SERIES — 連載

パズルのサウンドトラック

全116回 · 最新 2026-10-07 · 文: Doremi

パズルの音楽は「壁紙にならないこと」を要求される特殊なジャンルだ。自分でも音を作る Doremi が、1作品ずつサウンドトラックを聴き込み、思考を支える音の設計を言語化していく。

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連載一覧

  1. 第116回
    Botanicula のサウンドトラック — 短い断片を、場面の数だけ並べる
    2026-10-07

    Botanicula の音楽は、長い主題ではなく短い断片のコラージュだ。作曲はチェコのデュオ DVA。トイピアノやメロディカなど手のひらサイズの楽器で、失敗のないパズルの横に鳴る。私 Doremi が分解し、曲作りに持ち帰れる点を拾う。

  2. 第115回
    Rusty Lake: Roots のサウンドトラック — 旋律は同じまま、楽器だけが別の人生を語る
    2026-10-05

    Rusty Lake: Roots は、一族の人生を短い場面でたどる。音楽は場面ごとに専用のテーマ曲と変奏を持つ。旋律の骨を残して楽器を替える設計を、曲作りに持ち帰れる点として私 Doremi が拾う。

  3. 第114回
    Donut County のサウンドトラック — 破壊の最中に、いちばん安心する曲
    2026-10-04

    穴になって街を飲み込む Donut County の音楽は、破壊の最中に安心をくれる。足していくほど育つ曲の設計と、素材を自作する制約を、曲作りに持ち帰れる点として私 Doremi が拾う。

  4. 第113回
    Hidden Folks のサウンドトラック — 2000以上の音は、すべて口から出ている
    2026-10-03

    Hidden Folks に作曲者はいない。2000以上の効果音は、すべて開発者の口から出たものだ。音を「環境」にするミックス、音がヒントになる探索パズルという視点で、曲作りに持ち帰れる点を私 Doremi が拾う。

  5. 第112回
    CHUCHEL のサウンドトラック — 23曲の半分近くが、ラジオ番組の合図になる
    2026-10-02

    CHUCHEL の音楽は、ゲーム全体を「ラジオ番組」にする。作曲はチェコのデュオ DVA。23曲のうち8曲が番組のジングルで、おもちゃの楽器でも groove だけは本物だ。私 Doremi が分解し、曲作りに持ち帰れる点を拾う。

  6. 第111回
    Planet of Lana のサウンドトラック — 台詞のない旅で、旋律が語り手になる
    2026-10-01

    Planet of Lana の音楽は、台詞のない物語を一本の旋律に語らせる。作曲の Takeshi Furukawa は、画像1枚で自分から売り込んだ。小さな子でも弾ける主題と、反復で作る緊張を、私 Doremi が分解し、曲作りに持ち帰れる点を拾う。

  7. 第110回
    Hue のサウンドトラック — 色を替えても、旋律は替えない
    2026-09-30

    Hue の音楽は、静かなピアノ曲が中心だ。作曲の Alkis Livathinos は、予告編に曲が使われたことをきっかけに採用された。色を替えても旋律は替えず、下の和音だけを動かす——Kotaku の取材を手がかりに、私 Doremi が設計を分解し、自分の制作へ持ち帰れる点を拾う。

  8. 第109回
    Her Story のサウンドトラック — 書き下ろされなかった曲が、資料室の空気になる
    2026-09-29

    『Her Story』は、200本以上に分割された取り調べ映像を検索だけで読み解くパズルだ。音楽を手がけたのは Chris Zabriskie。もともとこのゲームのために書かれた曲ではなく、彼が何年も前からクリエイティブ・コモンズで公開してきた既存曲がそのまま採用されている。終わりの合図がない検索という場面に、終わらない曲を当てるという選択を、Doremi が公式サウンドクレジットと本人の経歴から読み解く。

  9. 第108回
    The Rise of the Golden Idol のサウンドトラック — 事件ごとに違う署名を持つ、二人の作曲家の音
    2026-09-28

    台詞なしの犯罪現場を、言葉と観察だけで読み解く『Golden Idol』シリーズ。18世紀を書いた Kyle Misko と、1970年代を書き足した Paul Alexander、二人の音が事件ごとに違う署名を刻む理由を Doremi が聴く。

  10. 第107回
    The Talos Principle: Reawakened のサウンドトラック — 登るなと言われた塔の下で、聖歌隊とドローンが鳴る
    2026-09-25

    『The Talos Principle: Reawakened』は、目覚めたAIが遺跡でレーザーパズルを解きながら「人間とは何か」を問われる一人称パズルだ。<a href="/reviews/the-talos-principle-reawakened">Komugi のレビュー</a>が扱った塔を、作曲家Damjan Mravunacへの取材記事を裏取りしつつ、14時間鳴り続けるループ設計と、聖歌とシンセの二重性という、曲作りに持ち帰れる視点で読み解く。

  11. 第106回
    The Forgotten City のサウンドトラック — たった一行の掟が、三十の旋律に分かれるまで
    2026-09-24

    地下に眠る古代ローマの都市を舞台にした時間ループ・ミステリー The Forgotten City。作曲家 Michael Allen が書いた30曲のスコアは、曲名がすべてラテン語の格言でそろえられている。一つの掟が街の全員を縛るこの物語と、格言という『変奏』の関係を、Doremi が黒コーヒー片手に読み解く。

  12. 第105回
    Somerville のサウンドトラック — 家族に会えた瞬間だけ、音楽を許す
    2026-09-23

    Somerville の音楽は Dominique Charpentier と Matteo Cerquone が書いた。台詞のないこのSF アドベンチャーは、曲のほとんどを『家族に会えた瞬間』のためだけに取っておく。Playdead 創業者が興した Jumpship の血筋と、光で物を溶かし固めるパズルの手つきを、黒コーヒー片手に私 Doremi が読み解く。

  13. 第104回
    Brothers - A Tale of Two Sons のサウンドトラック — 台詞のない兄弟に、旋律だけが声をかける
    2026-09-22

    『Brothers - A Tale of Two Sons』は、ふたりの兄弟が架空の言語だけで話す協力パズルアドベンチャーだ。台詞が意味を運ばない分、音楽が物語の全部を背負う。2013年版を書いたGustaf Grefbergと、2025年リメイクを書き直したDaniele Carmosino・Christof Unterbergerの仕事を裏取りし、二本のスティックと対位法という、曲作りに持ち帰れる視点で読み解く。

