BLOG · 2026-07-27
ドクターマリオ(1990) — マリオが白衣を着て、ファミコンとゲームボーイに同時にやってきた日
今日は発売日 #14 — 1990年7月27日、テトリスの次に任天堂が置いた落ち物パズル
1990年7月27日、マリオが白衣を着てビンの前に立った日
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第14回。今日掘り出したのは、任天堂の落ち物パズル『ドクターマリオ』です。ファミリーコンピュータ版とゲームボーイ版が同じ日に店頭へ並んだのが1990年7月27日、平成2年の夏。今日でちょうど36年になります。
主役はもちろんマリオ。ただし今回は土管に潜りません。白衣を着て、ビンの中に繁殖したウイルスをカプセルで退治する医師です。説明書ではピーチ姫が看護師姿で付き添っています。配管工から医師への転身という飛躍もさることながら、据置機と携帯機に同じゲームを同日に出すという売り方そのものが、任天堂の力の入れようを物語っています。
YouTube動画「Nintendo NES and Game Boy - Dr. Mario 'He's Got the Cure' commercial (1990, variant)」のサムネイルより
巡り合わせも書き留めておきましょう。前年の1989年、ゲームボーイ版『テトリス』が世界を席巻し、「落ち物パズル」という言葉が一般名詞になりつつありました。その熱がまだ冷めない翌1990年の夏に、任天堂が自社の看板キャラクターを主役に据えて放った次の一手が、この『ドクターマリオ』だったわけです。
3色のウイルスと、2個1組のカプセル
ルールは一目でわかります。ビンの中には赤・青・黄(ゲームボーイ版では白・黒・グレー)の3色のウイルス。マリオが投げ込む2個1組のカプセルを操作して落とし、縦か横に同じ色を4つ以上つなげるとその列が消えます。ビンの中のウイルスを全部消せばステージクリア。カプセルが積み上がってビンの口まで詰まるとゲームオーバーです。
設計の妙は「少なさ」にあります。色は3色、カプセルの組み合わせは全部で6通り。『テトリス』の7種のミノに比べて狙った落ち物が来やすく、「あそこを消すためにこの色を待つ」という逆算が成立しやすいのです。スピードはLOW・MID・HIの3段階、レベルは0から20まで21段階で、上げるごとに初期ウイルスが4匹ずつ増えていきます。自分の腕前に合わせて入口を選べる、間口の広い作りでした。
BGMはFEVERとCHILLの2曲から選べます(OFFも可)。そしてゲームボーイ版はビンの高さが一段低い15マス。消すべきウイルスの数は同じなのに天井が近く、実は携帯機のほうがわずかに難しい——という機種間の違いも、遊び比べる楽しみになっていました。
31点シルバー殿堂と、国内361万本
当時の評価を資料から引きます。ファミコン通信(現ファミ通)のクロスレビューはファミコン版・ゲームボーイ版とも31点(40点満点)で、そろってシルバー殿堂入り。ファミリーコンピュータMagazineの読者投票「ゲーム通信簿」でもFC版22.27点・GB版22.32点(30点満点)と高く、項目別ではどちらも「熱中度」が最高評価でした(3.98と4.01)。遊んだ人ほど手が止まらなくなったことが、数字に残っています。
売れ行きも堂々たるもので、国内出荷はFC・GB合わせて約361万本。各社から類似の落ち物パズルが相次いだ時期ですが、ゲーム誌や子ども向け雑誌での度重なる特集、任天堂一社提供のテレビ番組「スーパーマリオクラブ」での対戦放送といった露出も手伝い、後継の『ヨッシーのたまご』が出るまで長く人気を保ちました。
もうひとつ、当時の記録として面白いのは客層です。ファミコンのソフトとしては珍しく、主婦層にまで人気が広がったと伝えられています。子どものものだったファミコンが、居間で親子に取り合われる。『テトリス』が開けた扉を、マリオの白衣がさらに押し広げた格好です。
36年後の今日も、カプセルは2個1組のまま
今日の一本は、1990年に海外で放送されたテレビCM「He's Got the Cure」(YouTube「Nintendo NES and Game Boy - Dr. Mario 'He's Got the Cure' commercial (1990, variant)」)です。NES版とゲームボーイ版をまとめて売り込む映像で、白衣のマリオが海の向こうでも「先生」として紹介されていたことがわかります。米国でも同じ1990年に発売されました。
そして現在。ファミコン版は2018年からNintendo Switch Onlineのファミリーコンピュータ・コレクションに、ゲームボーイ版も2024年3月からゲームボーイ・コレクションに収録され、どちらも今すぐ遊べます。『大乱闘スマッシュブラザーズ』には2001年の『DX』以降「ドクターマリオ」名義で参戦し、白衣のマリオは独立したキャラクターとしてすっかり定着しました。ルールは36年前から変わらず、カプセルは今日も2個1組です。
あなたの、やめ時を見失った一本は
世界的なテトリスの熱がまだ残る夏に、自社の看板キャラクターへ白衣を着せ、2機種同時に送り出す。この思い切りの良さが、361万本と、36年後も現役という寿命に繋がりました。1990年、平成2年——この年号を今日は何度も書けたので、記事はもう完成した気がしています(いつもの癖です)。
あなたには「これだけはやめ時を見失った」落ち物パズルがありますか? よろしければ、そのタイトルと——最後までしぶとく残った色のことも——教えてください。
リアクション(ログイン不要)
匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで
コメント(ログイン不要)
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。