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関連エッセイ
Skipping Stones to Lonely Homes(2015)— 石を投げて架けた橋が、宇宙列車まで続いた道
2015年8月21日、イギリスのパズル作家アラン・ヘイゼルデンが無料ブラウザ作品『Skipping Stones to Lonely Homes』を公開した。石を投げて橋を架け、難破船の木材を探す一本のPuzzleScript作品だ。Steamの外で生まれたこの小品が、同年のプロトタイプ『Train Braining』、2017年の商業作『Cosmic Express』を経て、2026年発表の大作パズル『Order of the Sinking Star』にまで、作者自身の言葉で繋がっている。私はこの十年の航路をたどる。
Mirror Isles / Skipping Stones to Lonely Homes(2014-2015) — 無料のジャム作品が、十年後の二つの脱出島に姿を変えるまで
2014年と2015年、ロンドンのパズル作家アラン・ヘイゼルデンがPuzzleScriptで書いた無料のジャム作品『Mirror Isles』と『Skipping Stones to Lonely Homes』。本人が公式サイトで明かすところによれば、前者は2020年の商業作『A Monster's Expedition』の精神的な原型であり、両作は2026年にデモが公開されたJonathan Blowの新作『Order of the Sinking Star』のインスピレーションの一つにもなった。無料の実験作が十年を超えて二つの異なる商業パズル大作へ流れ込んだ、その具体的な道筋を本人の証言だけを手がかりに追う。
たった一つの部品から、十五本のミニパズルが分岐する——Thinky Collective の「バトンリレー」式共同制作
今日は1本。パズル専門メディア Thinky Games の記事(著者 Corey Hardt、2026年7月24日公開、英語)を原文で読んだ。取り上げるのは、パズル制作者の緩いコミュニティ Thinky Collective が持ち回りで作った新作『The Snake That Eats Puzzle Game Mechanics』。各参加者は前作からたった一つの共有パーツだけを受け取り、それを使って一画面完結のミニパズルをゼロから設計するという制約付きのバトンリレーだ。十数本以上のミニゲームが緩やかに繋がって一本のコレクションになる、その共同制作の作法を読んだ。
Skipping Stones to Lonely Homes(2015) — 石を投げて島を渡る、無料PuzzleScriptが遺した二つの子孫
2015年8月31日、ロンドンのパズル作家アラン・ヘイゼルデンが自身のサイトで公開した無料ブラウザゲーム『Skipping Stones to Lonely Homes』。石を投げた波紋で遠くの睡蓮の葉を動かすという間接操作のソコバン系パズルは、公式サイトが明言する通り『A Monster's Expedition』(2020)の精神的続編の原型であり、ジョナサン・ブロウ渾身の大作『Order of the Sinking Star』(2026)の出発点の一つでもある。無料の同人作が10年をかけて二つの大作へ流れ込んだ道のりを辿る。
同じ骨格から、別のパズルへ——PuzzleScript コレクティブの「一つだけ受け継ぐ」設計実験
今日は1本。パズル専門の編集メディア Thinky Games の記事(著者 Corey Hardt、2026年7月24日、英語)を原文で読んだ。取り上げるのは、puzzle 開発者のゆるやかな集まり「Thinky Collective」が公開したブラウザゲーム『The Snake That Eats Puzzle Game Mechanics』の作り方だ。彼らはいつも一つの大きな PuzzleScript プロジェクトを回し読みして継ぎ足していくが、今回は方法を変えた——各開発者は前の人のゲームから「たった一つの要素」だけを受け取り、その共有要素を使って一面だけの小さなゲームを作る。結果、隣り合う二作は同じスプライトを使いながらメカニクスが入れ替わっていたり、面の形はそのままなのに見た目と文脈が変わって出来上がるパズルがまるごと別物になっていたりする。制約が発散を生み、十数本の一面ゲームが数珠つなぎになった。私はこれを、デザイナー志望として「試したくなる設計の型」として持ち帰った。
PuzzleScript(2013) — 一行のルールが量産した、世界中の“押すゲーム”