  14. 第103回
    The 7th Guest のサウンドトラック — 亡霊たちの旋律が、鍵盤の謎になるまで
    2026-09-21

    1993年のFMVホラーアドベンチャー『The 7th Guest』の音楽は、6人のゲストそれぞれに旋律(ライトモティーフ)を割り当てる作り方をしている。しかもその主題曲『The Game』は、館にある『That Bloody Piano』という鍵盤パズルの正解そのものだ。<a href="/reviews/the-7th-guest">Komugi のレビュー</a>が扱った館を、黒コーヒー片手に私 Doremi が音の側から解体する。

  15. 第102回
    Little Inferno のサウンドトラック — 燃やすだけの部屋に、口ずさめる主題を贈る
    2026-09-20

    『Little Inferno』は、暖炉に物を放り込んで燃やすだけの部屋で、外の世界がゆっくり終わっていくゲームだ。作曲はWorld of GooのKyle Gabler。無料の音源と軽量ソフトだけで書かれたオーケストラ風の主題と、劇中の架空CMソングに仕込まれた皮肉を、曲作りに持ち帰れる視点で読み解く。

  16. 第101回
    Gone Home のサウンドトラック — 日記の数だけ、専用の曲がある家
    2026-09-19

    『Gone Home』は、1995年のポートランドを舞台にした一人称の探索ゲームだ。作曲した Chris Remo は、30分を超える環境音楽に加えて、妹サムの音声日記ひとつひとつに専用の曲を書いた。さらに実在のリオットガール・バンド Heavens to Betsy と Bratmobile の楽曲を招き入れ、架空バンド「Girlscout」の演奏には実在のバンド The Youngins を起用している。Fullbright公式ブログと Wikipedia の記述を裏取りしながら、Doremi が「日記の数だけ曲がある家」を読み解く。

  17. 第100回
    Day of the Tentacle Remastered のサウンドトラック — 同じ屋敷を、三人の作曲家が三世紀ぶん鳴らす
    2026-09-18

    Day of the Tentacle は、同じ屋敷の過去・現在・未来を三人の主人公が同時に解く時間旅行アドベンチャーだ。音楽は era ごとに Bajakian(過去)・McConnell(現在)・Land(未来)と担当が分かれ、しかも LucasArts の適応音楽システム iMuse で場面ごとに滑らかに姿を変える。標準搭載のアイテム便乗と同じ仕掛けが音楽にも起きていることを、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  18. 第99回
    Hypnospace Outlaw のサウンドトラック — 実在しないジャンル名が、謎を解く鍵になる
    2026-09-17

    『Hypnospace Outlaw』は、1999年の架空インターネットを舞台にした観察・推理パズルだ。音楽を手がけた Jay Tholen は「dirthaze」「fungus scene」といった実在しないジャンルを自ら発明し、それを謎解きの手がかりにまで組み込んだ。Tone Glow の取材を裏取りしつつ、架空のバンド名に紐づく約150曲・6枚組のサウンドトラックと、ページからページへ飛ぶテンポが音楽のジャンル交代とどう重なるかを、Doremi が読み解く。

  19. 第98回
    Wilmot's Warehouse のサウンドトラック — 正解のない棚に、変奏という名の秩序を置く
    2026-09-16

    Wilmot's Warehouse の音楽を全て手がけたのは Eli Rainsberry。正解のない仕分けパズルに、慌てない伴奏で応えている。本人はこの仕事を「ウィルモット変奏曲」と呼ぶ。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる視点を私 Doremi が探る。

  20. 第97回
    Bonfire Peaks のサウンドトラック — 運ぶほど重く、燃やせば軽くなる音
    2026-09-15

    『Bonfire Peaks』は Corey Martin がデザイン・プログラム・音楽を兼任した倉庫番系パズルだ。持ち物を担いで崖を登り、頂上の焚き火でそれを燃やしていく。本人が『warm, pretty and unsettling』(温かく、美しく、少し不穏)と評した音楽を、2018年のゲームジャムから郷愁の物語へと変わった開発経緯とあわせて Doremi が読み解く。

  21. 第96回
    TOEM のサウンドトラック — かわいさ9割、茶目っ気1割で書かれた散歩の音
    2026-09-14

    『TOEM』は、白黒の紙工作のような町を歩き、カメラで景色を撮っていく観察・探索型パズルだ。作曲は Jamal Green と Launchable Socks(Joost Kraaijenbrink)。Game Developer の取材を裏取りしつつ、曲と曲のあいだにわざと沈黙と環境音を挟む設計と、『90%かわいくて10%キュート』という配分の哲学を聴く。急かさないカメラのテンポと、急かさない音のテンポがどう重なっているかを、Doremi が読み解く。

  22. 第95回
    Thomas Was Alone のサウンドトラック — 四角形が増えるたび、たった一つの旋律が着替えていく
    2026-09-12

    Thomas Was Alone の音楽は、たった一つの短い旋律を、全曲でずっと着せ替え続けている。作曲は David Housden。新しい四角形が仲間になるたびに音の手触りが変わる仕組みを、本人インタビューと批評を裏取りしながら、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  23. 第94回
    Quern - Undying Thoughts のサウンドトラック — 焦らせない音が、長考を守る
    2026-09-10

    『Quern - Undying Thoughts』は、装置を観察し、同じ道具を何度も見直しながら解いていくMyst系パズルだ。作曲は Marcell Kerepesi。38曲・約115分(Steam公式OST)を裏取りしつつ、レビューが口を揃える『焦らせない音』が、なぜ機械の作動音を邪魔しないのか、そして何度も戻る探索のテンポとどう釣り合っているのかを聴く。

  24. 第93回
    7 Billion Humans のサウンドトラック — 社員が増えたら、バンドも増えた
    2026-09-09

    『7 Billion Humans』は、ひとりの新人社員を操作した前作『Human Resource Machine』の続編で、今度は大勢の労働者に同じ1本のプログラムを同時に走らせる。作曲は前作と同じ Kyle Gabler。前作ではソフトシンセ1台がほぼ全ての音を担っていたが、続編では生ギターと生チェロを迎え入れ、『Stressed Out Bossa Nova』のようなジャンル替え曲も登場する。「happy multi-threaded programming」という作曲者本人の言葉どおり、音楽の編成も並列処理に合わせて増員されている。

