BLOG · 2026-08-03
真・三國無双(2000) — 初回出荷10万本未満から始まった「一騎当千」
今日は発売日 #20 — 2000年8月3日、コーエーが戦場そのものをPlayStation 2に置いた日
2000年8月3日、番号が2から始まる「1」が出た日
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第20回。今日掘り出したのは、コーエー(現・コーエーテクモゲームス)の『真・三國無双』。PlayStation 2用ソフトとして店頭に並んだのは2000年8月3日、平成12年の夏でした。今日でちょうど26年になります。
基本情報を整理しておきます。ジャンルは3Dアクション、開発は同社の制作チーム「ω-Force(オメガフォース)」、キャッチコピーは「三國志の荒ぶる魂、ここに激突!」。そして海外でのタイトルは『Dynasty Warriors 2』です。シリーズ第1作なのに数字が2から始まるのは、1997年にPlayStationで出た前作『三國無双』——こちらは1対1の対戦型格闘ゲームでした——が海外で『Dynasty Warriors』を名乗っていたからです。国内では「真・」を付けて数えなおし、海外では番号を継いだ。この食い違いが、いまも並べるたびに説明を要する箇所になっています。
YouTube動画「(PS2)真・三國無双1 プレイ動画01 by KANAN」のサムネイルより
資料としてもう一点添えておくと、この日のPlayStation 2売り場はかなり賑やかでした。同じ2000年8月3日には『真・三國無双』のほか、コナミ『実況ワールドサッカー2000』、フロム・ソフトウェア『アーマード・コア2』も発売されています。ドリームキャストでは『グランディアII』(ゲームアーツ)が同日。棚の中で、この一本はまだ小さな箱でした。
格闘ゲームをやめて、戦場を出した
どんなゲームだったか。ひとことで言えば、群がる雑兵を薙ぎ倒しながら、砦を落とし敵の大将を討つゲームです。1対多の戦いを描きながら、戦況が刻一刻と変わるリアルタイムシミュレーション的な側面も持っていました。
ジャンル変更の経緯が資料に残っています。企画自体は前作『三國無双』の続編として、当初からPlayStation 2用ソフトとして立ち上がっていました。ただ当時は対戦型格闘ゲームがマニア向けになりつつあり、別のジャンルにしようという話になった。そこへPlayStation 2の仕様が開発側に届き、「この仕様なら戦場そのものを再現できるのではないか」という期待が膨らんで、案が次々に出た——プロデューサーの鈴木亮浩氏が20周年の取材でそう振り返っています。
操作は今日の目で見ても素直です。□で最大4回の通常攻撃、△でチャージ攻撃。□を何回挟むかで技が4種類に変わる仕組み(△だけならチャージ1、□→△で打ち上げ、□□△で気絶、□□□△で広範囲吹き飛ばし)。L1でガード、R1で主観視点に切り替えて弓矢。そして○が「無双乱舞」で、老酒を拾ったり攻撃を当て・受けたりで溜まったゲージを使い、無敵状態で攻撃し続けます。敵武将の無双乱舞とぶつかると鍔競り合いになり、ボタン連打で押し勝たないとゲージを失う——この一瞬の勝負がよくできていました。
使用できるのは蜀・魏・呉の武将に加え、呂布・董卓・袁紹・張角・貂蝉といった他勢力の面々。趙雲から張角まで、この初代の顔ぶれは後年『真・三國無双6』のダウンロードコンテンツとして、有料でクロニクルモードに呼び戻されています。
前評判なし、初回出荷10万本未満から
当時どう受け止められたか。ここが今日の本題です。まず売れ方から。プロデューサーの鈴木亮浩氏によれば、本作には前評判というものがなく、初回出荷本数は10万本にも満たなかった。しかも同じ2000年、PlayStation 2のローンチタイトルとして発売されたコーエーの別作品『決戦』の陰に隠れてしまったといいます。同じ会社の同じ年の中で、注目は別の箱に向いていたわけです。
そこから伸びました。評判が口コミを通じて広がり、ロングセラーになった——というのが鈴木氏の語る経緯です。数字として拾えるものを一つ挙げると、イギリスの販売元ミダス・インタラクティブは2000年8月の発表で、発売日から6週間の間に日本で約30万本が売れたとしています。初回出荷を大きく超えて追いかけた形です。
批評の側も見ておきます。『ファミ通』のレビューは40点満点中31点。海外ではレビュー収集サイトMetacriticで100点満点中75点、区分は「generally favorable reviews(概ね好評)」でした。手放しの絶賛でもなく、切り捨てでもない位置です。
当時の評の温度が伝わる一文を、雑誌『NextGen』(2000年11月号)のDaniel Ericksonから引いておきます。「While it is the first third-person, 3D action game to feature a real-time battlefield, the gameplay is strictly old-school. Fun but not terribly deep.(リアルタイムの戦場を備えた初のサードパーソン3Dアクションではあるが、ゲームプレイ自体は徹頭徹尾オールドスクールだ。面白いが、とんでもなく奥深いわけではない)」。新しさは戦場の側にあって、手触りは古典的——この見立ては、あとから振り返るとかなり正確だったように読めます。奥深さで勝ったのではなく、あの物量の気持ちよさで勝ったシリーズだからです。
そして言葉が残りました。「無双シリーズ」「無双ゲーム」はもはやジャンル名のように使われ、「無双する」という言い方まで日本語に根付いた。その端緒がこの一本です。
26年後の今日、原点は現行機に戻ってきている
動きを見ておきたい方へ。上に置いたのは、YouTube動画「(PS2)真・三國無双1 プレイ動画01 by KANAN」です。□と△の組み合わせでどう技が変わるか、雑兵の物量が2000年のPS2でどのくらいだったか——今日の目で見ると控えめに見えるはずですが、当時はこの数が衝撃でした。
その後の足取りを並べます。翌2001年の『真・三國無双2』で人気が一段跳ね、以降はナンバリングごとに「猛将伝」「Empires」といった拡張が付く形が定着。戦国時代を舞台にした『戦国無双』、他社作品と組んだ『ゼルダ無双』など、派生も次々に生まれました。
現在との接点もはっきりしています。2025年1月17日、シリーズ最新作『真・三國無双 ORIGINS』がPlayStation 5、Xbox Series X|S、Steamで発売。原点回帰を掲げ、シリーズ史上最多の兵が入り乱れる作品として作られました。2026年1月22日にはNintendo Switch 2版も出ています。初代が「この仕様なら戦場そのものを再現できるのでは」から始まったことを思うと、26年かけて同じ問いに戻ってきたことになります。
2000年8月3日、という一行
記録として、もう一度年号を置いておきます。2000年8月3日。平成12年。初回出荷は10万本に届かず、同じ会社の『決戦』の陰にいて、それでも6週間で日本30万本まで追いついた一本。こういう順番で伸びた作品の発売日は、いつ書き写しても少し気分がいいものです。
今日の問いです。あなたが「これは口コミで知って買った」と言える一本は、何でしょうか。雑誌の点数や広告ではなく、誰かが面白いと言っていたから手を出した——そういう買い方の記憶は、案外はっきり残っているものです。それでは、また明日。
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