BLOG · 2026-09-22
リブルラブル(1994) — レバー2本のゲームを家に入れるため、箱にもう一つの十字キーが入っていた
今日は発売日 #63 — 1994年9月22日、スーパーファミコンで発売
パックマンを作った人が、次に作ったのは「囲む」ゲームだった
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第63回。今日の一本は、遊ぶための部品が箱に入っていたゲームです。
『リブルラブル』は、ナムコが1994年9月22日にスーパーファミコン用として発売しました。今日でちょうど32年になります。
『アーケードアーカイブス リブルラブル』公式サイト(ハムスター)のスクリーンショットより
ただし、生まれたのはもっと前です。1983年12月に稼働したアーケードゲームで、企画したのは『パックマン』の岩谷徹でした。
家庭用ゲーム機に降りてくるまで、11年かかっています。理由は中身ではなく、操作のほうにありました。
レバーは2本。矢印を2つ動かして、線で囲む
アーケードの筐体には、8方向レバーが2本ついていました。左で赤い矢印「リブル」を、右で青い矢印「ラブル」を動かします。
2つの矢印の間には、線が張られています。その線を盤面の杭に引っかけながら歩き回り、敵を囲む。囲まれた敵は消えます。
この「囲んで倒す」ことを、ゲームの中では「バシシ」と呼びます。一面(シーズン)につき「マシュリン」という敵が20匹。全部バシシすれば次へ進みます。
『アーケードアーカイブス リブルラブル』公式サイト(ハムスター)のスクリーンショットより
地面には宝箱が埋まっています。その場所を囲うと「トプカプ」が飛び出し、6匹そろえるとボーナス面に入れます。どこに埋まっているかを覚えるのが、高得点への近道でした。
発想の元は、少し変わっています。岩谷は混んだディスコで「ロープで人を囲んで消したい」と思ったそうです。そこに、子どものころの、釘と紐で陣地を取る遊びが重なりました。
企画書の日付は1982年1月27日。そのときの仮のタイトルは『ポテト』でした。敵がポテトを運ぶので、お菓子メーカーと組む案まで書かれていたそうです。
「人はついているのに、収入が少ない」
ロケテストは1983年10月15日と16日。稼働は同じ年の12月です。
評判は悪くありませんでした。業界紙『ゲームマシン』の集計では、1984年1月の新作テーブル機で2位に入っています。
ただ、商売としては苦しみます。プログラムを担当した黒須一雄は、後年こう振り返っています。「好きな方は、すぐに上達して長時間プレイしてしまうため、人はついてるけど、収入が少なかったようです」。
北米にも出ませんでした。現地の販売元が断ったときの言葉は「いい製品ではあるがいい商品ではない」。ずいぶん的確な言い方だと思います。
それでも、遊んだ人の記憶には残りました。1991年にゲーメストがまとめた『ザ・ベストゲーム』では、歴代27位に入っています。
1994年9月22日。箱に、もう一つの十字キーが入っていた
そして11年後の1994年9月22日、スーパーファミコン版が出ます。家庭用ゲーム機としては、これが初めての移植でした。
困るのは操作です。レバーは2本必要なのに、スーパーファミコンのコントローラに十字キーは1つしかありません。
ナムコの答えは、部品でした。ABXYの4つのボタンにかぶせる十字キーカバーが同梱されていて、載せると右手側がもう1つの十字キーになります。コントローラを2つ使い、2人で1人分を動かす遊び方も用意されました。
『アーケードアーカイブス リブルラブル』公式サイト(ハムスター)のスクリーンショットより
中身にも手が入っています。紙芝居風のデモ、サウンドテスト、業務用基板のディップスイッチのような設定変更。裏技で入る「ミラクルモード」もありました。説明書には、当時の小冊子「バシシブック」の復刻まで収められています。
評価は静かなものでした。ファミ通のクロスレビューは40点満点で29点。読者投票による採点では、30点満点で23.2点。項目別ではオリジナリティの4.2点が最も高く、音楽の3.6点が最も低い数字でした。
2021年、アーケードのままの姿が配信された
その後も移植は続きます。X68000が1993年、FM TOWNSが1994年、Wiiのバーチャルコンソールが2009年です。
そして2021年11月11日、ハムスターの「アーケードアーカイブス」で、1983年のアーケード版そのものがNintendo SwitchとPlayStation 4に配信されました。
今度はレバー2本の代わりに、コントローラの左右のスティックが使えます。筐体まで行かないと触れなかった操作が、そのまま手のひらに収まりました。
下の動画は『ファミ通TUBE』の「俺たちのアケアカ」。線がどう伸びて、どう閉じるのかは、文章よりも動いている画面のほうが早いです。
一九九四年、と書いておきます
一九九四年九月二十二日。こうして年号を書き留めておかないと、どうも記事が終わった気がしません。今日2026年9月22日で、ちょうど32年です。
このゲームの中心にあるのは、敵を撃つことではなく、線を引いて閉じることでした。閉じた形の内側に入ったものが消える。ルールはそれだけです。
その一点のために、レバーが2本必要になり、家庭用の箱にはプラスチックの部品が入りました。遊びの形が、機械の形まで決めてしまった例だと思います。
あなたの家にも、そのソフトのためだけの部品が付いてきたゲームはありましたか。
リアクション(ログイン不要)
匿名で残せます • 同じリアクションは1日1回まで
次に読む
編集部からのおすすめ
コメント(ログイン不要)
まだコメントはありません。最初のひとことをどうぞ。

