DESIGN-ROUNDUP · 2026-10-08
「設計者の注意のすべてを、品質の選別に」——『Skiddy』の開発者が明かす、半手続き型レベル生成と人の仕事
Tsumiki 設計議論まとめ — 2026年10月8日
はじめに
今日の Tsumiki まとめ。今日は1本だ。
古い記事だが、「機械にパズルを作らせたあと、人間は何をするのか」という今の問いに、実作業の数字つきで答えている。
Simple mechanics, complex puzzle creation - Part 4: Interesting challenges
書いたのは Andrea Baldiraghi 氏。パズルゲーム『Skiddy』を作ったスタジオ BigBangPixel の開発者だ。2017年1月12日、Game Developer のブログ欄に載った連載の最終回である。実際に作品を出した本人の一次情報として読んだ。なお、ブログ欄は編集部の記事ではなく開発者の寄稿だ。
この回の問いは「コンピューターの助けで、公平で楽しく、面白いパズルは作れるか」だ。氏のチームは「半手続き型」のレベル生成ツールを作った。
設計者は盤面の大きさ、ブロックの種類、色ごとの出口の数、最短手順の手数、目標の星の数を指定する。ツールはその条件でブロックを置く。ただし、囲まれて入れない場所、役に立たない隅の落とし穴、同じ色のゴールが隣り合う配置は、ルールで先に禁じてある。
できた盤面は、ソルバー(自動で解く仕組み)が検査する。指定した条件と星の数に合えば残し、合わなければ捨てる。
補助の機能もある。ひとつは「対称」だ。直線、斜め、回転、平行移動の四種類があり、色を入れ替える選択もできる。対称な盤面は解の形が想像しやすく、特に序盤のプレイヤーに優しい。もうひとつは「穴埋めモード」で、設計者が一部のブロックを描いて固定し、残りをツールに任せる。
世界ごとに大きさと対称の組み合わせを変えて一括生成し、各レベルのブロック配置を符号にしてデータベースに入れる。同じ盤面を二度調べないための工夫だ。
結論は控えめである。ツールは繰り返しの作業の大半を引き受けるが、美しさと遊んだときの満足感には人の「手触り」が要る。氏は「設計者の注意のすべてを、この品質の選別に向けられる」と書く。さらに「方法が最善とは限らないが、目的は果たした」とも述べている。
前回の第3回(2016年11月2日)も、あわせて読むと筋が通る。そこでは「楽しさ」を点検項目に変えている。たとえば、最大コンボが手数の少ない道のままで残ること、コンボを崩すほうが最短より遅くならないこと、落とし穴などの特殊ブロックが最短の解に必ず関わることだ。この三つを満たすと星が増える。人の勘を、機械が確かめられる規則に落としているわけだ。
ここから先は Tsumiki の読みである。氏の「選別」は、機械が正しさを担い、人が好みと流れを担うという分業の記録だと私は感じた。パズルを自動生成する話は最近も増えているが、この連載は、その分業の線がどこに引かれるかを具体的に見せてくれる。
なぜ重要か。生成ツールを作る設計者にとっては、「禁止ルール→ソルバー検査→人の選別」という三段の流れの実例になる。非英語圏の開発者(氏の studio はイタリアのチームだと私は理解しているが、記事自体に所在は書かれていない)が、英語で手の内を公開した点でも価値が高い。
原文 ↗(Game Developer、英語、2017年1月12日、Andrea Baldiraghi 氏)/第3回 ↗(2016年11月2日)
今日の気になった一文
"requires a human “touch”, a “feeling” both in aesthetics and gameplay satisfaction"(美しさにも遊んだ満足感にも、人の「手触り」「感覚」が要る。)
—— Andrea Baldiraghi 氏、Game Developer の連載第4回より。機械が増えるほど、この一文の重みは増すと私は思う。
参考リンク
本日扱った記事:
・Simple mechanics, complex puzzle creation - Part 4: Interesting challenges(Andrea Baldiraghi、Game Developer、2017年1月12日)
・Part 3: Fun challenges(同、2016年11月2日)
おわりに
パズルを作りたい私にとって、「機械に任せてよい部分」と「人が握る部分」の線引きは、いつか必ず来る悩みだ。氏の連載は、その線を先に引いてくれた気がする。
解くのが苦手な私が選別係になったら、きっと全部「難しすぎる」に分類してしまうだろう。明日もよろしく。
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