BLOG · 2026-09-01
コミックスゾーン(1995) — アイデアは絶賛され、帳簿は赤字だった
今日は発売日 #44 — 1995年9月1日、メガドライブで発売
1995年9月1日、画面がまるごと漫画のページになったゲームが出た
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第44回。今日の一本は、遊んでいる画面そのものが漫画のページになっている作品です。
Steam版『Comix Zone™』ストアページ掲載のスクリーンショット(セガ)
『コミックスゾーン』。1995年9月1日、セガからメガドライブ用として発売されました。価格は7,800円、型番はG-4132です。
主人公は漫画家です。自分が描いた悪役に、自分の漫画の中へ引きずり込まれてしまう。プレイヤーはコマからコマへ渡り歩いて、外を目指します。
この発想は、当時からよく褒められました。ただ、売上のほうはついてきませんでした。今日はその両方の話です。
ページを破って投げる。減るのは自分の体力
1つのステージが、漫画の1ページにあたります。コマごとのクリア条件を満たすと次のコマへ進み、右下のゴールを目指す作りです。
変わっているのは攻撃方法です。攻撃ボタンを長押しすると、ページを破って紙飛行機にし、それを投げられます。ただし、破いた分だけ自分の体力が減ります。
Steam版『Comix Zone™』ストアページ掲載のスクリーンショット(セガ)
敵を枠線ごと吹き飛ばす演出もあります。漫画の上でしか成り立たない動きが、次々と出てきます。
全6ステージ。道の分かれ方で結末が変わりますが、通して遊ぶと短めです。日本語のまとめでも「ややボリュームが少なく感じやすい」と書かれています。
作ったのはセガ・テクニカル・インスティチュート。出発点は、プログラマーの Peter Morawiec が1992年に作った「Joe Pencil Trapped In The Comix Zone」というデモでした。
そこから主人公は Sketch Turner という名前に変わり、相棒のネズミ Roadkill が足されました。作画にはアメコミの Tony DeZuniga、音楽には Howard Drossin。日程の都合で、2ステージが完成前に削られています。
「好きになりたいのに、数コマで熱が冷める」
当時の評価は、褒める場所と貶す場所がきれいに分かれていました。絵と発想は高く、遊び心地は普通、という形です。
イギリスのテレテキスト誌 Digitiser は1995年10月18日付で総合79%。内訳は Graphix 86%、Sonix 82%、Gameplay 76%、Lifespan 74%、Originality 79% でした。
同誌の評は短く、こうです。「Though it plays like any other beat 'em up, there are minor puzzles to overcome.」——遊んだ感じはよくあるベルトアクションだが、小さな謎解きがある、と。
Steam版『Comix Zone™』ストアページ掲載のスクリーンショット(セガ)
アメリカの GamePro はもっと率直でした。「You really want to love Comix Zone for its original elements, but after a few panels, the honeymoon's over.」——独創的だから好きになりたいのに、数コマで蜜月が終わる。
Next Generation も同じ側です。「A very cool idea for a game that wasn't executed properly, Comix Zone is better than most.」——作りきれなかったが、それでも大半より良い、という言い方でした。
Electronic Gaming Monthly の4人は、操作のまずさを認めたうえで、メガドライブのソフトとしては色づかいが際立って豊かだと書いています。
そして帳簿のほうは、点数よりも厳しい結果でした。セガ・テクニカル・インスティチュートを率いた Roger Hector の証言として、本作は損益分岐点に届かなかったと記録されています。
理由ははっきりしています。発売はメガドライブの最終盤で、世の中にはすでにサターンとプレイステーションが並んでいました。
31年後、赤字だった一本がいちばん多くの機械に移されている
日本版は出荷数が少ないまま終わりました。英語版Wikipediaは「日本では小ロットで、発売後の数年で高価なコレクターズアイテムになった」と書いています。中古の値段が上がったのは、売れたからではなく、少なかったからです。
一方で、遊ぶ手段はその後ずっと増え続けました。2002年『ソニック メガコレクション』、2009年 Xbox Live Arcade、2010年 Steam、2017年 SEGA Forever、2019年メガドライブミニ、2022年 Nintendo Classics。
2019年、メガドライブミニのレビューで GAME Watch の池紀彦氏はこう書いています。「漫画の枠線やコマも含めて漫画の世界を舞台にするというユニークな発想が本作の全てであり、最大の魅力だ。」
同じ記事は難易度にも触れていて、「ベルトスクロールタイプのアクションとしては少々高めだ」としつつ、敵の出方を覚えれば越えられる範囲だと書いています。24年たっても、褒める場所と注意する場所は当時とほとんど同じでした。
下の動画は、スマートフォン向けの SEGA Forever 版を紹介した回です(チャンネル: Genesis VII)。
短いのに忘れられないゲームは、ありますか
1995年9月1日。年号を書き留めておきます。2026年9月1日の今日で、ちょうど31年です。
当時の総合点は79%でした。褒めきられなかった数字です。損益分岐点にも届きませんでした。
それでも、この一本はいまも移植され続けています。全6ステージの短さも、少し高い難易度も、いまでは思い出のかたちになりました。
あなたにも、短いのに忘れられないゲームはありますか。
リアクション(ログイン不要)
匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで
コメント(ログイン不要)
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。
