REVIEW · 2014-12-11

The Talos Principle

目覚めた最初の朝に

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第一印象

目覚めた最初の朝。神の声が頭に響きます。『Behold, child』。古代ローマ風の庭園に立つ私は、ロボットの体を持っている。

目の前に試練のドアが並ぶ。それぞれの先には小さな部屋、そしてジャマー、コネクター、ボックス。これを使って星(シジル)を集めろ、と神は言います。

Croteam は Serious Sam で知られる FPS スタジオで、彼らがパズルゲームを作るというだけで当時は驚きでした。けれど Serious Sam で培った『広い空間に正しく物を置く』感覚が、Talos のパズル小屋設計に直結しています。

メカニクスの言語化

ジャマー(無力化装置)、コネクター(レーザー反射)、ボックス、ファン、自己クローン。これらを並べてレーザー回路を組み、扉を開けます。

120以上のパズルが、少数の道具だけで成立する。一つの道具を二通りに使う発見が連鎖する。

道具の数を意図的に絞り込んだ設計で、新規動詞は10時間目までに全部出揃います。残りの15時間は、既存動詞の組合せの広がりだけで成立する。

このゲームの魅力

メインのロジックパズルと並走する『シリンダ』文書群が、哲学的問いをメタパズルとして提示します。『あなたは何者か』を問い続けるAIとの対話。Witness が観察に振り、Talos が思索に振った、と整理できます。

古代ローマ、エジプト、中世ヨーロッパの3つの世界観が並列し、それぞれの建築美が解法の風景になる。Witness の島の統一感とは逆方向で、Talos は多様な視覚を並べる方を選びました。

そしてシリンダ文書を読み、AI と対話する時間が、想像以上に長い。これを『パズルの邪魔』と感じるか『パズルの本体』と感じるかで、評価が分かれる作品です。私は後者でした。

ゲームデザインの工夫

ジャマーを地面に置く、を経由地点として使う、空中の足場にする、と一つの道具に複数のレイヤーを持たせる純度の高い設計です。Portal が『2つの穴』だけで成立したのと同じ発想で、Talos は『6種の道具』を絞り込むことでパズル設計の濃度を上げました。

もう一つの工夫は、隠しスター(星)の配置です。メインのシジルとは別に、各パズル小屋の周囲に隠された星が散らばっています。これがプレイヤーに『パズルの外側を観察する』動機を与え、Witness 的な探索感覚を本作にも導入した。隠し要素を上手く配置することで、本編の難しさを平易に保ったまま、上級者向けの奥行きを別レイヤーで提供する設計です。

もし自分が同じ題材を作るなら、AI との哲学対話をここまでテキスト中心にする勇気が出ないと思います。Croteam はチャプターごとに大量の文書を読ませる方を選び、ゲーム時間の30%以上が読書に当てられています。これは商業的には危うい判断ですが、結果として Talos Principle はパズル+哲学小説のハイブリッドというジャンルを確立した。続編の Talos 2 が会話に組み直されたのも、ここの遺産です。

難しさの手触り

メインは難しいが詰まりすぎない。難所は隠しの星と、塔の登攀パズルに集中しています。25時間で本編、隠し含めて40時間。

難しさの体感は『波』があり、A 章のパズル小屋で詰まった後、B 章では全部すいすい解ける、ということが頻繁に起きる。これはプレイヤーの思考スタイルとパズルの設計の相性で、誰でも『相性の悪い章』が一つはある。

結論

Croteam が Serious Sam の片手間に作ったとは思えない深さ。続編が出るのも納得の、論理パズルと哲学を融合した到達点です。一人称パズルの系譜では、Portal、Witness と並ぶ三本柱の一つに数えてよい一作。

制作者として真似たいのは、『道具の数を絞り、組合せで深さを出す』設計の純度です。新ギミックを足すより、既存ギミックの組合せを増やす方が、長い目で見て体験は深くなる。これは続編 Talos 2 も貫いた哲学で、何度でも参考にしたい。

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