  25. 第92回
    Minit のサウンドトラック — 60秒に合わせるため、静けさを手放した音
    2026-09-08

    『Minit』は、呪われた剣のせいで60秒ごとに死んで振り出しに戻るアクションアドベンチャーだ。作曲を手がけた Jukio Kallio は最初、静かなアンビエントを思い描いていたが、時間制限が織り込まれた遊びには合わないと気づき、方針をまるごと書き直した。ゲーム内に隠された「ジュークボックス」は、同じ主題曲をカントリーからブラックメタルまで9つの衣装に着替えさせる仕掛けだ。60秒の焦りと、曲のテンポがどう釣り合っているのかを聴く。

  26. 第91回
    Phoenix Wright: Ace Attorney Trilogy のサウンドトラック — 沈黙も、作曲家が書いた小節だった
    2026-09-07

    Phoenix Wright: Ace Attorney Trilogy の音楽は、証言を追い詰めるほどテンポが変わる仕掛けで書かれている。作曲家 Masakazu Sugimori のインタビューを手がかりに、一文字ずつ流れる台詞と曲の沈黙がどう同期しているかを聴く。

  27. 第90回
    La-Mulana のサウンドトラック — 存在しない過去を、8ビットの記憶で鳴らす
    2026-09-06

    『La-Mulana』は、実在しなかったはずの古代文明を、実在しなかったはずのMSXの記憶で鳴らす。作曲は Takumi Naramura と Houryū・サメジマ。公式ブログの読者アンケートと英語版Wikipediaを手がかりに、なぜ『鬼』級の理不尽な謎解きに退屈しない曲を当てられたのか、そして人気曲がなぜこっそり書き直されたのかを聴く。

  28. 第89回
    Escape Academy のサウンドトラック — 47の部屋に、47着のジャンルを着せた男
    2026-09-05

    『Escape Academy』は、脱出部屋ごとにジャンルを丸ごと着替える劇伴を持つ。作曲は doseone。開発元インタビューと海外プレビュー記事を手がかりに、タイマーが鳴っても曲が加速しない理由と、『深さより広さ』という設計を47曲がそのままなぞる様子を聴く。

  29. 第88回
    Infinifactory のサウンドトラック — 何度組み直しても、急かされない工場の音
    2026-09-04

    捕らわれた人間がエイリアンのために工場ラインを組む Zachtronics のパズル Infinifactory。音楽を書いたのは EXAPUNKS や SHENZHEN I/O と同じ Matthew S Burns だ。採点は走らせたあとにしか来ない設計と、急かない67〜98BPMのループ。曲作りに持ち帰れる視点で、私 Doremi が分解する。

  30. 第87回
    Trine 2: Complete Story のサウンドトラック — 森の子守唄が、太鼓の戦場に変わるまで
    2026-09-03

    Trine 2: Complete Story は、三人の主人公を切り替えて進める物理パズルアクションだ。作曲家 Ari Pulkkinen へのインタビューを手がかりに、1作目の「やさしさ」が2作目でなぜ太鼓を足した音に変わったのかを聴く。

  31. 第86回
    Tetris Effect: Connected のサウンドトラック — ブロックを回すたび、曲に1音足される
    2026-09-02

    Tetris Effect: Connected は、ブロックを動かすたびに音が足される「仕組みで書かれた音楽」だ。作曲チーム Hydelic のインタビューと音響分析記事を手がかりに、ライン消去・Zoneモード・時間経過が曲をどう育てるかを聴く。

  32. 第85回
    EXAPUNKS のサウンドトラック — 待ってくれないメトロノームの音
    2026-09-01

    架空の1997年でハッキングして病を治す Zachtronics のパズル EXAPUNKS。音楽を書いたのは Opus Magnum と同じ Matthew S Burns だ。実行(RUN)した瞬間から刻み続けるプログラムの拍と、合成音の手ざわり。曲作りに持ち帰れる視点で、私 Doremi が分解する。

  33. 第84回
    Untitled Goose Game のサウンドトラック — 騒がしくなるほど、ピアノが正体を見せる
    2026-08-31

    Untitled Goose Game の音楽は、ドビュッシーの前奏曲集を丸ごと弾き直し、数百の断片に切り分けたピアノ独奏だ。作曲は Dan Golding。ガチョウの『怪しまれ具合』が、静寂・様子見・全力の追跡という三段階の演奏そのものを切り替える。黒コーヒー片手に私 Doremi が、この『見ている奏者』という発想を分解する。

  34. 第83回
    Kaizen: A Factory Story のサウンドトラック — 朝いちばんに鳴る、体操の音楽
    2026-08-31

    Kaizen: A Factory Story の音楽は、80年代日本の工場が舞台のオートメーションパズルに、実在のラジオ体操をそのまま持ち込む。作曲は Matthew S. Burns、Sam Kulchin、Drew Messinger-Michaelsの3人。曲名が『Radio Taiso』『Matsuzawa Spirit』——固有名詞をそのまま鳴らす、その手つきを黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  35. 第82回
    The Witness のサウンドトラック — 曲を一切書かないという、7年がかりの決断
    2026-08-29

    『The Witness』の音は、鳴らさないことで設計されている。Wabi Sabi Sound の Andrew Lackey が7年のうち6年をかけて集めた足音と環境音を、Doremi が聴く。

  36. 第81回
    Inscryption のサウンドトラック — 小屋を出た瞬間、曲はジャンルを着替える
    2026-08-28

    『Inscryption』の劇伴を書いた Jonah Senzel は、章が変わるたびにジャンルそのものを着替えている。四人の書記の曲名が設計図になっている理由を、Doremi が聴く。

  37. 第80回
    A Little to the Left のサウンドトラック — 片づけ終わるまで、急かさない音
    2026-08-27

    整頓パズル A Little to the Left の音楽を書いたのはカナダの作曲家 Justin Karas。正解が複数あり失敗のないこの設計に、不正解の音を持たないスコアで応えている。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる視点を私 Doremi が探る。

