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29 レビュー · 7 エッセイ
関連エッセイ
ラブレター(2012) — 16枚のうち1枚を、誰も見ないまま外す
カナイセイジさんの『ラブレター』(2012)は、16枚のうち1枚を誰も見ないまま外してから始まります。場に出るのは15枚。捨札は表向きに並ぶので誰でも数えられるのに、最後の1枚だけは構造上わからない。乱数を回さずに不完全情報を作る、この「引き算」を分解しました。16枚という枚数が海外の試遊卓から決まった話、そして伯爵夫人の強制ルールが卓の上では良心でしかない件にも触れます。
Ricochet Robots(1999) — 手番を配らないかわりに、宣言を手番にした
Alex Randolph の『Ricochet Robots』(1999)には手番がありません。盤は1つ、解く人はその場の全員。道を見つけた人が「◯手」と声に出し、その数字の小さい順に実演の権利が回ります。止まるまで滑る移動はコードにそのまま移りますが、砂時計の1分は移りません。ルールブックの条文から、何が消えて何が残るかを追いました。同じ数字を宣言したときの裁定が版によって割れている件にも触れます。
マスターマインド(1970) — 電話技師が考えた四色の推理、半世紀後にFalloutのハッキングになる
1970年、イスラエルの通信技師モルデカイ・メイロウィッツが考案した「マスターマインド」は、四本の色ピンと赤白の採点ピンだけで、見えない答えを絞り込ませる遊びだった。大手玩具会社に断られ続けた末インヴィクタ・プラスチックスから1971年に発売され、70年代のうちに3000万個以上を売る。1976年にはドナルド・クヌースが五手以内で解けることを数学的に示し、2007年にはBethesdaのプログラマーがこの遊びをそのまま『Fallout 3』のハッキング画面に移した。本稿は、色しか教えないという半世紀前の制約が、Wordleの時代にも生き延びていることを辿る。
Hanabi(2010) — ルールブックが決めていないルールが、いちばん効いている
手札を自分にだけ見えない向きで持つ協力カードゲーム『Hanabi』。伝えていいのは「色1つ」か「数字1つ」だけ。ところが公式ルールブックは、いちばん効いているルール——何を言っていいか——を卓に丸投げしています。そこがコードに移すと最初に消える。自分のコピーとなら24点を出す AI が、違う方式のAIと組むとほぼ0点になる理由を、紙の側から読みます。
ゲーム内手帳の設計 — 推理パズルは記憶をどこに置くか(Obra Dinn から Chants of Sennaar へ)
推理パズルの難しさは、プレイヤーの記憶がどこにあるかで変わる。紙のノートを強いた La-Mulana と Her Story から、自動で埋まる Obra Dinn の手帳、仮説を書き込ませる Golden Idol と Chants of Sennaar まで、ゲーム内手帳という装置を設計論として読み直す。
歩くことと推理すること — Gone Home から Return of the Obra Dinn への境界線
Gone Home や Firewatch が磨いた「歩いて読む」体験と、Return of the Obra Dinn や The Case of the Golden Idol の「能動的に推理する」体験。両者を分ける境界線はどこにあるのか。walking simulator と推理パズルの設計上の断層を、Her Story や Outer Wilds を挟みながら設計者視点で読み解く。
The Case of the Golden Idol のサウンドトラック — 凍った時間に寄り添う灰色の音
戦時下のリヴィウで Kyle Misko が書いた《The Case of the Golden Idol》のOST。18世紀英国の冷たさとニューエイジ・アンビエントが溶け合い、凍りついた事件現場のループに寄り添って推理を急かさない。反応しない音楽の設計と、曲作りに盗める視点を読む。
関連レビュー
GNOSIA
宇宙船に紛れ込んだ「グノーシア」を、会話と投票だけで見つけ出す一人用の人狼。最大15人の乗員が毎周ちがう役職に振り直され、時間ループの中で同じ航海を何度もやり直す。Petit Depotto によるアドベンチャー。
deductionnarrative-puzzlevisual-novelThe Occupation
1987 年 10 月 24 日の英国北西部を舞台に、記者として制限区域に忍び込み、関係者に聞き取りをして証拠を集める一人称のサスペンス。ゲーム内の時計が現実と同じ速さで進み、登場人物は時間割どおりに動く、White Paper Games の一作。
adventuremysteryobservationWilmot Works It Out
毎週届く小包から正方形のピースを取り出して絵を組み上げ、完成した絵を家の壁に掛けていくパズル。小包には複数の絵のピースが混ざって届くので、組む前にどれがどの絵かを見分ける必要がある。『Wilmot’s Warehouse』の Hollow Ponds と Richard Hogg による続編。
puzzleobservationlogicHypnospace Outlaw
1999年、眠っているあいだに接続する仮想インターネット「Hypnospace」を、ボランティアの取締官として見回る観察アドベンチャー。個人ページを渡り歩き、弱い検索窓と細い手がかりだけを頼りに、規約違反や隠しページを掘り出していく。Jay Tholen の設計による Tendershoot の一作。
observationnarrative-puzzlesimulationCypher
暗号学をテーマにした一人称パズル。白い展示室に掛かった暗号文を、単純な換字から多表式換字、機械式暗号まで順に解いていく。Hexcells 三部作の Matthew Brown が一人で作った、紙と鉛筆を前提にする一作。
puzzlelogic-deductionminimalistZero Escape: The Nonary Games
九人が施設に閉じ込められ、数字の書かれた扉をくぐって脱出を目指すミステリーアドベンチャー2本立て。ニンテンドーDS発の『極限脱出 9時間9人9の扉』と続編『善人シボウデス』を1本にまとめた移植版で、密室を調べて解く脱出パートと、選択で枝分かれする小説パートが交互に進む。
mysteryadventurenarrative-puzzlePhoenix Wright: Ace Attorney Trilogy
弁護士・成歩堂龍一として法廷に立ち、証言の一行と手持ちの証拠を突き合わせて嘘を崩していく法廷アドベンチャー。2001年から2004年にかけて発表された原作3作・全14話を、絵を1コマずつ描き直してひとつにまとめた Capcom の集成版。
mysteryvisual-noveldeductionContradiction: Spot the Liar!