2013年10月、Stephen Lavelle(increpare)が無償公開したブラウザ用パズルエンジン PuzzleScript。たった一行のルール記述で倉庫番系パズルが作れるこの道具は、Alan Hazelden の初期作を経て『A Good Snowman Is Hard to Build』を生み、Hempuli 自身が語る“ブロックパズルの再興” を経由して『Baba Is You』の土壌にまで繋がった。系譜を裏取りする。
LLM に「ゲームを一本まるごと」作らせて、AI にプレイテストさせる——ScriptDoctor が示した自動ゲーム設計の現在地
今日は1本。NYU の Sam Earle・Julian Togelius らによる論文「ScriptDoctor: Automatic Generation of PuzzleScript Games via Large Language Models and Tree Search」(英語、arXiv:2506.06524、IEEE Conference on Games へのショートペーパー)を原文で通読した。PuzzleScript——increpare(Stephen Lavelle)が作った、2D グリッド上のターン制パズル専用の記述言語——を「実験台(model organism)」に選び、LLM にルール・見た目・レベルまで含む一本のゲームを生成させ、コンパイラのエラーと幅優先探索プレイヤーの結果を戻しながら反復修正する。人間が作った既存ゲームを少数例として与えると生成物の質が明確に上がり、推論モデル(o1・o3-mini)は GPT-4o を上回った。だが最大の学びは失敗の側にある——最も複雑に見えたゲームは、しばしば「壊れたメカニクス」ゆえに複雑なだけで、解ける=面白い、ではない。自動ゲーム設計を考える人に示唆の多い一本だ。
Stephen Lavelle の哲学 — 説明しないことを、作品にする
「Nah I don't feel like it(いや、その気になれない)」——自作の設計を説明してほしいというプレイヤーの求めに、Stephen Lavelle(increpare)はそう短く返した。500本超のフリーゲームを配り、PuzzleScript を無償で公開し、『Stephen's Sausage Roll』で puzzle 界を一変させた多作の作家。その哲学・こだわり・失敗・ジレンマ・影響源を、本人のブログとインタビューの言葉だけから読み解く。
パズルは「解ける」と「面白い」が分かれる場所——PuzzleScript 500本超を機械に解かせた PuzzleJAX(arXiv、2025年8月)
今日は1本。NYU・マルタ大学・ウィットウォーターズランド大学(南アフリカ)・Microsoft の研究者ら(Sam Earle、Graham Todd、Ahmed Khalifa、Julian Togelius ほか)による論文「PuzzleJAX: A Benchmark for Reasoning and Learning」(arXiv プレプリント、2025年8月)を取り上げる。Stephen Lavelle(increpare)が2013年に公開したパズル制作言語 PuzzleScript を GPU 上に再実装し、世界中の作者が書いた500本超のゲームを探索・強化学習・大規模言語モデルに解かせた研究だ。設計者の視点で読むと核心は一つ——「機械が解けるか」と「人にとって面白いか」は別物だ、という点である。木探索は単純なゲームを総当たりで解くが少し複雑になると即座に行き詰まり、LLM はほとんどのゲームで勝率0%。著者らは PuzzleScript 作者本人が IDE への自動ソルバー搭載に難色を示した経緯にも触れ、難易度を探索で測ることの危うさを指摘する。論文は国際的な共著で、パズル設計の自動化という現代的な論点にも踏み込む。
賞なし・制約あり・仲間あり——Thinky Puzzle Game Jam 6 に見るコミュニティ設計の知恵
今日は1本。Thinky Games が5月15日に告知した「Thinky Puzzle Game Jam 6」(6月20〜28日)を取り上げる。賞を設けず・48時間制作推奨・PuzzleScript 推奨というこのジャムの構造が、商業的マーケティング機会と化した大型ジャムとは異なる「純粋な設計探索」の場をどのように生み出しているか。今週末開幕まであと4日。
AIはパズルゲームを丸ごと作れるのか — 「生成して、遊ばせて、直す」を回した ScriptDoctor
大規模言語モデル(LLM)にパズルゲームをルールも絵もレベルも含めて丸ごと書かせ、コンパイラと探索エージェントに検査させて作り直させる——そんな自動ゲームデザインの実験系 ScriptDoctor を紹介する。題材は個人開発者におなじみの PuzzleScript。人間製ゲームの実例を見せると成功率が跳ね上がること、推論モデルが有利なこと、そして「解ける」と「面白い」のあいだに横たわる距離まで、問題・方法・発見・使いどころ・限界の順に読み解く。



