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関連エッセイ
TOEM のサウンドトラック — かわいさ9割、茶目っ気1割で書かれた散歩の音
『TOEM』は、白黒の紙工作のような町を歩き、カメラで景色を撮っていく観察・探索型パズルだ。作曲は Jamal Green と Launchable Socks(Joost Kraaijenbrink)。Game Developer の取材を裏取りしつつ、曲と曲のあいだにわざと沈黙と環境音を挟む設計と、『90%かわいくて10%キュート』という配分の哲学を聴く。急かさないカメラのテンポと、急かさない音のテンポがどう重なっているかを、Doremi が読み解く。
Quern - Undying Thoughts のサウンドトラック — 焦らせない音が、長考を守る
『Quern - Undying Thoughts』は、装置を観察し、同じ道具を何度も見直しながら解いていくMyst系パズルだ。作曲は Marcell Kerepesi。38曲・約115分(Steam公式OST)を裏取りしつつ、レビューが口を揃える『焦らせない音』が、なぜ機械の作動音を邪魔しないのか、そして何度も戻る探索のテンポとどう釣り合っているのかを聴く。
Infinifactory のサウンドトラック — 何度組み直しても、急かされない工場の音
捕らわれた人間がエイリアンのために工場ラインを組む Zachtronics のパズル Infinifactory。音楽を書いたのは EXAPUNKS や SHENZHEN I/O と同じ Matthew S Burns だ。採点は走らせたあとにしか来ない設計と、急かない67〜98BPMのループ。曲作りに持ち帰れる視点で、私 Doremi が分解する。
The Witness のサウンドトラック — 曲を一切書かないという、7年がかりの決断
『The Witness』の音は、鳴らさないことで設計されている。Wabi Sabi Sound の Andrew Lackey が7年のうち6年をかけて集めた足音と環境音を、Doremi が聴く。
Terra Nil のサウンドトラック — 荒れ地に立つ「終わり」のための音楽
Terra Nil の音楽はフランスのアンビエント作家 Meydän が書いた。曲名は浄化・緑化・去る、というゲームの進行そのままで、拍を数えさせない「0 BPM」のスコアには珍しく終わりの曲まである。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる視点を私 Doremi が探る。
The Vanishing of Ethan Carter のサウンドトラック — 三度を抜いた和音で、渓谷を歩かせる音
地図もHUDも持たず渓谷を歩くミステリーに、Mikolai Stroinski は長調とも短調とも決めない四度・五度の和音と、ピアノ一本の Ethan's Theme を姿を変えて散りばめるスコアを書いた。散らばった記憶を並べ直すゲームの構造と、名指しできない主題の断片が各曲に紛れ込む譜面の構造――その隠れたリンクを、黒コーヒー片手に Doremi が自分の曲作りへ持ち帰れる視点で分解する。
Firmament のサウンドトラック — 錆びた惑星に満ちる、ひとつのシンセの記憶
Myst の作曲家 Robyn Miller と同じシンセを選び、その音の記憶をそのまま次の世代へ渡した Maclaine Diemer。Kickstarter の一支援者として Firmament に出会い、後にその作曲家になったという経緯も含め、腕輪ひとつで惑星を巡るこの一人称パズルの『ほぼ全部シンセ、例外は二、三』というスコアを、黒コーヒー片手に Doremi が自分の曲作りへ持ち帰れる視点で分解する。
Dorfromantik のサウンドトラック — 勝ち負けを鳴らさない音の呼吸
六角形のタイルを置くだけの Dorfromantik に、Laryssa Okada と Pygoscelis(+ Only Sound)は勝敗を鳴らさない音の絨毯を敷いた。得点のたびのファンファーレも、詰みの瞬間の緊張も、この曲には出てこない。だいたいの BPM を数えながら、黒コーヒー片手に私 Doremi が、その『鳴らないこと』の設計をレーベルのクレジットと開発資料から裏取りして分解する。
Monument Valley のサウンドトラック — 伴奏であって、道案内ではない
ustwo games の錯視パズル Monument Valley に、Stafford Bawler・Obfusc・Grigori が付けた音楽は、メロディで前に出ようとしない。等角投影のモニュメントを回して道をつなぐ短い旅に寄り添うのは、輪郭のやわらかいアンビエントと、私たちが柱を回すたびに鳴る一粒の和音だ。黒コーヒー片手に、『伴奏に徹する音楽が、どうやって手触りになるのか』という角度で私 Doremi が分解する。
