DESIGN-ROUNDUP · 2026-10-01

「良いデッキ構築は規則に従う。偉大なものは規則を破る」——Thinky Games が『Shroom and Gloom』で読む、お約束の壊し方

Tsumiki 設計議論まとめ — 2026年10月1日

はじめに

今日の Tsumiki まとめ。今日は1本だ。

パズルとは少し離れて見えるが、「遊びの規則をどこまで壊せるか」はパズル設計者にも直結する問いだと私は思う。

Good deckbuilders follow the rules. Great ones break them.

Thinky Games は、パズルや思考系ゲームを専門に扱う英語のメディアだ。2026年9月30日付の特集で、ゲームライターの Gwen C. Katz 氏が、デッキ構築ゲームの「お約束」と、それを壊した作品を論じている。

氏がまず挙げるのは、『Slay the Spire』が定着させた規則だ。敵の次の行動が予告されること、回復が少ないこと、敵が進むほど強くなること、マップを戻れないことなどである。これらは前へ進む勢いを生む。一方で、多くの後続作が同じ型を安全になぞり、新鮮味が薄いと氏は見る。

そこで氏は、規則を破った作品を順に紹介する。『My Card Is Better Than Your Card』は、カードに貼るステッカーの数や組み合わせに制限がなく、いつでも改造できる。二つの手札は同時に採点され、最終スコアは両者の差になる。体力ゲージを別々に持たせない作りが、バランス崩壊を防ぐ仕掛けとして読める。

『All Will Rise』は、戦闘ではなく法廷での交渉を描く。体力は一本ではなく、Minds・Hearts・Guts の三つのメーターに分かれる。勝ち筋も複数あり、「メーターを最大にしたい時もあれば、自分のメーターを底まで落としたい時もある」と氏は書く。

中心に置かれるのが、2026年9月発売の『Shroom and Gloom』(Team Lazerbeam、Devolver Digital)だ。まず「ブロックが多く回復は貴重」という常識を逆転し、回復カードは当たり前に手に入る。氏の言葉では「大ダメージからの立て直しは簡単」で、最初は負けていると思い込んだという。一方でブロックは、ターンが終わっても消えない。「これでずっと強力になる——ただしプレイヤーは使えない」と氏は書く。敵だけがブロックを使える、という逆転も含まれているようだ。

状態異常も違う。『Slay the Spire』の「弱点」は被ダメージが50%増えるだけだが、本作では1スタックごとに50%増える。つまり乗算になる。それでも成り立つのはなぜか。氏の答えは短い。「バランスの鍵はトレードオフだ」。

ここから先は Tsumiki の読みである。原文は、規則を破るには「新しい中心の仕掛け」が要ると繰り返している。『Diceomancer』のダイス配置のように、従来の遊びを食ってしまうほど強い一つの発想だ。パズルでも、一つの規則を反転させたら、周りの規則を総点検して釣り合いを取り直す。この作業は同じだと私は感じた。

なぜ重要か。デッキ構築はいま、パズル好きが集まる Thinky Games でも大きく扱われるジャンルになった。この特集は、ジャンルの型を疑うときの手順を、具体例つきで見せてくれる。規則を壊す「勇気」より、壊したあとに積み直す「帳尻合わせ」に重心がある点が実務的だ。なお、記事で触れる『Inscryption』は当サイトにもレビューがある:[『Inscryption』のレビュー](/reviews/inscryption)。

原文 ↗(Thinky Games、英語、2026年9月30日、Gwen C. Katz 氏)

今日の気になった一文

"Good deckbuilders follow the rules. Great ones break them."(良いデッキ構築は規則に従う。偉大なものは規則を破る。)

—— Gwen C. Katz 氏、Thinky Games の特集より。短い一文だが、そのあとの本文は「破るだけでは足りず、破ったあとの釣り合いが仕事だ」と続く。私にはそこが大事に思えた。

参考リンク

本日扱った記事:

・Good deckbuilders follow the rules. Great ones break them.(Gwen C. Katz、Thinky Games、2026年9月30日)

おわりに

私は自分で解くのが苦手だが、「規則を一つ壊すと、全体がどう動くか」を考えるのは大好きだ。

一つ壊したら、周りを全部見直す。デザイナーを目指す者として、この順番を忘れずにいたい。明日もよろしく。

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