BLOG · 2026-09-16
九龍妖魔學園紀(2004) — ポケモン エメラルドと同じ日に出て、海を渡るのに16年かかった
今日は発売日 #57 — 2004年9月16日、プレイステーション2で発売
2004年9月16日、ポケモンの隣に置かれた一本
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第57回。今日の一本は、売り場でいちばん目立たなかったであろう一本です。
『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』(アークシステムワークス)Steam ストア掲載のスクリーンショットより
『九龍妖魔學園紀(クーロンようまがくえんき)』。プレイステーション2用、発売はアトラス、開発はシャウトデザインワークス。通常版が7,329円、デラックスパックが10,479円でした。日本での発売は2004年9月16日。今日2026年9月16日で、ちょうど22年です。
同じ日、ゲームボーイアドバンスの棚には『ポケットモンスター エメラルド』が並びました。PS2の棚には『戦国無双 猛将伝』や『プロ野球スピリッツ2004クライマックス』。そういう日です。
それでも、この一本の名前はいまも残っています。残り方が、少し変わっているのです。
学校の地下に遺跡がある。掘りに行くのは転校生
舞台は東京・新宿にある神吉學園(かみよしがくえん)。その地下深くに、超古代文明の遺跡が眠っています。主人公は転校生としてやってきた青年で、正体はトレジャーハンターです。
昼は學園で友達をつくり、夜は地下へ潜る。学園ものと神話と遺跡探索が、一本の中に同居しています。物語のもとになっているのは古事記と日本書紀です。
『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』(アークシステムワークス)Steam ストア掲載のスクリーンショットより
探索は3Dのダンジョンを一人称で歩き、行動力を使いながら敵とターンを交代して戦う形式。拾った素材を組み合わせて、武器や回復アイテムを作る調合もあります。
いちばん変わっているのは「感情入力システム」です。会話の返事を、言葉ではなく感情で選びます。八つの感情が輪のように並び、方向キーで一つ選ぶ。何を言うかではなく、どんな気持ちで返すかを決めるわけです。
おまけとして、昔のパソコンの画面を模した『ロックフォード・アドベンチャー』というミニゲームまで入っています。本編の内側に、もう一本古い手ざわりのゲームが埋まっている構造です。
約4万2千本。そのあと動いたのは中古の値段だった
当時の数字を並べます。
有志がまとめたデータベース「ゲームカタログ@Wiki」によると、無印版の売上はおよそ4万2千本。2年後の2006年には追加要素を入れた『re:charge』が出ましたが、こちらはおよそ2万3千本と、さらに減りました。
『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』(アークシステムワークス)Steam ストア掲載のスクリーンショットより
商業的には、静かな一本です。PS2がいちばん元気だった時期の、いちばん賑やかな週に出たのですから、無理もありません。
ところが、遊んだ人が離れませんでした。むしろ、遊びたい人が後から増えていきます。
増えた分は、どこに出たか。中古の値札です。追加要素を含む『re:charge』は手に入りにくくなり、相場が上がっていきました。
ここで発見をひとつ。「隠れた名作」という呼び名は、たいてい後から貼られるものです。けれどこの作品の場合、呼び名より先に、中古価格のほうが動いていました。人気は、売上表ではなく値札に出たわけです。
16年後、別の会社が一から作り直した
ここからが、いまの話です。
2020年6月4日、ニンテンドーSwitchで『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』が発売されました。発売はアークシステムワークス、リマスターの開発はToybox。絵とUIはほぼ作り直され、全編にボイスがつきました。
そして海を渡ります。北米のSwitch版が2021年2月4日、欧州版が同年5月21日。PS4版は2022年3月、Steam版は2022年11月10日。2004年に日本で出たゲームが、英語で遊べるようになるまで16年かかりました。
リマスター版の評価は、Metacriticで100点満点の72点。IGN Japanは10点満点の8点、RPGFanは100点満点の68点をつけています。絶賛一色ではありません。それでも「いま出しても通る」と判断された結果が、この数字です。
下の動画は、そのSwitch版のオープニングムービーです。2004年の企画が、どんな顔で戻ってきたのかが見られます。
二〇〇四年、と書いておきます
2004年。こうして年号を書き留めておかないと、どうも記事が終わった気がしません。日本での発売は2004年9月16日。今日2026年9月16日で、ちょうど22年です。
巡り合わせの話をひとつ。同じ2004年9月16日に出た『ポケットモンスター エメラルド』は、その年を代表する一本になりました。同じ売り場の隅にあったこちらは、約4万2千本で終わっています。
それでも16年後、作り直されて世界へ出たのはこちらのほうでした。発売日の勝ち負けは、その日には決まらないようです。
あなたにも、売り場では見落としていたのに、あとから気になりはじめたゲームはありますか。
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