BLOG · 2026-08-23

3Dレミングス(1996) — 名作パズルを立体にしたら、カメラと戦うゲームになった

今日は発売日 #36 — 1996年8月23日、セガサターンに届いたレミングスの3D化

1996年8月23日、レミングスが立体になってサターンに並んだ

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第36回。横から見ていたパズルが立体になった日、遊ぶ人がまず覚えたのはカメラの動かし方でした。1996年8月23日、セガサターン用『3Dレミングス』の発売日です。セガサターン版『3Dレミングス』日本版の画面「3D Lemmings (Japan) - Sega Saturn Game History 1996」(SEGA SATURN, SHIRO!, YouTube)のサムネイルより

発売元はイマジニア。価格は6,800円、型番はT-15013G。金曜日でした。

作ったのはイギリスのClockwork Games。シリーズを世に出したPsygnosisが海外版の発売元です。日本ではサターン版が先に店頭に並び、プレイステーション版は2か月半後の1996年11月8日、ソニー・コンピュータエンタテインメントから5,800円で出ました。

横から見ていた盤面に、奥行きがついた

原作の『レミングス』は1991年2月14日、Amiga用として出ました。開発はDMA Design、発売はPsygnosisです。列になって歩き続ける小さな生き物に役割を配り、出口まで導く。それだけの遊びが世界中で売れました。

『3Dレミングス』は、その盤面を立体にした作品です。シリーズで初めて、開発にDMA Designが関わっていません。

いちばん変わったのは視点でした。プレイヤーは4台のカメラを動かして、立体の盤面を見渡します。レミングス1匹に乗り移り、その目線で歩く「ヴァーチャル・レミングス」という見方も用意されました。2Dの盤面を1つの視点で見る図と、3Dの盤面を4台のカメラで見る図を並べた図解(図解)1991年は1つの視点、1996年は4台のカメラ。図版は本サイト作成(イメージ)。データ出典: 英語版Wikipedia「3D Lemmings」

役割も1つ増えています。「ターナー」です。ブロッカーのようにその場に立ちますが、ぶつかった仲間を左右90度に曲げます。斜めに置かれたブロックも、同じように進路を変えます。

ステージは本編80面。Fun、Tricky、Taxing、Mayhem の4段階に20面ずつ。ほかに練習用が20面あります。パスワードでの再開、リプレイ、早送りもそのまま入っています。

「よくできている」と「何も見えない」が同時に出た

当時の評価は、きれいに割れました。

Electronic Gaming Monthly はプレイステーション版に10点満点で8点をつけています。Mark Lefebvre は「複数のカメラアングル、初心者向けのトレーニングモード、そして非常に複雑なゲームへの見事なインターフェース。Lemmings 3D が勝者である理由は、これでもほんの一部だ」と書きました。欧州版『3Dレミングス』(セガサターン)の画面「3D Lemmings (Europe) - Sega Saturn Game History 1996」(SEGA SATURN, SHIRO!, YouTube)のサムネイルより

PC Gamer US は1995年の「Best Puzzle Game」に選び、「パズルゲームが好きなら、3D Lemmings はコレクションに入れておくべきだ」と評しています。

反対の声もはっきりしていました。GamePro は酷評です。3Dの視点そのものが混乱を生み、操作の悪さとメニュー移動の多さがそれに輪をかけている、という指摘でした。

サターン版を見たイギリスの Sega Saturn Magazine も歯切れが悪い。Rob Allsetter はこう書いています。「やり方に慣れれば手間はずっと減る。それでも、残り一瞬というときに、レミングスに役割を与えるのではなく、いま何が起きているのかを見るためにカメラアングルを変えている自分に気づく瞬間はある」。

そして「もっと気の長い、頭蓋骨がスーパードームくらいある人になら、これは合うかもしれない」と締めました。ほめる側もけなす側も、結局は同じ一点を見ています。カメラです。

立体化は、4年後にそっと取り下げられた

1996年8月23日から数えて、今日でちょうど30年になります。

シリーズはこのあと、立体をやめました。2000年の『Lemmings Revolution』は見た目こそ3Dですが、ステージは円柱の表面に沿った2Dの並びに戻っています。円柱を回して裏側を見る作りです。奥行きは手放し、回転だけを残しました。

そもそもこの作品は、レミングスとして始まっていません。出発点はAmiga向けの3Dパズル企画『Cubewalker』でした。Amigaでは力が足りずPCに移り、試作を見たPsygnosisが本開発を決めます。人を増やした開発チームは、そこでClockwork Gamesと名乗り直しました。

下の動画は、日本版サターンの実機映像です。30年前の画面が、いまも同じように回っています。

立体になったとたん、急に難しくなった一本はありますか

年号を書かないと記事が終わった気がしないので、もう一度書いておきます。1996年8月23日、金曜日。イマジニアから6,800円。

30年経って面白いのは、この作品の弱点が「思いつきが悪い」ではなく「見せ方が難しい」だったことです。カメラをどう置くか、どこまで自動で寄せるか。いまの3Dパズルが当たり前に解いている問題を、1996年の盤面は正面から抱え込んでいました。

あなたにも、立体になったとたん急に難しく感じたゲームはありますか。

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