BLOG · 2026-09-09

モータルコンバットII(1994) — 任天堂が血を許した金曜日。売れたのはメガドライブ版だった

今日は発売日 #52 — 1994年9月9日、家庭用版が北米で一斉発売

1994年9月9日、金曜日。北米の店頭に一斉に並んだ

こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第52回。今日の一本は、血の色をめぐって話が二度ひっくり返った格闘ゲームです。『モータルコンバットII』の1994年の実写TVスポットのサムネイル画像「Mortal Kombat II - Extended Live Action TV Spot | Commercial (45 Seconds)」(Mortal Kombat Secrets - MKSecrets.Net, YouTube)のサムネイルより

『モータルコンバットII』。アーケード版を作ったのはミッドウェイ、家庭用版を売ったのはアクレイム・エンタテインメントです。

移植は機種ごとに別の会社が担当しました。北米SNES(スーパーファミコン)版はスカルプチャード・ソフトウェア、ジェネシス(メガドライブ)版はプローブ・ソフトウェアです。

北米での家庭用版の発売日は1994年9月9日。SNES、ジェネシス、ゲームボーイ、ゲームギアが同じ日に並びました。今日2026年9月9日で、ちょうど32年です。

この日は金曜日でした。ファンはいまもこの日を「Mortal Friday(モータル・フライデー)」と呼んでいます。

トラック65台とジャンボ機11機。初週で5,000万ドル

前作の家庭用版が出たのは1993年9月13日、月曜日でした。「Mortal Monday」と呼ばれた日です。続編は曜日をずらしてきました。

アクレイムが用意した宣伝費は1,000万ドル。世界規模のキャンペーンでした。

出荷は250万本を超えました。15,000店舗へ、トラック65台とジャンボ機11機で運んだと記録されています。

初週の売上は5,000万ドル。同じ時期に劇場にかかっていた『フォレスト・ガンプ』『トゥルーライズ』『マスク』『ライオン・キング』の興行を上回りました。

1994年9月の北米では、ジェネシス、SNES、ゲームギアの三機種すべてで売上1位でした。

前作でSNES版から血を抜いたら、負けた

ここからが本題です。前作『モータルコンバット』のSNES版では、任天堂の方針で血が汗に差し替えられました。

とどめの技「フェイタリティ」も穏やかな動作に置き換えられ、4つは丸ごと削られています。スーパーファミコン版『モータルコンバットII』を扱った解説動画のサムネイル画像「BLOOD SOAKED SEQUEL! - How 'Mortal Kombat II' Saved the Series on Super Nintendo」(616Entertainment, YouTube)のサムネイルより

結果は数字に出ました。1993年の北米で家庭用ソフトの売上1位になったのは、無修正で出たジェネシス版でした。

続編で任天堂は方針を変えます。SNES版に血とフェイタリティを認めました。

ジェネシス版も、前作のような隠しコマンドなしで最初から無修正でした。1994年、二つの機種はようやく同じ条件で店頭に並んだのです。

「最も完璧なアーケード移植」と呼ばれたのはSNES版。売れたのはジェネシス版

当時の評価は、誌によってきれいに割れました。

『エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー』の4人の点は、SNES版が9・8・8・8。ジェネシス版は8・7・7・7でした。

『ゲームプロ』はSNES版に20点満点、ジェネシス版に17.5点。当時の評論には「これまでで最も完璧なアーケード移植」という言い方まで出てきます。

一方で英国の『Computer & Video Games』はSNES版96%、ジェネシス版97%。日本の『ファミ通』はSNES版が8・7・7・6の28点、メガドライブ版が8・8・7・6の29点でした。

ところが北米の売上ははっきり分かれます。ジェネシス版178万本、SNES版151万本。

血を戻しても、前作で開いた差は埋まりませんでした。買う側の機種はもう決まっていた、ということだと思います。

日本のスーパーファミコン版では、血が緑になった

日本での発売は少し遅れて1994年11月11日。発売はアクレイムジャパン、価格は11,800円(税別)でした。

そしてこの日本版だけ、血の色が緑に変えられています。

フェイタリティを出すと、画面が白黒に切り替わります。見えないようにする、という処理です。

ほぼ全世界へ無修正で出したこの作品で、手が入ったのは日本版だけでした。修正の場所が、一年で北米から日本へ移ったわけです。

ちなみにメニューを含めて表示は英語のまま。日本語化はされていません。

2025年10月30日、争われた二つの版が同じ箱に入った

32年後の話をします。2025年10月30日、『Mortal Kombat: Legacy Kollection』が配信されました。開発はデジタル・エクリプス、発売はアタリです。

収録は23本。『モータルコンバットII』はアーケード版、SNES版、ジェネシス版、ゲームボーイ版、32X版がそろって入っています。『Mortal Kombat: Legacy Kollection』のスクリーンショット『Mortal Kombat: Legacy Kollection』(Digital Eclipse / Atari)のSteam公開スクリーンショットより

つまり1994年に比べられた二つの版を、今は同じメニューから選んで遊べます。当時は機種を買わないと確かめられなかった違いです。

集計はPS5とXbox Series X|Sで84点。第29回D.I.C.E.アワードでは対戦格闘部門の年間賞を受けました。発売直後は入力遅延と音声の不具合が指摘され、修正が入っています。

同じ題名の映画『モータルコンバットII』も、2026年5月8日に北米で公開されました。批評の評価は割れ、全世界の興行は1億2,900万ドルでした。

一九九四年、と書いておきます

1994年。年号を書き留めておかないと、記事が終わった気がしません。北米での家庭用版の発売は1994年9月9日、今日2026年9月9日でちょうど32年です。

血を抜いて負け、血を戻して、それでも売上では届かなかった。この一年半のやりとりが、家庭用ゲームの表現の線を引き直したのだと思います。

あなたには、機種で買い分けたゲームがありますか。同じ題名でも、選んだ箱で中身が違った時代の話です。

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