Myst のサウンドトラック — 音楽を入れないと決めた島に、後から流れた気配
Cyan の Robyn Miller は、最初 Myst に音楽を入れないつもりだった。パズルの邪魔になると考えたからだ。ところが数回のテストで、音は『場所の気分』を確かに助けた——シンセ一台、夜の二週間で書かれた40分ほどの音が、そうして島に後から流れ込む。音を消す方から始めた作曲と、音そのものが鍵になる Selenitic の仕掛けを、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Timelie のサウンドトラック — 時間を早送りするための、巻き戻せる音楽
少女と黒猫が、時間そのものをメディアプレイヤーのように前後へ擦って逃げるステルスパズル。その盤面で鳴っているのは、ピアノとオルゴール、そして——さまざまな時計の音を素材にした音楽だ。Pongsathorn Posayanonth と Aun Jessada は「時間を象徴する音」を score に編み込んだ。私は黒コーヒーを片手に、プレイヤーが常に巻き戻す前提で書かれた音楽の設計を、自分の制作に持ち帰れる形で分解する。
Taiji のサウンドトラック — 沈黙の系譜で、あえて鳴らし続ける
Taiji は The Witness の直系だ。しかし本家が音楽を捨てて環境音に賭けたのに対し、この島は消えないアンビエントを敷き続ける。作曲は開発者 Matthew VanDevander 自身と、それを有限のアルバムへ編み直した Grzegorz Bednorz。黒コーヒーを片手に、鳴らし続ける選択がなぜ観察のパズルと噛み合うのかを、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。
Etherborn のサウンドトラック — 重力が向きを変えても、音は転ばない
曲面を歩くと自分の重力の向きだけが切り替わる——Etherborn の謎は静かで、急かされない。声を持たない透明な存在となり、光のオーブを集めながらエッシャー的な抽象建築を上り下りする。その無機質な幾何のなかで唯一、体温を持って鳴るのが Gabriel Garrido García の音楽だ。バルセロナで生録りされた弦楽四重奏、クラリネット、ファゴット、ソプラノ。ちょうど今日で発売から7年になるこの佳作の音を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Riven のサウンドトラック — 立ち止まる島に、音楽は結論を出さない
Cyan の Robyn Miller が、27年前に自ら書いた Riven の音を、2024年のリメイクで自ら鳴らし直した。自由に歩ける島では音楽は昂ぶることを許されない——観察と手控えで進むこのパズルアドベンチャーで、旋律より水音と装置が主役になる理由を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
ANIMAL WELL のサウンドトラック — 密な空気そのものを鳴らす、笛は鍵になる
Billy Basso がたった一人で書いた ANIMAL WELL の音。戦わない迷宮では、音楽は前に出ず、湿った空気の低い層になって沈む。そして笛は BGM ではなく鍵になる——五音の旋律が、そのまま謎の答えだ。黒コーヒー片手に、色数を絞る美学を音に置き換えたこの設計を、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。
SHENZHEN I/O のサウンドトラック — 集中を、曲名で名指す音
深圳の架空メーカーで簡易アセンブリを書くプログラミング・パズル SHENZHEN I/O。物語とアートを書いた Matthew S Burns が、そのまま音楽も手掛けた。全9曲の曲名は『Enthusiasm』『Concentration』『Patience』——風景ではなく、解く人の心の駅名だ。黒コーヒー片手に、この『思考のための音楽』を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
FRACT OSC のサウンドトラック — パズルを解くと、音楽が生えてくる
Alex Taam(Mogi Grumbles)が FRACT OSC に書いた音楽は、完成した曲として最初から鳴っているのではない。廃墟のようなシンセサイザー世界のパズルを解くたびに、ベースが、パッドが、アルペジオが一層ずつ点いていく——プレイヤーの手が譜面を組み立てる音楽だ。全曲を C ペンタトニック・マイナーに揃えたという作曲者本人の証言を手がかりに、黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
The Gardens Between のサウンドトラック — 時間を巻き戻しても、後戻りしない音
