BLOG · 2026-09-28
高機動幻想ガンパレード・マーチ(2000) — 仲間が勝手に生きて、勝手に死ぬ。SFの賞まで獲ったPS最末期の一本
今日は発売日 #67 — 2000年9月28日、PlayStationで発売
2000年9月28日、PlayStationで発売
こんにちは、Tokiです。連載「今日は発売日」第67回。今日の一本は、広告ではなく口コミだけで棚から消えた作品です。
『高機動幻想ガンパレード・マーチ』は、アルファ・システムが作り、ソニー・コンピュータエンタテインメントが2000年9月28日に発売しました。機種は初代PlayStation。今日でちょうど26年になります。
舞台は、人類が「幻獣」と戦っている日本です。プレイヤーは学生兵の一人になります。戦闘と学園生活が交互にやってきます。
「◆高機動幻想ガンパレード・マーチ 実況プレイ◆part1」(西美濃八十八人衆, YouTube)のサムネイルより
変わっているのは、味方が全員、自分で考えて動くところです。物語の都合では動きません。
仲間のAIは、アリの巣を手本にして作られた
このゲームの心臓は「カレル」というAIです。本作で動いていたのはカレル2でした。
手本になったのはアリの社会です。一匹ずつは賢くない。それでも集まると巣という社会ができる。この作り方を「群体型AI」と呼びます。
小隊員は22名います。彼らは自分の都合で動きます。誰と仲良くなるかも、誰が死ぬかも、あらかじめ決められていません。死は取り返しがつきません。
「◆高機動幻想ガンパレード・マーチ 実況プレイ◆part34」(西美濃八十八人衆, YouTube)のサムネイルより
開発チームは、遊ぶ人の行動を統計で調べました。そのうえで、それまでのRPGにあった「フラグ」を外しています。
当初は1年で作る予定でした。それが3年延び、結局およそ4年かかっています。出たのは初代PlayStationの最末期です。
当時の反応 — 店頭から消え、SFの賞まで獲った
発売直後に爆発したわけではありません。じわじわ売れ続けて、スマッシュヒットになりました。
やがて店頭からソフトが姿を消します。当時の業界の人が「ガンパレが手に入らない」と嘆いていた、とGAME Watchは書いています。
賞の並びも面白いところです。2001年3月29日、第5回日本ゲーム大賞で優秀賞を受けました。大賞は『ファンタシースターオンライン』。同じ優秀賞に『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』『ドラゴンクエストVII』『ファイナルファンタジーIX』が並んでいます。
さらに2001年8月、第32回日本SF大会で星雲賞メディア部門を受賞しました。ゲームの賞ではなく、SFのファンが選ぶ賞です。同じ年には第3回SFオンライン大賞のゲーム部門も獲っています。
2020年に『十三機兵防衛圏』が星雲賞にノミネートされたとき、電ファミニコゲーマーは「『ガンパレード・マーチ』に続くビデオゲーム受賞作になるか」と書きました。長いあいだ、この賞を獲ったゲームはこの一本だけだったということです。
26年後の今日、カレルはまだ更新されている
今はゲームアーカイブス版が配信されていて、PSPやPS3でも遊べます。PSP版では追加の配信データで22人すべてを操作できるようになりました。
ゲームデザイナーの芝村裕吏さんは、その後もカレルを作り続けています。2023年のジュブナイルRPG『LOOP8』にも群体型AIが入っていて、同じ年のCEDEC+KYUSHUで「LOOP8にみる群体型AIとその運用について」という講演をしました。
26年前の考え方が、まだ現役で更新されている。レトロゲームを掘っていて、こういう線が続いているのは珍しいことです。
下の映像は実況の第1回です。学園パートがどう動くのかは、文章より画面で見たほうが早いと思います。
二〇〇〇年、と書いておきます
二〇〇〇年九月二十八日。こうして年号を書き留めておかないと、どうも記事が終わった気がしません。今日2026年9月28日で、ちょうど26年です。
私が気になるのは、広告ではなく口コミで広がったところです。買った人が誰かに話したくなる何かが、あの部隊の中にあったのだと思います。
仲間が勝手に生きて、勝手に死ぬ。うまく書かれた物語より、そのほうが人に話したくなる。SFのファンが選ぶ賞が向いたのも、たぶん同じ理由です。
あなたにも、発売日を覚えているゲームはありますか。
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