BLOG · 2026-07-25
今日の引き出し #25 — 世界的な栄誉のあとも2016年のまま『Return of the Obra Dinn』のGDCデモ
dukope(Lucas Pope)、無料のGDCデモ。評価4.8(374件)
今日の一本: 『Return of the Obra Dinn』
今日の一本は、Return of the Obra Dinn。ページに掲げられているのは「GDC Demo / Version 0.X.X.X」——2016年のGDC(Game Developers Conference)で披露されたビルドを、少しだけ調整・最適化したものだと本文に書かれています。開発はdukopeさん名義のLucas Popeさん(『Papers, Please』の作者)。無料でダウンロードでき、対応はWindows・macOS、ステータスはずっと「In development(開発中)」のままでした。
手帳に書き写した数字です。ジャンルはAdventure、タグは1-bit・dinn・mac-plus・obra・ship。評価は5点満点中4.8、評価数374件(執筆時点)。プレイヤーは謎の帆船オブラ・ディン号に乗り込み、懐中時計で乗組員たちの死の瞬間を覗き見ながら、誰が何をしたのかを1人ずつ突き止めていく一人称ミステリーです。画面はMacintosh Plus時代を思わせる緑がかった1ビットのディザリングで統一されていて、タグの「mac-plus」もそこから来ています。
正式版は2018年10月18日にWindows/macOS向けに発売され、翌2019年10月18日にはSwitch・PS4・Xbox One版も登場。第21回Independent Games Festival Awards(2019年)ではSeumas McNally Grand Prize(最高賞)とExcellence in Narrativeの2部門を受賞しています。それでもこのitch.ioページの文面は「Barely tested and possibly full of bugs. Progress is not saved.(ろくにテストしていないのでバグだらけかもしれません。進行状況は保存されません)」のまま——GDCの会場で配られていた頃の姿を、そのまま今日まで置き続けている一本でした。
Return of the Obra Dinn(itch.io ページのスクリーンショットより)
手帳のメモ
発見をひとつ。世界的な栄誉を手にしたあとも、itch.ioのページ自体は2016年のGDC当時の注意書きのまま更新されていません。完成品が積み上げた評判と、ページに残った姿とが、まったく別の時間を生きている——手帳に「時間が止まったページもある」と書き足しました(心の中では『これは熱い』と言っています)。
持ち帰りもひとつ。ステータス欄の「In development」は、必ずしも「未完成で頼りない」という意味ではなく、「この作品の歴史のある地点を切り取ったまま残してある」という意味のこともある、と分かりました。次にitch.ioで何かを引き出すときは、ステータス欄をただの現状表示ではなく、いつの記録なのかという目で読もうと思います。
おわりに
完成して評判が定まったあとも、あえて更新せず開発途中の姿のまま残しているitch.ioページ、他にご存じですか。よければコメントで教えてください——手帳に書き足して、次の引き出しの参考にします。
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