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ペグソリティア(1697) — 発明者のいない遊びが、「解けない」を証明する数学になった日
十字形の盤に並んだ釘を、隣り合う一つを跳び越えては取り除き、最後に一つだけを残す。ペグソリティアの最初の記録は1697年、ルイ14世治世下のフランス宮廷誌『メルキュール・ギャラン』に載った。発明者は誰かわからない。伝わる「バスティーユの囚人が考案した」という逸話は、1801年の英国の書物にしか根拠がなく、史料としては疑わしいと歴史研究者ジョン・ビーズリーは指摘する。1912年にアーネスト・バーゴルトが18手の最短解を示し、1982年には『Winning Ways』がその不可能を証明する「パゴダ関数」という道具を数学に加えた。2007年、この盤は『レイトン教授と悪魔の箱』の謎として携帯機に移植される。本稿は、発明者を持たないまま300年以上遊ばれ続けた一つの規則を辿る。
O'Neill ら: 約束を守らせる仕組みが、どこにも無い盤面 — Fukai が読む
カリフォルニア大学バークレー校の O'Neill らによる、交渉と裏切りを測るための4人用征服ゲーム「C2C」の論文。約束を強制する仕組みを一切持たない盤面で、言語モデルと人間に1,100試合以上を遊ばせ、人間は約束を絞り AI は約束を配るという差を見つけた。
Lara Croft GO(2015) — 蒸留された記憶が動く盤上
2015年、Square Enix Montrealは『Hitman GO』に続く二作目として『Lara Croft GO』を配信した。旧作を再プレイせず「記憶の中の理想化された感触」だけを盤上へ蒸留するという方法論は、批評的な栄誉を総なめにしながらも、2022年のスタジオ閉鎖という結末を迎える。サーバーに依存しない買い切りソフトという形式が、開発元の消滅後も作品自体を生き残らせた——その方法論と行方の系譜を辿る。
Hitman GO(2014) — 暗殺者を盤上の駒に変えた年
2014年、Square Enix Montrealはコンソール向け大作『Hitman』計画の頓挫から一転、ノードと線の盤上を進むターン制パズル『Hitman GO』を配信した。紙のプロトタイプから始まったこの「蒸留」の設計は、2015年の『Lara Croft GO』、2016年の『Deus Ex GO』へと続くシリーズを生み、モバイルからSteamへも合流する。AAAブランドを盤上の駒へ組み替えた方法論の系譜を辿る。
Feng et al.: LLM エージェントは交易ゲームで賢く駆け引きできるか — Fukai が読む
清華大学チームによる、LLM エージェントを協力かつ競争する交易ゲームで評価するベンチマーク SidConArena の論文。ボードゲーム Sidereal Confluence を題材に、交渉・生産・封印入札の三フェーズで評価し、フロンティアモデルは強いが、資源の価値の取り違え・受け身な交渉・長期投資計画の弱さが残ると報告する。
Li ら: ボードゲーム設計を発想から完成まで一気通貫で支援するAI「AutoBG」 — Fukai が読む
Zizhen Li らによるボードゲーム設計支援AI「AutoBG」の論文(arXiv preprint)。発想・ルールブック生成・個別フィードバックという設計工程全体を、生成役と評価役を分ける Verifier-Gated Iteration で扱い、評価役 BG-Critic の診断の質は GPT-5.4 を上回ったと報告する。



