us の Innersloth が運営するインディー基金 Outersloth が名を連ねる。発売数日で229件・94%の「非常に好評」。ただし開発者自身が、鬱・自死・トラウマといった重いテーマと軽度のゴア表現を含む心理ホラーだと明記している点は書き添えておく。対応言語は現状英語のみ。旧いOSの窓の中を漁る没入感は、今週随一の「気配」がある。
Moss: The Forgotten Relic

8年間 VR 専用だった絵本世界の冒険が、初めて普通のモニタに降りてきた。ネズミの剣士 Quill を導く Moss と Moss: Book II を1本に束ね、フラットスクリーン向けにカメラとカットシーンを作り直した合本決定版で、Twilight Garden DLC も同梱。遊びの中身はジオラマのような箱庭の環境パズルと軽い戦闘(設定でスキップ可)だ。Steam では89件・95%の「非常に好評」、OpenCritic は80点で批評家の94%が推薦と、移植の出来は広く認められている。「VR の魔法が薄れる」ことを危ぶむ声への答えとして、スマートフォロー・カメラで俯瞰の視点を保った点が各所で好意的に取り上げられた。パズルの密度は本職の思考系より薄く、雰囲気と物語で牽引するタイプ。Jason Graves のオーケストラ曲と日本語フルボイスで、週末に絵本を1冊読むように遊べる。
Cat Chess

チェス。ただし駒が全部、猫。ルールは古典チェスそのままに、駒ごとに猫種と性格とアニメーションが与えられ、野良猫チームと家猫チームが盤上で威嚇し合う。相手の手番を待つ間に猫と遊べる、という一点だけで存在意義を主張してくる1本だ。オンライン対戦と画面分割のローカル対戦に対応し、日本語UIあり、$6.99と手頃。発売週で248件・86%の「非常に好評」だが、レビューには「CPU 対戦の AI が弱く、同じ手を往復しがち」という指摘が複数あるので、真剣なソロ修行用ではなく、人と遊ぶパーティーチェスとして見るのが正しい。チェスは思考ゲームの古典中の古典——猫を口実に、久しぶりに盤を挟むのも悪くない。
私の一押し
今週選ぶなら The Incident at Galley House だ。ブラウザで静かに愛された推理ゲームを、The Roottrees Are Dead の作り手たちが作り直して世に出す——この経緯だけで手帳に二重丸を付けた。1,243件・96%という数字は、その確信の答え合わせに見える。
来週以降に注目
Would You Love Me If I Was a Snake?(Andrea Boroni Grazioli)を待っている。ヘビとなって物を押し、レーザーを遮り、時には自分の尻尾を噛み切って進む150問の手作りパズルで、ストアには「各問題に固有のアイデアがあり、埋め草はない」とある。表記は「2026年7月」のままでまだ未発売。デモが出ているので、先に触っておくのも良い。リリースを確認したら取り上げる。
締め
先週「谷間の週」と書いた分、今週は選ぶ悩みが戻ってきた。じっくり推理するなら Galley House、キャラクターと絵解きを楽しむなら Mermaid Mask、絵本の世界に浸るなら Moss、誰かと軽く盤を挟むなら Cat Chess。どれを開いても、良い週末になるはずだ。また来週の月曜に。
参考リンク
本記事で参照したストアページ・メディア:
・Steam: The Incident at Galley House
・Thinky Games: The Incident at Galley House
・GoNintendo: The Mermaid Mask 発売報
・COGconnected: Desktop Explorer 発売報
・Steam: Moss: The Forgotten Relic
リアクション(ログイン不要)
匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで