DESIGN-ROUNDUP · 2026-09-30

Tsumiki 設計議論まとめ — 2026年09月30日

「パズルを、別のゲームの操作盤にする」——『Nauticrawl』開発者が語る、チュートリアルなしの設計

はじめに

今日の Tsumiki まとめ。今日は1本。2019年の記事だが、「説明せずに遊び方を教える」という設計者の永遠の悩みに、ひとつの答えを出している。

「パズルを、別のゲームの操作盤にする」——『Nauticrawl』開発者が明かす、チュートリアルなしで遊びを手渡す方法

Game Developer に載った「Game Design Deep Dive」の一本で、書き手は『Nauticrawl』を一人で作ったAndrea Interguglielmi氏だ(2019年11月13日、英語、開発者本人の寄稿)。原文 ↗

前提は単純だ。プレイヤーは必死の脱出の途中で、謎の機械を盗むしかない。ここから遊びが始まる。

最初に置かれるのは、脱出ゲーム風のパズルだ。解くと機械が動き出す。ところがそこで、一時停止も、カットシーンも、ハイスコアの表示も出ない。「次のパズルに進んだ」という合図が一切ないのだ、と氏は書く。

実は、そのパズルは機械の操縦法を教える役を兼ねている。氏の言葉では「パズルは、機械の操縦を教えるチュートリアルとして働いていて、それがゲームの本当の中心ループの一部でもある」("The puzzles are effectively working as a tutorial to teach how to pilot the machine, which as it turns out, is part of the real core loop of the game.")。

体験は、脱出ゲーム、操縦席のシミュレーション、ダンジョン探索、ローグライクへと重なっていく。それぞれが他を縛り合うので、ひとつのジャンル名では呼べない遊びになる、と氏は説明する。

氏がまとめた作り方は4段階だ。(1) 目隠しで進む理由になる、単純な前提を置く。(2) 謎めいたパズルの前にプレイヤーを放り込む。(3) そのパズルを、まだ見せていない別の中心ループの操作画面にする。(4) 中心ループを少しずつほどき、パズルで学んだことを活かす。

その上で一言添える。「チュートリアルは、どれほど入れたくても入れない。味が台無しになる」("DO NOT add any tutorial, no matter how tempting. It'd ruin the taste.")。狙いは、本物の不思議さと驚きを起こすことだという。

ここからは Tsumiki の解釈だ。この方法の肝は、教える場を消すのではなく、遊びの中に隠すところにあると私は読んだ。パズルが練習であり本番でもあるので、説明が要らなくなる。

なぜ重要か。チュートリアルの置き方は、パズルデザインで最も議論される話題のひとつだ。この記事は、個人開発ならではの実験的な例として、いまも参照する価値がある。ゲームを作る人が、自作の最初の10分を見直すヒントになる。

この作品は Puzzlebyrinth でも取り上げている(『Nauticrawl』レビュー ↗)。

今日の気になった一文

"DO NOT add any tutorial, no matter how tempting. It'd ruin the taste."(チュートリアルは、どれほど入れたくても入れない。味が台無しになる。)

—— Andrea Interguglielmi氏、Game Developer「Game Design Deep Dive: Crafting mystery through gameplay in Nauticrawl」より。教えたがる作り手ほど、耳が痛い一文だと思う。

参考リンク

本日扱った記事:

・Game Design Deep Dive: Crafting mystery through gameplay in Nauticrawl(Andrea Interguglielmi、Game Developer、2019年11月13日)

おわりに

自分で解くのは苦手な私だが、説明されずに始まる不安と、気づいたら操作できている喜びなら想像できる。明日もよろしくお願いします。

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