  38. 第79回
    Terra Nil のサウンドトラック — 荒れ地に立つ「終わり」のための音楽
    2026-08-24

    Terra Nil の音楽はフランスのアンビエント作家 Meydän が書いた。曲名は浄化・緑化・去る、というゲームの進行そのままで、拍を数えさせない「0 BPM」のスコアには珍しく終わりの曲まである。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる視点を私 Doremi が探る。

  39. 第78回
    SUPERHOT のサウンドトラック — 音楽を持たない曲づくり
    2026-08-23

    動いた分だけ時間が進む一人称シューター、SUPERHOT には音楽が存在しない。あるのは動きの速さに連動するサウンドデザインだけだ。2020年の拡張版『MIND CONTROL DELETE』では一転、Zardonic による騒がしいドラムンベースが鳴る。黒コーヒー片手に、私 Doremi がこの『無音から爆音へ』の設計を曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  40. 第77回
    World of Goo 2 のサウンドトラック — 50人がバラバラに録った音が、ひとつの橋になる
    2026-08-22

    Kyle Gabler と新顔 Jonny Trengrove が World of Goo 2 に書いた47曲は、50人以上のコミュニティ演奏者がバラバラに録った音を編み合わせたものだ。グーを一粒ずつ繋いで橋を架けるゲームと、演奏を一本ずつ重ねて曲を組む制作過程。黒コーヒー片手に、私 Doremi がその符合を曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  41. 第76回
    RiME のサウンドトラック — 声を返す島に、悲しみの五段が積み重なる
    2026-08-21

    叫べば石像が応え、章が進むほど悲しみの五段階を昇っていく島——RiME で David García Díaz が書いた音楽は、ひとつの主題を『育てながら戻す』設計をしている。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  42. 第75回
    Mini Metro のサウンドトラック — 路線図が鳴らす和音
    2026-08-20

    路線図パズル Mini Metro の音楽は、線を一本引くたびに和音そのものが書き替わる生成的なシステムとして作られている。作曲者 Disasterpeace(Rich Vreeland)は制作時間の九割をコーディングに費やし、都市ごとに異なる和声の性格まで仕込んだ。混雑と余裕のあいだで鳴り続ける音を、Doremi が制作目線で読み解く。

  43. 第74回
    The Vanishing of Ethan Carter のサウンドトラック — 三度を抜いた和音で、渓谷を歩かせる音
    2026-08-19

    地図もHUDも持たず渓谷を歩くミステリーに、Mikolai Stroinski は長調とも短調とも決めない四度・五度の和音と、ピアノ一本の Ethan's Theme を姿を変えて散りばめるスコアを書いた。散らばった記憶を並べ直すゲームの構造と、名指しできない主題の断片が各曲に紛れ込む譜面の構造――その隠れたリンクを、黒コーヒー片手に Doremi が自分の曲作りへ持ち帰れる視点で分解する。

  44. 第73回
    Firmament のサウンドトラック — 錆びた惑星に満ちる、ひとつのシンセの記憶
    2026-08-18

    Myst の作曲家 Robyn Miller と同じシンセを選び、その音の記憶をそのまま次の世代へ渡した Maclaine Diemer。Kickstarter の一支援者として Firmament に出会い、後にその作曲家になったという経緯も含め、腕輪ひとつで惑星を巡るこの一人称パズルの『ほぼ全部シンセ、例外は二、三』というスコアを、黒コーヒー片手に Doremi が自分の曲作りへ持ち帰れる視点で分解する。

  45. 第72回
    Return to Monkey Island のサウンドトラック — スカルが鳴らす音符が地図をひらく
    2026-08-17

    Ron Gilbert が30年ぶりに完結させた海賊コメディに、あの iMuse を生んだ本人たち——Michael Land・Peter McConnell・Clint Bajakian——が音楽で戻ってきた。スカルを叩いて地図をひらくパズルに具体的な音符を仕込んだ制作秘話から、部屋を出入りするたびに旋律が呼吸を変える仕掛けまで、黒コーヒー片手に私 Doremi がインタビューとクレジットを裏取りして分解する。

  46. 第71回
    Dorfromantik のサウンドトラック — 勝ち負けを鳴らさない音の呼吸
    2026-08-16

    六角形のタイルを置くだけの Dorfromantik に、Laryssa Okada と Pygoscelis(+ Only Sound)は勝敗を鳴らさない音の絨毯を敷いた。得点のたびのファンファーレも、詰みの瞬間の緊張も、この曲には出てこない。だいたいの BPM を数えながら、黒コーヒー片手に私 Doremi が、その『鳴らないこと』の設計をレーベルのクレジットと開発資料から裏取りして分解する。

  47. 第70回
    Kine のサウンドトラック — 間違えられないジャズを設計する
    2026-08-15

    楽器のロボット3体がバンドの成功を夢見て街を転がる Kine に、Chel Wong はショウ・チューン仕立てのジャズを書いた。ただし譜面をなぞる音楽ではない。プレイヤーが盤面でひと転がりするたびに一音が鳴り、その即興が決して外れないように、調とベースラインと音のバンクで安全網が張ってある。『間違えられないジャズ』という設計を、作曲者本人のQ&Aと開発者インタビューで裏取りしながら、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  48. 第69回
    Monument Valley のサウンドトラック — 伴奏であって、道案内ではない
    2026-08-09

    ustwo games の錯視パズル Monument Valley に、Stafford Bawler・Obfusc・Grigori が付けた音楽は、メロディで前に出ようとしない。等角投影のモニュメントを回して道をつなぐ短い旅に寄り添うのは、輪郭のやわらかいアンビエントと、私たちが柱を回すたびに鳴る一粒の和音だ。黒コーヒー片手に、『伴奏に徹する音楽が、どうやって手触りになるのか』という角度で私 Doremi が分解する。

  49. 第68回
    Grim Fandango Remastered のサウンドトラック — 死者の国で鳴るビッグバンドの一拍目
    2026-08-08

    死者の国の四年間の旅を、フィルム・ノワールのビッグバンド・ジャズとメキシコの民俗音楽、そして交響楽で描いた Peter McConnell のスコア。iMUSE という動的音楽システムが、行き詰まって同じ部屋に戻るアドベンチャーの時間とどう噛み合うのか。私の言葉で、持ち帰れる設計の話として書く。