Tim Shiel が The Gardens Between に書いた音楽は、時間を前後に巻き戻すゲームでありながら、音楽そのものは決して逆再生されない。黒コーヒー片手に、なぜ『巻き戻しても後戻りしない音』が記憶パズルに効くのか、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。
IMMORTALITY のサウンドトラック — 一つの主題を、その裏側ごと録る
消えた女優の未公開映画を、映像をスクラブしながら追う——Sam Barlow / Half Mermaid の実写ミステリー IMMORTALITY に Nainita Desai が書いたのは、三本の映画それぞれに対応した三つのオーケストラ主題だ。だが本当に面白いのは、各主題が『裏返した(subverted)』版と『超常の(supernatural)』版という影を持ち、映像のメタデータに応じてどれが鳴るかが切り替わること。私 Doremi が、黒コーヒー片手に、一つの録音から双子の裏側まで作るこの設計を、自分の曲作りに持ち帰れる形で分解する。
Viewfinder のサウンドトラック — 写真を置く手つきに合わせて呼吸する音
写真を撮って世界に貼りつけると、二次元の像がそのまま立体になる——Sad Owl Studios の Viewfinder に Aether(Jason Taylor)が書いた音楽は、この不思議な操作にせき立てず寄り添うダウンテンポだ。曲名は Lounge と Domain に分かれ、ゲームの骨格そのものを写している。作曲者が法的盲であり、耳で組み上げているという事実まで含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。
Superliminal のサウンドトラック — 安心させる音が、いちばん怪しい
目を覚ますと夢療法プログラムの待合室にいる。Matt Christensen が Superliminal に書いたのは、ホテルのロビーで流れていそうな、ピアニスト John Reeves の指によるラウンジ・ジャズだ。心地よさが武器になり、同時に最大の misdirection になる――遠近法で大きさが変わるこの一人称パズルと、急かさない音楽がどう噛み合うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。
TUNIC のサウンドトラック — 説明書のページをめくるように鳴る音
Terence Lee(Lifeformed)と Janice Kwan が TUNIC に書いた60曲は、レトロゲームの記憶を頼りにしながら、その引用に逃げない。台北の路地で録った野良猫や夏の風を素材に練り上げた、人工と有機のあいだの音だ。黒コーヒー片手に、断片を拾い集めて世界を読み解くこのゲームと音楽がどう噛み合うのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Opus Magnum のサウンドトラック — 主張しないループ、終わらない最適化の隣で
Zachtronics の錬金術パズル Opus Magnum で、物語と音楽の両方を書いたのは Matthew S Burns。継ぎ目なく回り続ける機械と、継ぎ目を隠したラウンジ風のループ。黒コーヒー片手に、終わらない最適化を『居心地』に変えるこの音楽を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Obduction のサウンドトラック — 世界ごとに音色を着替える
Myst と Riven の音楽を書いた Robyn Miller が、20年ぶりに Cyan の世界へ戻ってきた。Obduction の音楽は、世界が切り替わるたびに音色そのものを着替える。歩く映像を iPad でループさせ、ピアノで弾き当てたという作り方も含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が、自分の曲作りに持ち帰れる観点で分解する。
The Swapper のサウンドトラック — 冷凍庫とテープから生まれた宇宙
廃墟と化した宇宙ステーション。クローンを生み、操作を入れ替えて進む The Swapper の音は、Carlo Castellano がたった一人で——音楽も効果音も——組み上げた。宇宙船の軋みは冷凍庫に突っ込んだマイクから、足音は古い VHS テープを潰す音から採られた。粘土細工の世界に手作りの音を重ねるとはどういうことか。部屋ごとに別の環境音が手続き的に鳴る設計と、即興で生まれた『Recreation』。黒コーヒー片手に、私 Doremi が拍の取れない音を分解する。
Manifold Garden のサウンドトラック — 落ちても戻ってくる音
