BLOG · 2026-09-20
へべれけ(1991) — 「キャラクターが変すぎる」と北米発売が消え、正式に届くまで19年かかった
今日は発売日 #61 — 1991年9月20日、ファミコンで発売
「変すぎる」と言われて、北米の棚に並ばなかった一本
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第61回。今日の一本は、可愛すぎて売れなかった話ではありません。可愛さの方向が違いすぎて、アメリカの棚に並ばなかった話です。
『へべれけ』は、サンソフトが1991年9月20日にファミコン用として発売したアクションゲームです。今日でちょうど35年になります。
『へべれけ えんじょいえでそん』Steam ストアページ掲載のスクリーンショットより(© SUNSOFT / CITY CONNECTION)
主人公の「へべ」は、雪だるまのような見た目の生き物です。時空の裂け目に落ちて、知らない世界に迷い込みます。
元の世界に帰るため、へべは3人の仲間を探します。この「仲間を探す」が、そのままゲームの仕組みになっています。
鍵を持っているのは道具ではなく、仲間だった
『へべれけ』は、つながった一枚の広いマップを行ったり来たりして進みます。雲の上から地底まで、道は一本につながっています。
面白いのは、進むための鍵が道具ではなく仲間だという点です。
『へべれけ えんじょいえでそん』Steam ストアページ掲載のスクリーンショットより(© SUNSOFT / CITY CONNECTION)
おーちゃんはネコの着ぐるみを着た女の子で、氷の上を歩けます。助左衛門はサングラスをかけたお化けのような姿で、武士の言葉を話します。ぢぇにふぁーは二足歩行のチョウチンアンコウで、水の中を進めます。
へべ自身は氷で滑り、泳ぎも苦手です。つまり主人公が一番不便です。行き止まりに見えた場所は、仲間を増やしてから戻ると通れるようになります。
敵は踏むと丸い玉になり、拾って投げられます。記録はパスワード式です。
こういう作りを、いまはメトロイドヴァニアと呼びます。1991年には、まだその呼び名がありませんでした。
日本では26点、ヨーロッパでは名前を変えられ、アメリカでは消えた
発売直後の評価は、手放しの絶賛ではありませんでした。ファミ通のクロスレビューは5・7・7・7の26点(40点満点)です。
『へべれけ えんじょいえでそん』Steam ストアページ掲載のスクリーンショットより(© SUNSOFT / CITY CONNECTION)
一方で、音の評価は当時から高いものでした。日本語版Wikipediaも「グラフィックやBGMのクオリティには定評がある」と記しています。米誌『VideoGames & Computer Entertainment』は、効果音と音楽が「たいていの16ビット作品より良い」と書きました。
ヨーロッパでは、1992年11月19日に『Ufouria: The Saga』として発売されました。ただし中身は少し違います。キャラクターの名前も絵も、物語も差し替えられました。へべは Bop-Louie、おーちゃんは Freeon-Leon、助左衛門は Shades、ぢぇにふぁーは Gil になっています。
スペインの雑誌の採点は割れました。『Hobby Consolas』は100点満点の69点で、グラフィックが「単純で単調」だと書いています。『Superjuegos』は79点をつけ、「スーパーマリオの正統な後継」と評しました。同じ画面を見て、片方は物足りないと言い、片方はマリオの隣に置いたわけです。
そして北米版は、出ませんでした。サンソフト・オブ・アメリカで副社長を務めたデイヴィッド・シラーは、ディズニーやワーナーのアニメと比べて、このキャラクターたちは「変わりすぎている」と感じたと語っています(ロブ・ストラングマン『Memoirs of a Virtual Caveman』2014年)。売れたかもしれないと認めたうえでの判断でした。
北米に正式に届いたのは、19年後の2010年8月23日
北米のプレイヤーが正規の手段で『へべれけ』を遊べるようになったのは、2010年8月23日です。WiiのバーチャルコンソールでUfouria: The Sagaが配信されました。1991年から19年が経っていました。
ここに小さな落とし穴があります。この配信に使われたのはヨーロッパ版のROMで、それを60Hzで動かしていました。結果として、音楽が本来より速く鳴ります。19年待って届いた音は、少しだけ早口だったわけです。
そして2024年、サンソフトはこのシリーズに戻ってきました。3月28日に『へべれけ えんじょいえでそん』がNintendo SwitchとSteamで配信されています。初代の復刻に、巻き戻しとクイックセーブ、タイムアタック用の「すぴーどらんモード」を足したものです。
同じ年に、32年ぶりの続編『へべれけ2』(海外名 Ufouria: The Saga 2)も出ました。こちらは探索型ではなく、ローグライク寄りの作りになっています。
下の映像が、その復刻版『へべれけ えんじょいえでそん』の紹介映像です(CITY CONNECTION, YouTube)。1991年の画面が、そのまま動いています。
一九九一年、と書いておきます
一九九一年九月二十日。こうして年号を書き留めておかないと、どうも記事が終わった気がしません。今日2026年9月20日で、ちょうど35年です。
この4匹は、アメリカでは「変すぎる」と判断され、ヨーロッパでは名前も顔も差し替えられました。それでも35年後の今日、元の名前のまま配信され続けています。
今日の発見をひとつ。名前を変えて出した地域でも、名前を出さなかった地域でも、残ったのは元の名前の方でした。角を落とした版の方が、先に消えています。
あなたにも、当時は理解されなかったのに、いまも遊べているゲームはありますか。
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