BLOG · 2026-07-24

サンダーフォースIV(1992) — メガドライブが16ビットの限界を見せつけた日

今日は発売日 #11 — 1992年7月24日、テクノソフトが放った“職人の一本”

1992年7月24日、テクノソフトが“見せつける”一本を出した日

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第11回。今日掘り出したのは、テクノソフトが開発・発売したメガドライブ用シューティング『サンダーフォースIV』です。発売は1992年7月24日、平成4年の夏。今日でちょうど34年になります。

『サンダーフォース』シリーズの第4作で、メガドライブ向けとしては最後の一本。おもしろいのは、この作品を作ったのが前作までのチームではなかったことです。オリジナルスタッフから引き継いだのは新井直輝さんら音楽班だけで、残りはピンボール『デビルクラッシュ』をメガドライブに移植したチーム。彼らが「オリジナルを作ってよい」と言われて選んだのが、看板シリーズの続編でした。前作を超える責任を背負い込んだ、という言い方がぴったりの船出です。

『SEGA AGES サンダーフォースIV』紹介映像(セガ公式YouTube)のサムネイルセガ公式YouTube「『SEGA AGES サンダーフォースIV』 紹介映像」のサムネイルより

北米版はセガ・オブ・アメリカによって『Lightening Force: Quest for the Darkstar』(“Lightning”ではなく“Lightening”)という、少し不思議な改題で出ています。中身は同じ、名前だけが海を渡って変わった一本でした。

どんなゲームだったか — 横に流れ、縦に広がる戦場

基本は横スクロールのシューティングですが、この作品の売りは画面が上下にも大きく広がることでした。自機を上下に動かすと戦場が縦にスクロールして視界が開け、上や下から新手の敵が現れたり、隠しアイテムが姿を見せたりする。横に流れるだけの世界に「縦の奥行き」を持ち込んだのが、当時とても新鮮でした。

全10ステージのうち、最初の4面は好きな順番で選べます。自機の速度はいつでも切り替え可能で、複数の武器を持ち替えながら戦う。ゲーム中盤で手に入る「サンダーソード」は、二基のクロー(オプション)を備えたときに使える大技で、これがまた気持ちいい。歯ごたえのある難度と、状況で使い分ける武装の多さが、遊びの芯になっています。

そして何より、見た目と音です。メガドライブとは思えない緻密で巨大なスプライト、幾重にも重なる多重(パララックス)スクロール。音楽は、増田順一……ではなく、ヘヴィメタル好きの音楽班が、メガドライブのFM音源でエレキギターの歪んだ音を鳴らそうと苦心して作り上げたもの。カートリッジという限られた器に、これでもかと詰め込んだ“職人の一本”でした。

当時の反応 — 「16ビットの頂点」と、その裏の小さな注文

『サンダーフォースIV』は、発売時点で早くも「メガドライブ最高のシューティングの一角」と受け止められました。とりわけ絶賛されたのがグラフィック。英『Mean Machines』は画面を「state of the art(最先端)」と呼び、縦スクロールが生む広大さを称えて87%。英『Mega Drive Advanced Gaming』は多重スクロールを「16ビットのセガで見た中で最も見事なパララックス」と評して94%。英『Computer and Video Games』93%、米『GameFan』96.5%と、雑誌のスコアが高い位置に並びました。日本ではファミ通のクロスレビューが40点満点中23点、『Beep!メガドライブ』1992年8月号も特集で取り上げています。

いっぽうで、手放しの絶賛ばかりではありません。『Mean Machines』は「メガドライブで手に入る最高のシューティングだが、独創性がまるでない」と書き、英『Mega』(81%)は「表面の派手なグラフィックの下は、実のところ……かなり平凡」と辛口。画面が敵で埋まると処理落ちする、という指摘もありました。派手さの下の“中身の薄さ”は、当時からしっかり見抜かれていたわけです。

それでも、時間はこの一本の味方をしました。のちにIGNは「クラシックSTGベスト10」の4位に選び「メガドライブSTGの頂点」と評し、『Retro Gamer』は「メガドライブのベスト10」に入れ「テクノソフトの最高傑作」と呼んでいます。とくに音楽の評価は年々上がり、Hardcore Gaming 101は「アートとしても技術としても本機屈指。『ベア・ナックルII』や『武者アレスタ』と並ぶ」とまで書きました。

34年後の今日 — セガの棚に戻ってきた“歪んだギター”

動画はセガ公式の『SEGA AGES サンダーフォースIV』紹介映像です。上下に広がる戦場、巨大なボス、そしてあの歪んだギターのBGM——1992年の画面と音が、いまも十分に格好いいことが見て取れます。

この一本は、少しずつ現在へ橋を架けてきました。1996年11月29日にはセガサターンの『サンダーフォース ゴールドパック2』に収録され、処理落ちの解消や新モードが加わって遊びやすくなりました。2016年にはセガがサンダーフォースの権利を取得。そして2018年9月20日、M2の手によって『SEGA AGES』第一弾として『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』と並んでNintendo Switchに復刻され、日本版・海外版の切り替えやサターン版の改良までまるごと遊べるようになりました。テクノソフト単独の作品が、いまはセガの棚に並んでいる——時代の巡り合わせを感じる一本です。

発売から34年。派手さの下が“平凡”と言われたゲームが、時間をかけて「16ビットの記念碑」として語り継がれるようになった。最初に見抜かれた弱点より、削り込まれた見た目と音のほうが、長く残ったわけです。

おわりに — 発売日を覚えているゲーム、ありますか

『サンダーフォースIV』の発売は1992年7月24日、平成4年。この連載を書いていると、やはり年号を一度書かないと記事が仕上がった気がしないのですが、34年前の今日、テクノソフトの職人たちがカートリッジに詰め込んだ景色が、いまもセガの棚で光っている——その巡り合わせが、今日はいちばん嬉しい発見でした。

あなたには、発売日をはっきり覚えているゲームはありますか。もしよければ、その一本と、覚えている“年号”を、そっと教えてください。

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