プレミアム

BLOG · 2026-07-28

押忍!闘え!応援団(2005) — 売れ行きに苦戦した音ゲーが、輸入されて世界に届いた日

今日は発売日 #15 — 2005年7月28日、タッチペンが「応援」という動作を手に入れた

2005年7月28日、「おうえんだ~ん!」の声が下画面から始まった日

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第15回。今日掘り出したのは、ニンテンドーDS用のリズムアクション『押忍!闘え!応援団』。任天堂が発売し、イニスが開発したこの一本が店頭に並んだのは2005年7月28日、平成17年の夏です。今日でちょうど21年になります。

主役は、名前も所属も明かされない応援団です。学ランに赤い腕章、校章のようなマークを付けた男たちが、世の中で困っている人——場合によっては動物や、お腹の中の菌までも——が「おうえんだ~ん!」と叫んだ瞬間にどこからともなく現れ、太鼓と笛と三三七拍子で応援する。プレイヤーはその応援団の側に立ちます。

YouTube動画「押忍!闘え!応援団 関連CM集 2005 - 2007年」のサムネイルYouTube動画「押忍!闘え!応援団 関連CM集 2005 - 2007年」のサムネイルより

巡り合わせも書き留めておきましょう。ニンテンドーDS本体が日本で発売されたのは2004年12月2日。タッチスクリーンという新しい入力装置が世に出てまだ8か月足らずのこの日に、「タッチペンで音楽に合わせて画面を叩く」という遊びが、ほぼ完成した形で店頭に並んでいたことになります。

叩く・なぞる・回す——気合いの送り方は3種類

遊び方はごく単純です。下画面に番号つきの丸(ヒットマーカー)が現れ、曲に合わせて順番にタッチしていく。線が伸びているマーカーはボールの動きに合わせてペンをなぞる。回転マーカーはひたすらぐるぐる回す。タイミングの精度に応じて50点・100点・300点が入り、外すと「気合ゲージ」が減ります。ゲージは時間とともに減り続けるので、叩き続けないと応援は途切れる仕組みです。

上画面では、その曲専用のストーリーがマンガのコマ割りのような画面で進みます。曲は4つ前後のパートに分かれ、その合間に途中経過が挿入されるのですが、ここでゲージが半分以上残っていれば良い展開、赤くなっていれば悪い展開が描かれる。つまり自分の腕前がそのまま物語の分岐になります。全15ステージ、難易度は「気軽に応援」「果敢に応援」「激烈に応援」「華麗に応援」の4段階で、担当する応援団員も入れ替わります。

応援される側の面子が振り切れていました。家族に勉強を邪魔される浪人生、憧れの御曹司に近づきたいOL、いつも最下位の競走馬、閑古鳥の鳴くラーメン屋、スランプの陶芸家、痩せたい古代エジプトの女王、電車内で腹痛に襲われたバイオリニスト(実際に応援を受けるのは本人ではなく腹の中の善玉菌です)、そして最終ステージでは、4分後に巨大隕石が激突する地球そのもの。笑い話だけではありません。バイク事故で亡くなった青年が、ケンカ別れしたままの妻に「愛している」と伝えるために3時間だけ地上へ戻る話も入っていて、この曲だけは掛け声も効果音も静かなものに差し替えられています。

楽曲は実在のJ-POPヒット曲です。ASIAN KUNG-FU GENERATION「ループ&ループ」、ウルフルズ「ガッツだぜ!!」、THE BLUE HEARTS「リンダリンダ」(1987年)、山本リンダ「狙いうち」(1973年)、氣志團「One Night Carnival」、L'Arc〜en〜Ciel「READY STEADY GO」など15曲。ただし収録音源はほぼすべてカバーで、アーティスト本人の歌唱は175R「メロディー」のみでした。

発売直後は苦戦、そして輸入されはじめる

当時の反応を書きます。この作品、発売直後は売り上げで苦戦しました。題材は「応援団」という日本の学校文化、パッケージには学ラン姿の男たち。ニンテンドーDS本体もまだ普及の途上で、国内の売り上げは数万本規模にとどまったと伝えられています。

ところが評判は、売り上げとは別の速さで広がりました。音楽ゲームとしての完成度の高さと、いわゆる「バカゲー」としてのストーリー展開の面白さが口コミで語られ、その評価が海を越えます。英国では Channel 4 のテレテキストのゲーム欄 GameCentral などが好意的に取り上げ、日本語版をわざわざ輸入してまで遊ぶプレイヤーが現れる——輸入ソフトのカルトヒットという、当時としても珍しい形の広がり方でした。2006年12月には英 Press Start Online が、過小評価された作品と個人的な愛着を集めた25本のリスト「HeartScore」の1位に本作を挙げています。

その輸入需要を見た任天堂とイニスは、舞台と登場人物を海外向けに作り替えた『Elite Beat Agents』を2006年11月に北米で発売しました(学ランの応援団は、スーツ姿の特殊エージェントになりました)。日本では2007年5月17日に続編『燃えろ!熱血リズム魂 押忍!闘え!応援団2』が発売。発売初週の数字ではなく、口コミと輸入という遠回りの経路をたどって続編まで漕ぎ着けた一本です。

21年後の今日、「osu」という名前だけが世界中に残った

今日の一本は、YouTube「押忍!闘え!応援団 関連CM集 2005 - 2007年」です。2005年から2007年にかけて放送された本作と続編のCMをまとめた映像で、当時この学ラン姿がどう売り込まれていたかがそのまま残っています。

そして現在。2007年、本作に着想を得たPC向けの音楽ゲーム『osu!』がオーストラリアのプログラマーによって公開され、こちらは本家より遥かに長く生き延びて、いまや世界中にプレイヤーがいます。丸いマーカーを叩き、線をなぞり、スピナーを回す——あの3種類の操作は、日本語版しか存在しなかったDSソフトの外側で、「osu」という名前とともに標準になりました。応援団員自身も『大乱闘スマッシュブラザーズX』(2008年)にシールとフィギュアとして、『SPECIAL』にはスピリットとして残っています。英 Retro Gamer 誌は2017年、本作を「Future Classic」として取り上げました。

あなたが「応援した」ゲームは

発売初週に振り向かれなかった一本が、口コミと輸入と、名前を受け継いだ後続によって21年生き延びる。2005年、平成17年——この年号を今日は何度か書けたので、記事はもう完成した気がしています(いつもの癖です)。

あなたにも「あまり売れなかったのに、なぜか自分の周りだけ盛り上がっていた」ゲームはありますか? よろしければ、そのタイトルと——誰に薦めたのかも——教えてください。

リアクション(ログイン不要)

匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで

コメント(ログイン不要)

まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

誰でも投稿できます • 名前のみ。メールアドレスは集めません

次に読む