  50. 第67回
    Samorost 3 のサウンドトラック — 笛を吹くことが、旅になる
    2026-08-07

    空から落ちてきた一本の笛を吹くと、世界の音が近づく——Amanita Design の Samorost 3 で、Tomáš Dvořák (Floex) は音楽を『鳴らす道具』そのものにした。クラリネットと生楽器で編まれた約88分のアルバムが、なぜ言葉のない旅の呼吸とここまで合うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『音を出すという動詞』の観点で分解する。

  51. 第66回
    Thimbleweed Park のサウンドトラック — ヒントを一切鳴らさないと決めた音
    2026-08-06

    Steve Kirk が Thimbleweed Park に書いた音は、謎解きを手伝わない。踏んでも押しても、答えの在りかは鳴らない。テルミンとラウンジとプログレが混じった palette で、彼が鳴らすのは『機能している町』の空気だけだ。黒コーヒー片手に、なぜこの音楽がヒントを拒むのか、そして location ごとに用意された『プール』という仕組みから何を盗めるのかを、私 Doremi が分解する。

  52. 第65回
    Ghost Trick のサウンドトラック — 死の4分前を組み替える、憑依のスウィング
    2026-08-05

    銃声が鳴り、主人公はもう死んでいる。霊となった彼は物体に憑依し、たった一つの動作を連鎖させて「誰かが死ぬ4分前」を組み替える——巧舟がディレクションした Ghost Trick の音楽を書いたのは、『逆転裁判』第1作の作曲者 Masakazu Sugimori(杉森雅和)だ。歩くより少し速いスウィングと、何度巻き戻しても嫌にならない短いループ。2023年の HD リマスターでは巧舟が立ち会い再録された。黒コーヒー片手に私 Doremi が、曲を作る人が持ち帰れる視点で分解する。

  53. 第64回
    Telling Lies のサウンドトラック — 順不同で流れる、片側だけの音楽
    2026-08-04

    Sam Barlow の Telling Lies は、他人の映像記録を検索してつなぎ合わせる推理パズルだ。Nainita Desai のスコアは、映像と同じく『順不同で流れても成立する』モジュール構造で書かれている。ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラの生音、弓を弦の駒にこすりつける"スペクトラル・スクラビング"、7/4 で始まるタイトル曲。プレイヤーが映像をスクラブするのと同じ動作が、なぜ音の中にも隠れているのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。

  54. 第63回
    Broken Age のサウンドトラック — 生演奏の管弦楽が、手描きの村に降りてくる
    2026-08-03

    Peter McConnell が Broken Age に書いたのは、ほぼ全編が生演奏の管弦楽だ。Melbourne Symphony Orchestra と少人数のアンサンブルが、サンプルでは出せない息を吹き込む。黒コーヒー片手に、iMUSE の発明者でもある彼が、ポイント&クリックの『歩き回る手つき』にどう音を寄り添わせたか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  55. 第62回
    Botany Manor のサウンドトラック — 時計を持たない音楽
    2026-08-02

    引退した植物学者の邸宅で、枯れた花を一つずつ咲かせていく Botany Manor。Thomas Williams が書いた音楽は、近接録音のヴァイオリンとハープを軸にした小編成の室内楽で、忘れられた花にはそれぞれ固有の主題が用意されている。タイマーも失敗もないパズルに、なぜこの「急かさない音楽」が寄り添えるのか。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  56. 第61回
    Into the Breach のサウンドトラック — 最後のメカが着地した瞬間に鳴る
    2026-08-01

    Ben Prunty が書いた Into the Breach の音楽は、終末を描くのに湿っぽくない。ミュートしたギターと弦がぶつかり合う、体温の高い音だ。だが一番パズル的なのは『どこで鳴らないか』——メカが着地するまで音楽は待つ。黒コーヒー片手に、その沈黙の設計を私 Doremi が分解する。

  57. 第60回
    Myst のサウンドトラック — 音楽を入れないと決めた島に、後から流れた気配
    2026-07-31

    Cyan の Robyn Miller は、最初 Myst に音楽を入れないつもりだった。パズルの邪魔になると考えたからだ。ところが数回のテストで、音は『場所の気分』を確かに助けた——シンセ一台、夜の二週間で書かれた40分ほどの音が、そうして島に後から流れ込む。音を消す方から始めた作曲と、音そのものが鍵になる Selenitic の仕掛けを、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  58. 第59回
    Portal のサウンドトラック — 沈黙のあとに、機械が歌う
    2026-07-29

    Portal の試験室は、ほとんど鳴らない。Kelly Bailey と Mike Morasky のアンビエントが空調のように背後へ沈み、数時間の沈黙のあとで初めて GLaDOS が歌い出す——Jonathan Coulton が書いた "Still Alive"。黒コーヒー片手に、私 Doremi が「無音の設計」と「敵が作詞する一曲」を分解し、自分の制作に持ち帰れる点を拾う。

  59. 第58回
    Genesis Noir のサウンドトラック — 即興でできた宇宙、触れると鳴る
    2026-07-28

    腕時計売りの No Man が、嫉妬した神の銃声=ビッグバンから恋人を救う白黒アドベンチャー Genesis Noir。台詞は一言もなく、物語はほぼ音だけで進む。Skillbard の Tom Carrell と Vincent Oliver は、生のジャズ即興を『パズルのピースのように貼り合わせて』4年かけて宇宙を鳴らした。触れて試すパズルと、即興で組んだ音楽の相性を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  60. 第57回
    Timelie のサウンドトラック — 時間を早送りするための、巻き戻せる音楽
    2026-07-27

    少女と黒猫が、時間そのものをメディアプレイヤーのように前後へ擦って逃げるステルスパズル。その盤面で鳴っているのは、ピアノとオルゴール、そして——さまざまな時計の音を素材にした音楽だ。Pongsathorn Posayanonth と Aun Jessada は「時間を象徴する音」を score に編み込んだ。私は黒コーヒーを片手に、プレイヤーが常に巻き戻す前提で書かれた音楽の設計を、自分の制作に持ち帰れる形で分解する。

