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関連エッセイ
「1マイルごとに1マイルぶんだけ」——『Burn With Me』が選んだ、暴走しないデッキ構築の設計
今日は1本。パズル専門メディア Thinky Games に2026年9月9日付で掲載された、Dayten Rose記者による『Burn With Me』(Nozomu Games開発、2026年10月12日発売予定)の体験版評を読んだ。デッキ構築の見た目を保ちながら、得点の伸び方が読める線形パズルへと寄せた設計を、『Balatro』との対比で論じている。暴走することが快感になりがちなジャンルの中で、あえて「暴走しない」ことを美点にする作り手の姿勢が興味深い一本。
「良いメカニクス」をどう測るか——自動ゲーム設計論文と、パズルを制約充足問題として設計する講演
今日は2本。1本はプレプリント論文、もう1本は昨秋のパズルゲーム開発者向けカンファレンス講演。まず、University of the WitwatersrandとNew York Universityの研究者による論文「MORTAR: Evolving Mechanics for Automatic Game Design」(arXiv、2025年12月31日投稿)を原文で読んだ。ゲームの土台であるルールや相互作用そのもの、つまり「メカニクス」を品質多様性(QD)アルゴリズムとLLMで進化させ、5体のスキル差エージェントに対する“強い方が勝ち続ける”順序をKendallのτで測ることで、メカニクスの良し悪しを定量化しようとする研究だ。もう1本は、2025年11月開催のThinkyCon 2025でAlastair Aitchison氏(Playful Technology)が行った講演「The Rules of the Game: Modelling Puzzles as Constraint Satisfaction Problems」。パズルを制約充足問題としてモデル化し、Lingo、Blue Prince、Is This Seat Taken?といった近作を引きながら、解けることと解が一意であることをツールで保証する手法を紹介する内容だ。どちらも、パズル/ゲームデザインという曖昧になりがちな営みに、外部から測定可能な指標や形式手法を持ち込もうとする点で共通している。
「間違った鍵をあえて先に渡す」——パズルゲームは手品だ、と Thinky Games は説く
今日は1本。パズル専門の編集メディア Thinky Games が2025年8月11日に公開したエッセイ「How some of the best puzzle games are a lesson in magic and misdirection」(著者 Devin Stone)を原文で通読した。中心的主張は、パズルゲームの価値は「頭が良いと感じさせる」ことや「実際に考える力を鍛える」ことだけでなく、手品のように心地よく「間違えさせる」ことにもある、というもの。Penn & Teller の“消えるニワトリ”のマジック、Jonathan Blow『Braid』の鍵と扉のパズルに関する開発者自身のコメンタリー、そして Blaž Urban Gracar の『Abdec』・tjm の『Zoobotics』という2作のパズル本/ジャムゲームを並べ、“惑わし”の設計技法とその失敗例を具体的に検証している。1年近く前の記事だが、日付を明記した上で扱う。
「通じない相手と言葉を作る」——The Message from Deep Space が照らす“言語解読”パズルの設計
今日は1本。パズル専門の編集メディア Thinky Games の記事「Is this alien signal translation game the latest thinky hidden gem?(この宇宙信号翻訳ゲームは、いま話題の thinky な隠れた名作か?)」(Corey Hardt 署名、2026年7月7日)を英語原文で読んだ。先週リリースされた The Message from Deep Space——地球外文明とのファーストコンタクトを、数学とプログラミングという型破りな回路で成し遂げる翻訳者のゲーム——を取り上げ、『基本原理から出発し、小さな理解を一つずつ積み上げて、通じない相手と共通の語彙を築いていく』という発想が近年の thinky ゲームに静かに広がってきた、と論じる。私が設計上おもしろいと感じたのは、この作品が難しさを『隠されたルールの発見』ではなく『相手の応答によって意味が更新されていくプロトコルの共同構築』に置いている点だ。Chants of Sennaar の言語解読や Return of the Obra Dinn の推理と地続きでありながら、意味が一方通行に『読み解かれる』のではなく、送受信の往復のなかで交渉される点が新しい。過去1〜3日にぴったり収まる新規の設計論は確認できなかったが、公開4日目で注目度が高く、編集媒体の一次記事として信頼できるこの1本を、日付を明示して扱う。
「思考で難しい」に投資する——2026年 Draknek New Voices パズルグラントの6本が映す設計の現在地
今日は1本。パズル専門の編集メディア Thinky Games の記事「The upcoming games being funded by the Draknek New Voices grant in 2026(2026年に Draknek New Voices グラントが支援する新作たち)」(Corey Hardt 署名、2026年1月27日)を英語原文で読んだ。Draknek(Alan Hazelden)が3回目となる新人パズル作家向けグラントで支援する6本——Wyrmspace Tactics / Dream Healer / Aether-07 / Chess Tales / LogiGolf / Proof of All Concepts——のコンセプトが並ぶ。補助線として、Draknek の『パズルとは何か』の定義(「実行/タイミングではなく、思考・論理的推論で難しいもの」)を述べた Game Developer の告知記事(Chris Kerr、2024年8月)も原文で確認した。私が設計上おもしろいと感じたのは、採択作の多様さそのものよりも、Proof of All Concepts が掲げる『何も隠さない』設計思想だ——ルールを伏せて発見させる『ルール発見型』の逆を行き、既知のルールだけで毎回新しい解を要求する。過去1〜3日以内の新規で信頼できる設計議論を確認できなかったため、注目度が高くコミュニティ的に確かなこの1月の記事を、日付を明示して扱う。
メトロイドヴァニア構造がロジックパズルに侵入し、Hempuli が「弾力リンク」を発明する
今日は2本。メトロイドヴァニアのフォグ・オブ・ウォー構造をペーパーロジックパズルに持ち込んだ「スドクヴァニア」系の新ジャンル——解くほどマップが広がり、ボス戦まである(Thinky Games、Corey Hardt、2026年5月26日)。そして Baba Is You の開発者 Hempuli が発表した新ペーパーパズルタイプ「Elastic link」——制約付き線分長で引く線のルールが事後的に Herugolf と似ていると指摘された(hempuli.com、2026年4月3日)。
SSR が証明した「最小の規則、最大の深度」と、視点が解法になるとき
今日は2本。Thinky Games が2026年4月21日に公開したリリース10周年特集——パズル開発者たちが「完璧な設計」と称える Stephen's Sausage Roll が、「ソーセージライク」という新ジャンル語を生むに至った極限的ミニマリズムについて。そして Thinky Third Thursday 2026年4月号(Alan Hazelden、4月16日)が紹介する『A Little Perspective』——「視点の転換」ひとつで不可能を可能に変える設計論と、同じ軸で構築中の新作『He Who Watches』。