重力を選び、底まで落ちれば天井から戻ってくる無限の建築。そこに Laryssa Okada が書いた音楽は、終止のない弦とパッドでできていて、循環する空間とよく似た作りをしている。黒コーヒー片手に、ループしているのに『繰り返し』に聞こえないこの音を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
FEZ のサウンドトラック — 8ビットを現代へ連れてきた音
Rich Vreeland(Disasterpeace)が FEZ に書いた音楽は、チップチューンの語彙を持ちながら、リバーブとビットクラッシュで角を丸め、ニューエイジの広がりへ連れていく。高度や時間帯で姿を変える動的な音作りと、スペクトログラムに絵を隠した『音そのものが謎』という仕掛け。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Antichamber のサウンドトラック — 進むほど層が増えていく音
Siddhartha Barnhoorn が Antichamber に書いた音楽は、ループでも無音でもない。何枚もの薄い層がクロスフェードしながら重なり、同じ組み合わせを二度と作らないまま、奥へ進むほど厚みを増していく生きたアンビエントだ。黒コーヒー片手に、不可能な空間を歩く体験となぜこの音がほどけずに付いてくるのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
A Monster's Expedition のサウンドトラック — リズムは曲ではなく、君の指先にある
木を倒し、丸太を転がして島々を渡るオープンワールド倉庫番に、Eli Rainsberry は背骨からリズムを抜いた音楽を書いた。では拍はどこへ行ったのか——UI に、つまりプレイヤーの操作音に引っ越している。ギターとピアノの15曲が思考の海をたゆたい、リズムは君の手が刻む。黒コーヒー片手に、この役割分担の設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。
Blue Prince のサウンドトラック — 音楽までドラフトされた屋敷
Blue Prince の音楽は、オランダの二人組 Trigg & Gusset によるダークジャズだ。打楽器はほぼゼロ、探索の大半は無音、音楽は特定の部屋でだけ立ち上がる。作曲家はスケッチを書き、開発者がそれを屋敷に『ドラフト』した。黒コーヒー片手に、この鳴らない設計から曲作りに盗める点を私 Doremi が探る。
Gorogoa のサウンドトラック — タイルが重なるたび、音も重なる
Joel Corelitz が Gorogoa に書いた音楽は、メロディもコードもほとんど立てず、テクスチャだけで「その場所の感情」を置いていく。しかも一枚一枚のタイルに紐づいた小さな曲が、重なり方のルールを持って組み合わさる——絵を並べ替えるパズルそのものが、音でも起きている。黒コーヒー片手に、私 Doremi がその設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。
The Talos Principle のサウンドトラック — 楽園は一本の持続音でできている
Serious Sam の爆音を16年書いてきた Croteam の Damjan Mravunac が、哲学パズルのために選んだのは、リズムもメロディも意識的に手放した一本の長い持続音だった。聖歌が漂う偽物の楽園で、なぜこの音楽は14時間聴いても飽きないのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が二層構造の設計図を読み解く。
Patrick's Parabox のサウンドトラック — 箱が増えるたびに音がほどける
Priscilla Snow が再帰倉庫番 Patrick's Parabox に書いた音楽は、電子音とアンビエントのあいだに腰を据えた、穏やかで問いかけるような伴奏だ。新しい仕組みが現れるたびに音色が更新され、曲名はそのままメカニクスの名前になっている。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の邪魔をしないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Lorelei and the Laser Eyes のサウンドトラック — ホテルの闇に差すピアノ
Simogo の難解な観察パズル『Lorelei and the Laser Eyes』。Daniel Olsén らが書いた音楽は、Debussy と Satie を下敷きにしたピアノを中心に、デジタルとアコースティックを溶かし合う。長考に効く音の置き方と、画づくりとの隠れた一致を、Doremi が曲作りの目線で読み解く。
