英国の小村エデントンで起きた溺死事件を、刑事フレデリック・ジェンクスが夕方5時から深夜までの一晩で洗い直す全編実写映像(FMV)のミステリー。住民に聞き込みをして発言を集め、食い違う二つの証言を選んで対にし、嘘を突きつけて次の話を引き出す。作曲家 Tim Follin が設計と音楽を手がけた Baggy Cat の一作。
mysteryfmvdeductionSherlock Holmes: Crimes and Punishments
ヴィクトリア朝ロンドンでホームズを歩かせ、現場で手がかりを拾い、「推理空間」と呼ばれる盤の上で手がかり同士を線で結んで結論を組み立てる三人称の推理アドベンチャー。独立した六つの事件それぞれに複数の結論が用意され、名指しした相手を法に引き渡すか見逃すかまで自分で決める。Frogwares 制作。
deductioninvestigationnarrative-puzzleScene Investigators
再現された事件現場を一人称で歩き、証拠だけを頼りに何が起きたかを推理して、端末の設問に自分の言葉でタイプして答える観察推理ゲーム。ヒントも答え合わせもない。『The Painscreek Killings』の EQ Studios が「70/30 の原則」を掲げた一作。
deductionobservationinvestigationUnheard ー罪の代弁ー
事件現場の見取り図を上から見下ろし、部屋を移動しながら、記録された当日の音声を巻き戻し・早送りして聴く推理アドベンチャー。画面に字幕はなく、耳で拾った会話だけを頼りに人物へ名前を割り当て、設問に答える。NExT Studios の一作。
mysteryobservationpuzzleStrange Antiquities
湖畔の町アンダーミアでオカルト骨董店の臨時店主となり、正体不明の品を色や手触り、匂いと音、内的知覚で調べ、数冊の図鑑と照合して客の困りごとに合う一品を渡す2Dの同定推理パズル。渡す品の選択が町の運命と結末を分けていく、Bad Viking の一作。
puzzlemysteryTangle Tower
画家一族の館で起きた殺人事件を、探偵とその相棒になって解く一人称の推理アドベンチャー。手描きアニメとフルボイスの容疑者を尋問し、集めた手がかりを照合し、館に隠されたパズルを解いて犯人に迫る。『Detective Grimoire』の系譜を継ぐ SFB Games の2019年作。
puzzlemysteryadventureThe Shapeshifting Detective
殺人事件を追う探偵が、会って話した相手の姿に変身し、探偵には明かされない秘密を聞き出す実写(FMV)ミステリー。犯人は起動ごとにランダムで変わり、1600本超の実写映像が選択に応じて分岐する。The Infectious Madness of Doctor Dekker を手がけた D'Avekki Studios の一作。
mysteryfmvadventureSquareCells
格子に隠れた模様を、周囲のヒント数字だけを頼りに塗るか砕くかで確定させていく、お絵かきロジックとマインスイーパーを掛け合わせた極小のロジックパズル。マス内の数字は『自分を含め縦横に何マス繋がっているか』を示し、運に頼らず必ず理詰めで解ける。Hexcells の作者 Matthew Brown による一作。
puzzlelogicnonogram-like14 Minesweeper Variants
マス目と数字だけで地雷を探す定番『マインスイーパー』の規則を14通り(実際にはそれ以上)に組み替えた、純粋な論理演繹のパズル集。運や推測を排し、規則の一行を差し替えるだけで無数の思考を生み出す Artless Games / Alith Games の一作。
puzzlelogicminesweeper-likeChinatown Detective Agency
近未来のシンガポールで探偵事務所を営み、ゲームの外のブラウザで現実の情報を調べながら国際的な事件を追うサイバーノワールの点と点。手がかりの最後の一歩を本物の Web 検索に委ねる、General Interactive Co. の一作。
deductionobservationmysteryDuck Detective: The Secret Salami
落ちぶれたカモの探偵になり、証拠を虫眼鏡で覗いて集めた単語を穴埋め文にはめ、盗まれた弁当をめぐる間の抜けた事件を解く 2.5D の観察・推理アドベンチャー。The Case of the Golden Idol の穴埋めを、フルボイスと駄洒落で軽く仕立てた Happy Broccoli Games の一作。