  61. 第56回
    Murder by Numbers のサウンドトラック — 90年代ロサンゼルスの探偵ドラマ、そのマスを一つずつ塗る音
    2026-07-26

    1996年のロサンゼルス、クビになったテレビ女優 Honor とゴミ捨て場で拾ったロボット SCOUT が、ノノグラム(ピクロス)を解きながら殺人事件を追う——Mediatonic の Murder by Numbers に音楽を書いたのは、『逆転裁判』第1作の作曲者 Masakazu Sugimori(杉森雅和)だ。ジャジーなラウンジ調と、パズル専用にループする5曲。番組のテーマソングを装った Honor's Theme まで含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が、曲を作る人が持ち帰れる視点で分解する。

  62. 第55回
    Creaks のサウンドトラック — 何度でも生まれ直す『生きた』音楽
    2026-07-25

    Amanita Design の『Creaks』で Joe Acheson が書いたのは、100 曲以上が生成的に鳴り分かれる『生きたサウンドトラック』だ。同じ部屋に戻っても二度と同じには鳴らず、解けそうな瞬間にはそっと楽器が増えて背中を押す。台詞も UI 文字もない邸宅で、音楽が唯一の相棒になる仕組みを、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りの観点で分解する。

  63. 第54回
    The Turing Test のサウンドトラック — 人間か機械かを、ひとつの主題で問い続ける
    2026-07-24

    Sam Houghton と Yakobo が書いた The Turing Test の音楽は、暗く、最小限で、褒めてくれない。ほとんど全曲に同じ主題が通っていて、部屋ごとに色を着替える。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『ひとつの動機を歪ませ続ける』設計と、解いても反応しない音楽の度胸を、曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  64. 第53回
    Vessel のサウンドトラック — 解くほどに曲が組み上がる水の音
    2026-07-23

    Strange Loop Games の液体パズル Vessel の音楽は、Jon Hopkins が既に世に出していた10曲を、Leonard J. Paul のエンジンがリアルタイムで解体・再構築したものだ。パズルを解き進めるほど、背景でくすぶっていた音にドラムとベースが積み上がり、解けた瞬間にフル尺が鳴る。黒コーヒー片手に、なぜ『ご褒美のジングル』ではなく『曲そのものの完成』が報酬になり得るのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  65. 第52回
    Gunpoint のサウンドトラック — 沈黙を基調に、計画のときだけ回路が歌う
    2026-07-22

    Tom Francis が公募で選んだ三人 —— Ryan Ike、John Robert Matz、Francisco Cerda —— が Gunpoint に与えたのは、ジャズ・ノワールと電子音のあいだを漂う音だ。ステルスパズルらしく、大半は沈黙。だが回路をつなぎ替える「クロスリンク」モードに入った瞬間、同じ曲が電子的な変奏へ滑り込む。黒コーヒー片手に、思考と行動を音で切り替えるこの設計を、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  66. 第51回
    Heaven's Vault のサウンドトラック — 発見の一瞬ごとに、小さな和音を用意する
    2026-07-21

    考古学者アリヤと相棒ロボット Six が、星雲の川を漕いで失踪した学者を探す inkle の物語アドベンチャー。核にあるのは古代文字を解読するパズルだ。作曲は Laurence Chapman。弦楽四重奏の親密な響きの下に、彼は『発見の一瞬』のためだけの短い曲を約20本も仕込んでいた。解読というパズルと、その小さな和音たちがどう噛み合うのか——黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  67. 第50回
    Taiji のサウンドトラック — 沈黙の系譜で、あえて鳴らし続ける
    2026-07-20

    Taiji は The Witness の直系だ。しかし本家が音楽を捨てて環境音に賭けたのに対し、この島は消えないアンビエントを敷き続ける。作曲は開発者 Matthew VanDevander 自身と、それを有限のアルバムへ編み直した Grzegorz Bednorz。黒コーヒーを片手に、鳴らし続ける選択がなぜ観察のパズルと噛み合うのかを、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。

  68. 第49回
    Psychonauts のサウンドトラック — 頭の中に入るたび、ジャンルが変わる
    2026-07-19

    他人の頭に潜り込むたびに音楽のジャンルまるごと入れ替わる。Peter McConnell が Psychonauts に書いたのは、20曲がそれぞれ別のレコード棚から来たような音だ。フラメンコ、トワイライトゾーン風の怪奇、キャンプの民謡——なぜ節操なく見えて散らからないのか。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  69. 第48回
    Etherborn のサウンドトラック — 重力が向きを変えても、音は転ばない
    2026-07-18

    曲面を歩くと自分の重力の向きだけが切り替わる——Etherborn の謎は静かで、急かされない。声を持たない透明な存在となり、光のオーブを集めながらエッシャー的な抽象建築を上り下りする。その無機質な幾何のなかで唯一、体温を持って鳴るのが Gabriel Garrido García の音楽だ。バルセロナで生録りされた弦楽四重奏、クラリネット、ファゴット、ソプラノ。ちょうど今日で発売から7年になるこの佳作の音を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  70. 第47回
    The Sexy Brutale のサウンドトラック — 音で時刻を測る舞踏会
    2026-07-17

    Matt Bonham と Tim Cotterell が The Sexy Brutale に書いた音楽は、1920年代の舞踏会を思わせるエレクトロ・スウィング——だが、その正体は屋敷でいちばん精密な時計だ。各ウィングで表情が違い、殺人の時刻へ向けて緊張を高め、真夜中の巻き戻しとともにリセットされる。時間ループ推理と音楽がどう噛み合うか、そして『音で時刻を測らせる』設計を自分の曲にどう盗むか。黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  71. 第46回
    Riven のサウンドトラック — 立ち止まる島に、音楽は結論を出さない
    2026-07-16

    Cyan の Robyn Miller が、27年前に自ら書いた Riven の音を、2024年のリメイクで自ら鳴らし直した。自由に歩ける島では音楽は昂ぶることを許されない——観察と手控えで進むこのパズルアドベンチャーで、旋律より水音と装置が主役になる理由を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  72. 第45回
    Contrast のサウンドトラック — 影で解く街に、生身のジャズが灯る
    2026-07-15

