BLOG · 2026-09-12
ポケットモンスター ピカチュウ(1998) — ボールに入らない一匹が、うしろを歩きはじめた日
今日は発売日 #54 — 1998年9月12日、ゲームボーイで発売
1998年9月12日、ゲームボーイに「ついてくる一匹」が生まれた
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第54回。今日の一本は、主人公の一歩うしろを、黄色いのがずっと歩いてくるゲームです。
「ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ ダイジェスト映像」(Nintendo 公式チャンネル, YouTube)のサムネイルより
『ポケットモンスター ピカチュウ』。ゲームボーイ用、発売は任天堂、価格は3,000円(税別)でした。日本での発売は1998年9月12日。今日2026年9月12日で、ちょうど28年です。
『赤・緑』が出たのが1996年2月ですから、2年半あとの一本になります。地図も、出てくる151匹も、ほとんど同じ。それでも遊んだ手ざわりははっきり違いました。理由は、最初にもらう一匹にあります。
最初の一匹を選べない。しかもボールに戻らない
『赤・緑・青』では、オーキド博士の机に置かれた3匹から1匹を選びました。この『ピカチュウ』では選べません。渡されるのはピカチュウ一匹だけです。
そのうえ、このピカチュウはモンスターボールに入りません。戦っていないあいだは、ずっと主人公のうしろを歩いています。
話しかけると顔つきが変わります。機嫌のいいときと、そうでないときがある。鳴き声はアニメと同じで、声優の大谷育江さんの声をそのまま使っていました。ゲームボーイの小さなスピーカーから、聞き覚えのある声が鳴ったわけです。
「ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ 特別版CM オーキド博士編」(Nintendo 公式チャンネル, YouTube)のサムネイルより
変わったのはピカチュウだけではありません。ライバルが最初に連れているのはイーブイ。ロケット団には、アニメのムサシ・コジロー・ニャースと同じ姿の三人組が出てきます。ポケモンの絵も、アニメ寄りに描き直されました。
きっかけは映画でした。1998年7月18日に公開された劇場版『ミュウツーの逆襲』に合わせて企画された一本だと、ファミ通は書いています。
国内は1998年の年間3位、154万9000本。北米では10日で100万本
では、当時どう受け止められたか。
日本では、1998年の年間ソフト売上で3位に入りました。その年だけで1,549,000本です。
北米で出たのは1年後、1999年10月19日でした。発売前の予約が15万本、最初の一週で60万本以上、10日で100万本に届いています。当時の携帯ゲーム機のソフトとしては、いちばん速い売れ方でした。
欧州は2000年6月。その月のうちに欧州全体へ200万本が出荷され、イギリスだけで50万本が売れました。
評価のほうは、きれいに割れています。集計サイトGameRankingsの平均は85%で、ゲームボーイのソフトの中では5番目に高い数字でした。IGNのCraig Harrisは満点をつけています。
「Pokemon Yellow: Special Pikachu Edition Official Launch Trailer」(IGN, YouTube)のサムネイルより
一方、GameSpotのCameron Davisは、これを『金・銀』が出るまでの「つなぎ(stopgap)」と書きました。英紙デイリー・テレグラフのSteve Boxerはもっと厳しく、ポケモンがゲームであることをやめて売り物の仕掛けになった地点だ、という趣旨の評を残しています。
数字は大きく、評は分かれた。世界での累計は約1,464万本です。第3回インタラクティブ・アチーブメント・アワードでは、年間ゲーム賞と家庭用ゲーム賞の2部門で候補に挙がりました。
11年後の同じ日に、「ついてくる」が全ポケモンへ広がった
ここからが、今日という日付の話です。
2009年9月12日、ニンテンドーDSで『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』が発売されました。月日はぴったり同じ、11年後です。
この2本では、うしろをついてくるのがピカチュウだけではなくなりました。手持ちの先頭にいるポケモンなら、どの種類でも歩いてついてきます。1998年にピカチュウ一匹のために作られた仕掛けが、同じ月日に全種類へ広がったわけです。
下の映像は、任天堂の公式チャンネルが公開している『赤・緑・青・ピカチュウ』のダイジェストです。当時のゲームボーイの画面がそのまま見られます。
『ピカチュウ』そのものは、2016年2月27日にニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信されました。通信ケーブルの代わりに無線で交換できるようになっています。
一九九八年、と書いておきます
1998年。こうして年号を書き留めておかないと、どうも記事が終わった気がしません。日本での発売は1998年9月12日。今日2026年9月12日で、ちょうど28年です。
もうひとつ、巡り合わせの話を。日本でこの『ピカチュウ』が出た16日後、1998年9月28日に、北米でようやく『赤・青』が発売されています。海の向こうの人たちは、うしろを歩くピカチュウを知らないまま、まず3匹から1匹を選んでいたわけです。
選べない一匹。ボールに戻らない一匹。不便を足したら、そのぶん愛着が増えた——そういう話でもあります。あなたには、ゲームの中で「ずっと連れていた一匹」はいますか。
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