deductionobservationnarrative-puzzleDo Not Feed the Monkeys
監視カメラ越しに見知らぬ他人——通称「モンキー」——を覗き見し、会話や部屋の細部から手がかりを拾い、メモと検索エンジンで正体を突き止める覗き見シミュレーター。恐喝するか助けるか見過ごすかの選択と、家賃・食事・睡眠のやりくりが同居する。Fictiorama Studios の一作。
observationdeductionsimulationMurder by Numbers
1996年のロサンゼルスを舞台に、女優オーナーと廃棄ロボットSCOUTがピクロス(お絵かきロジック)を解いて手がかりを集め、証人に突きつけて殺人事件を追う2Dのビジュアルノベル×パズル。『逆転裁判』の作曲家 Masakazu Sugimori と『はーとふる彼氏』の Hato Moa が参加した、The Irregular Corporation 発行の一作。
puzzlelogicmysteryLucifer Within Us
証言のタイムラインを前後に擦り、食い違いを突いて殺人事件を解く等尺視点の探偵ゲーム。デーモン憑きの神権都市を舞台に、動機・手段・機会を演繹で組み立てる Kitfox Games の一作。
mysteryobservationnarrative-puzzleShadows of Doubt
手続き生成される1980年代SFノワールの都市で、私立探偵として殺人を追う一人称の探偵シム。指紋・防犯カメラ・レシート・通話履歴を証拠盤の上で線でつなぎ、街の群衆から犯人を名指す。全住人が名前と職と生活を持って動き続ける、ColePowered Games の一作。
mysteryimmersive-simfirst-personThe Rise of the Golden Idol
凍りついた犯罪現場をクリックで観察し、集めた単語を空欄に当てはめて「誰が・なぜ・どの順で」を再構成する2D演繹アドベンチャー。1970年代を舞台に20の事件が連鎖する、『The Case of the Golden Idol』のスタンドアロン続編。
deductionobservationnarrative-puzzleBotany Manor
19世紀末イギリスの邸宅を舞台に、引退間際の植物学者アラベラ・グリーンとなり、手紙やポスター、新聞の切り抜きから各植物の理想的な生育条件を推理して、忘れられた花を一つずつ咲かせていく一人称パズル。手がかりを読み、標本帳のページへ結びつけることが核となる動詞だ。
puzzlefirst-personTametsi
タイルが示す隣接ヒントだけを頼りに、盤面に隠れた地雷を論理で特定して旗を立てる2Dの推理パズル。マインスイーパから運を抜き、色分けや行・列合計、正方形以外のタイリングを重ねた100面超を、Grip Top Games が一面ずつ手設計した。
puzzlelogicStrange Horticulture
カウンターに届く植物を、図鑑の記述と集めた手がかりに照らして一つずつ正体を特定し、その効果で来客と物語に応じていく2Dのオカルト推理パズル。英国 Bad Viking が手がけ、霧深い町アンダーミアの怪異を、ネコと一冊の図鑑とともに解きほぐす。
puzzlemysteryThe Roottrees are Dead
1998年、墜落した富豪一族の血縁を、ダイヤルアップ回線の向こうの初期インターネットと書籍・記事を漁って突き止め、家系図の空欄を埋めていく一人称の推理パズル。Global Game Jam 産の無料ブラウザゲームを Evil Trout Inc. が再構築した一作。
deductionobservationnarrative-puzzleHexcells Infinite
六角形のグリッドに隠れた青いセルを、隣接数・列ヒント・連続/非連続の特殊記号だけを手がかりに、推測なしの純粋な論理で特定していくマインスイーパ系の論理パズル。手作りの36面に加え、無限に湧く自動生成面を備えた Matthew Brown のシリーズ第3作。
puzzlelogic-deductionminimalistThe Case of the Golden Idol
静止した犯行現場を観察して手がかりの言葉を集め、空欄を埋めて事件の真相を組み立てる推理ゲーム。18世紀を舞台にした連続する謎を解き明かす。
deductionobservationnarrative-puzzle



