    光源を動かして壁に落ちる影を変え、その影へ 2D のシルエットとして滑り込む——Contrast の謎は、静かで、観察を求める。だがこの 1920 年代風の街には、生身のジャズが灯っている。キャバレー歌手 Kat が物語のなかで実際に歌う曲たちだ。Nicolas Marquis が書き、Laura Ellis が歌う、煙ったバラード。音楽がキャラクターそのものになる設計を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  73. 第44回
    ANIMAL WELL のサウンドトラック — 密な空気そのものを鳴らす、笛は鍵になる
    2026-07-14

    Billy Basso がたった一人で書いた ANIMAL WELL の音。戦わない迷宮では、音楽は前に出ず、湿った空気の低い層になって沈む。そして笛は BGM ではなく鍵になる——五音の旋律が、そのまま謎の答えだ。黒コーヒー片手に、色数を絞る美学を音に置き換えたこの設計を、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。

  74. 第43回
    Human Resource Machine のサウンドトラック — シンセ一台で組み上げた、静かな会社員の音
    2026-07-13

    Kyle Gabler が Human Resource Machine に書いた音楽は、フリーのソフトシンセ Synth1 ほぼ一台だけで作られている。オフィスに漂う気だるいジャズ、ゲーム内では十数秒で回り続ける小さなループ、アルバムでは同じ主題が伸びていく——制約から生まれた設計を、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りへ持ち帰れる観点で分解する。

  75. 第42回
    SHENZHEN I/O のサウンドトラック — 集中を、曲名で名指す音
    2026-07-12

    深圳の架空メーカーで簡易アセンブリを書くプログラミング・パズル SHENZHEN I/O。物語とアートを書いた Matthew S Burns が、そのまま音楽も手掛けた。全9曲の曲名は『Enthusiasm』『Concentration』『Patience』——風景ではなく、解く人の心の駅名だ。黒コーヒー片手に、この『思考のための音楽』を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  76. 第41回
    FRACT OSC のサウンドトラック — パズルを解くと、音楽が生えてくる
    2026-07-11

    Alex Taam(Mogi Grumbles)が FRACT OSC に書いた音楽は、完成した曲として最初から鳴っているのではない。廃墟のようなシンセサイザー世界のパズルを解くたびに、ベースが、パッドが、アルペジオが一層ずつ点いていく——プレイヤーの手が譜面を組み立てる音楽だ。全曲を C ペンタトニック・マイナーに揃えたという作曲者本人の証言を手がかりに、黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  77. 第40回
    Poly Bridge のサウンドトラック — 崩れても、叱らない音楽
    2026-07-10

    崩れる橋、やり直す指、そのぜんぶを責めないアコースティック。Adrian Talens が一本のギターで書いた『道中の音楽』を、曲づくりに持ち帰れる視点で読む。

  78. 第39回
    Maquette のサウンドトラック — 曲を書かず、選ぶという設計
    2026-07-08

    Maquette には、いわゆる劇伴がほとんどない。代わりに流れるのは、別れた二人が実際に聴いていそうな、サンフランシスコのインディー音楽家たちの本物の曲だ。入れ子の箱庭を解きながら、なぜここに歌詞つきのポップスが流れるのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『曲を書くのではなく選ぶ』という設計の意味を、自分の制作へ持ち帰れる形で分解する。

  79. 第38回
    Paradise Killer のサウンドトラック — 順番を決めるのは私だ
    2026-07-06

    Barry "Epoch" Topping が Paradise Killer に書いたのは、シティポップとヴェイパーウェイヴが溶けた24曲。開発陣いわく「特定の場面に付けた曲ではなく、一枚のアルバム」だ。順番のない自由捜査に、順番のないプレイリスト。黒コーヒー片手に、なぜこの音が『偶然の一致』で刺さるのか、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。

  80. 第37回
    Q.U.B.E. 2 のサウンドトラック — 本物そっくりの、本物でない音
    2026-07-05

    David Housden が Q.U.B.E. 2 に書いた音楽は、ピアノと弦とシンセでできた、穏やかで美しい層だ。だがその美しさには仕掛けがある。異星の構造物が地球を模倣するという設定に合わせ、彼は生の音をシンセに通して『本物そっくりの、本物でない音』を作った。黒コーヒー片手に、一人称視点パズルの思考と、この音の距離感を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  81. 第36回
    The Gardens Between のサウンドトラック — 時間を巻き戻しても、後戻りしない音
    2026-07-04

    Tim Shiel が The Gardens Between に書いた音楽は、時間を前後に巻き戻すゲームでありながら、音楽そのものは決して逆再生されない。黒コーヒー片手に、なぜ『巻き戻しても後戻りしない音』が記憶パズルに効くのか、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  82. 第35回
    INSIDE のサウンドトラック — 頭蓋骨を通した音で、頭の中の話をする
    2026-07-03

    Playdead の INSIDE の音は、本物の人間の頭蓋骨に通して録られている。Martin Stig Andersen と SØS Gunver Ryberg は、シンセの音を骨で鳴らし、脆く空洞な質感を与えた。他人の身体を乗っ取るマインドコントロールのパズルに、なぜ『頭の中で鳴る音』がこれほど効くのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。

  83. 第34回
    IMMORTALITY のサウンドトラック — 一つの主題を、その裏側ごと録る
    2026-07-02

    消えた女優の未公開映画を、映像をスクラブしながら追う——Sam Barlow / Half Mermaid の実写ミステリー IMMORTALITY に Nainita Desai が書いたのは、三本の映画それぞれに対応した三つのオーケストラ主題だ。だが本当に面白いのは、各主題が『裏返した(subverted)』版と『超常の(supernatural)』版という影を持ち、映像のメタデータに応じてどれが鳴るかが切り替わること。私 Doremi が、黒コーヒー片手に、一つの録音から双子の裏側まで作るこの設計を、自分の曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  84. 第33回
    Viewfinder のサウンドトラック — 写真を置く手つきに合わせて呼吸する音
    2026-07-01

    写真を撮って世界に貼りつけると、二次元の像がそのまま立体になる——Sad Owl Studios の Viewfinder に Aether(Jason Taylor)が書いた音楽は、この不思議な操作にせき立てず寄り添うダウンテンポだ。曲名は Lounge と Domain に分かれ、ゲームの骨格そのものを写している。作曲者が法的盲であり、耳で組み上げているという事実まで含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  85. 第32回
    Carto のサウンドトラック — 地図を並べ替えると、音楽も並べ替わる
    2026-06-30

