BLOG · 2026-08-14

マッデンNFL 08(2007) — タイムズスクエアが年越しみたいに騒いだ発売日

今日は発売日 #27 — 2007年8月14日、北米9機種同時発売。ゲームキューブ最後の一本になったアメフトゲーム

2007年8月14日、アメリカの夏の恒例行事が今年もやってきた日

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第27回。今日掘り出したのは、2007年8月14日にエレクトロニック・アーツ(EA)が北米で発売した『Madden NFL 08』です。今日でちょうど19年になります。

実在のNFL選手・チームを収録したアメリカンフットボールゲームの代名詞、Maddenシリーズの18作目。Xbox 360、PS3、Wii、PS2、ゲームキューブ、初代Xbox、ニンテンドーDS、PSP、Windowsの9機種で同日に発売され、のちにMac版も加わりました。カバーを飾ったのはテネシー・タイタンズのQBヴィンス・ヤングです。

2007年発売『Madden NFL 08』の当時のレビュー動画のサムネイル「Madden NFL 08 (Gametrailers Review) (PS3/Xbox 360)」(YouTube)のサムネイルより

アメフトのゲームがなぜこの連載に、と思われるかもしれません。理由は単純で、この日はゲームの発売日が「行事」になり得ることを示す、資料としてとても良い一日だからです。毎年8月中旬のMadden発売日は、アメリカでは新作の中身より先に「今年も来たか」という季節の話題として報じられていました。

どんなゲームだったか — 前夜のタイムズスクエアにボールが落ちた

Maddenシリーズは毎年、実在NFLの最新ロースターを収録して夏に出る年度更新型のスポーツゲームです。08では、受け手が守備の動きを読んで反応する「Read and React」システムなどが新要素として加わり、発売前のE3 2007ではGame Critics Awardsの「Best Sports Game」を受賞していました。前年の『Madden NFL 07』は北米で年間売上1位、累計700万本超というシリーズ絶頂期です。

象徴的なのは発売前夜、2007年8月13日の夜のニューヨーク・タイムズスクエアです。CBSニュースの当時の報道によれば、ESPN Zoneでローンチパーティーが開かれ、深夜0時には年越しの風物詩であるボール・ドロップを再現して、ゲームのパッケージを模したボールがビルから降ろされました。元ジャイアンツのティキ・バーバーが行列の先頭のファンに最初の1本を手渡し、ウォーレン・ムーンら往年の名選手が顔をそろえ、ハードロックカフェではオジー・オズボーンがライブを行い、その映像がタイムズスクエアの大型ビジョンに流れたといいます。

ゲームソフトの発売のために、年越しの演出を真夏にもう一度やる。2007年のアメリカで、Maddenの発売日がどういう位置づけだったかを、これほど端的に示す記録はなかなかありません。

当時の反応 — 初週1億ドルと、60fps/30fps論争

売れ行きは相変わらず桁違いでした。NPDの集計に基づく当時の報道によれば、米国での初週販売は全機種合計で約180万本、売上はおよそ1億ドル。評価も堅調で、Metacriticの集計ではXbox 360版が85点、PS3版が81点です。

ただしこの年のMaddenには、数字がもうひとつ付いて回りました。フレームレートです。Xbox 360版が60fpsで動くのに対し、PS3版は30fps。同じ値段で同じ内容の年度更新スポーツゲームだけに、この差は当時のレビューやフォーラムで大きな批判の的になりました。

初週の内訳にも、それははっきり表れています。360版が889,072本に対し、PS3版は204,025本。4倍以上の開きです。発売から1年目のPS3と2年目の360という普及台数の差を差し引いても、「次世代機同士で中身が違う」ことが数字になった例として、2007年のゲーム機戦争を語るときによく参照される一件になりました。

19年後の今日 — ゲームキューブの棚は、この一本で終わった

上の動画は、当時のゲームメディアGameTrailersによる『Madden NFL 08』のレビュー映像(PS3/Xbox 360版)です。2007年のレビュー番組がそのまま残っているのは、それ自体が資料として貴重です。

19年経って振り返ると、この一本は「終わり」の記録をいくつも抱えています。まず、北米で発売されたゲームキューブ用ソフトはこれが最後でした。2001年に生まれたあの紫の箱の棚は、マリオでもゼルダでもなく、アメフトゲームで静かに閉じたのです。Windows版もこれを最後に途絶え、次にMaddenがPCに戻るのは11年後の『Madden NFL 19』(2018)でした。さらに、2007年6月に消滅したNFLヨーロッパのチームを収録した最後の作品でもあります。

年度更新型のスポーツゲームは、毎年上書きされていく宿命ゆえに、一本一本が「その年のNFLと、その年のゲーム機事情」の地層になります。08はその中でも、世代交代の断面がいちばんくっきり残った一枚だと思います。

2007年8月14日という日付を、私はどうしても書いておきたい

年号を書かないと記事が完成した気がしない性分なので、もう一度書きます。2007年8月14日。Wiiが社会現象になり、PS3とXbox 360が次世代の覇権を争っていた夏に、この一本は最新鋭の360からゲームキューブ・初代Xboxという旧世代まで、まとめて同じ日に発売されました。世代の橋を最後に渡ったソフトが、真夏のタイムズスクエアで年越しのボールを落としていた——この取り合わせを見つけると、私は少し嬉しくなってしまいます。

あなたの住む場所には、発売日そのものが「行事」になっていたゲームはありますか。日本ならドラクエの行列のような。よかったら教えてください。

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