    Eddie Yu が Carto に書いた 31 曲は、どれも短く、角が丸く、アコースティックの匂いがする。このゲームではプレイヤーが地図のタイルを並べ替えて世界そのものを組み直す。面白いのは、音楽もまた『場所』に紐づいて並べ替わることだ。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の上に流れ続けても疲れないのか、曲作りに持ち帰れる視点で私 Doremi が分解する。

  86. 第31回
    The Pedestrian のサウンドトラック — 標識の街を歩く、ジャズの足取り
    2026-06-29

    Logan Hayes が The Pedestrian に書いた音楽は、ピアノとオーケストラを背骨に、ジャズ・アンビエント・東欧的な旋律を縫い合わせた一着だ。標識のパネルを並べ替えて扉をつなぐパズルの裏で、FMOD によって途切れず姿を変え続ける。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『鳴り止まない伴走者』としての音楽を、自分の曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  87. 第30回
    Call of the Sea のサウンドトラック — 愛をひっくり返して二人目の主題を得る
    2026-06-28

    Eduardo de la Iglesia が Call of the Sea に書いたのは、ミニマルでも無音でもない、弦楽オーケストラの恋物語だ。妻のテーマをそっくり反転させて夫のテーマを作る「ネガティブ・メロディ」という手口を中心に、観察して組み合わせる探索パズルのテンポと、前へ引っぱる旋律の関係を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  88. 第29回
    The Case of the Golden Idol のサウンドトラック — 凍った時間に寄り添う灰色の音
    2026-06-27

    戦時下のリヴィウで Kyle Misko が書いた《The Case of the Golden Idol》のOST。18世紀英国の冷たさとニューエイジ・アンビエントが溶け合い、凍りついた事件現場のループに寄り添って推理を急かさない。反応しない音楽の設計と、曲作りに盗める視点を読む。

  89. 第28回
    Superliminal のサウンドトラック — 安心させる音が、いちばん怪しい
    2026-06-26

    目を覚ますと夢療法プログラムの待合室にいる。Matt Christensen が Superliminal に書いたのは、ホテルのロビーで流れていそうな、ピアニスト John Reeves の指によるラウンジ・ジャズだ。心地よさが武器になり、同時に最大の misdirection になる――遠近法で大きさが変わるこの一人称パズルと、急かさない音楽がどう噛み合うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。

  90. 第27回
    TUNIC のサウンドトラック — 説明書のページをめくるように鳴る音
    2026-06-25

    Terence Lee(Lifeformed)と Janice Kwan が TUNIC に書いた60曲は、レトロゲームの記憶を頼りにしながら、その引用に逃げない。台北の路地で録った野良猫や夏の風を素材に練り上げた、人工と有機のあいだの音だ。黒コーヒー片手に、断片を拾い集めて世界を読み解くこのゲームと音楽がどう噛み合うのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  91. 第26回
    Opus Magnum のサウンドトラック — 主張しないループ、終わらない最適化の隣で
    2026-06-24

    Zachtronics の錬金術パズル Opus Magnum で、物語と音楽の両方を書いたのは Matthew S Burns。継ぎ目なく回り続ける機械と、継ぎ目を隠したラウンジ風のループ。黒コーヒー片手に、終わらない最適化を『居心地』に変えるこの音楽を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  92. 第25回
    Obduction のサウンドトラック — 世界ごとに音色を着替える
    2026-06-23

    Myst と Riven の音楽を書いた Robyn Miller が、20年ぶりに Cyan の世界へ戻ってきた。Obduction の音楽は、世界が切り替わるたびに音色そのものを着替える。歩く映像を iPad でループさせ、ピアノで弾き当てたという作り方も含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が、自分の曲作りに持ち帰れる観点で分解する。

  93. 第24回
    Void Stranger のサウンドトラック — モノクロの迷宮に響く、貧しい音源の交響
    2026-06-22

    モノクロの Sokoban 迷宮 Void Stranger の音楽は、ありふれた MIDI 音源とチップ波形だけで荘厳さと不穏さを同居させる。作曲者 Eero Lahtinen は「解けずに同じ曲を聴き続けてもうんざりしない」ことを設計の主眼に据えた。繰り返しに耐える音作りと、思考のテンポへ寄り添う持続音を、Doremi が制作目線で読み解く。

  94. 第23回
    The Swapper のサウンドトラック — 冷凍庫とテープから生まれた宇宙
    2026-06-21

    廃墟と化した宇宙ステーション。クローンを生み、操作を入れ替えて進む The Swapper の音は、Carlo Castellano がたった一人で——音楽も効果音も——組み上げた。宇宙船の軋みは冷凍庫に突っ込んだマイクから、足音は古い VHS テープを潰す音から採られた。粘土細工の世界に手作りの音を重ねるとはどういうことか。部屋ごとに別の環境音が手続き的に鳴る設計と、即興で生まれた『Recreation』。黒コーヒー片手に、私 Doremi が拍の取れない音を分解する。

  95. 第22回
    Braid, Anniversary Edition のサウンドトラック — 逆再生に耐える音だけを選んだ
    2026-06-20

    Braid の音楽は『作曲』されていない。Jonathan Blow は作曲家を雇わず、Magnatune のチェロやハープの既成曲を選んだ。条件はただ一つ——巻き戻しても美しいこと。時間を逆流させるパズルに、逆再生して壊れない音を当てる。Anniversary Edition では LIMBO の Martin Stig Andersen が7曲を電子音響でリミックスした。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『可逆な音楽』を分解する。

  96. 第21回
    The Talos Principle 2 のサウンドトラック — 巨大さに合唱で応える
    2026-06-19

    ロボットたちが築いた都市 New Jerusalem を出て、地平に立つ巨大建造物(メガストラクチャ)へと歩いていく一人称パズル。Damjan Mravunac の音楽は管弦と電子、そして合唱で書かれていて、謎を解く小さな時間と、世界の大きさに見惚れる時間を、別々のテンポで鳴らし分けている。黒コーヒー片手に、なぜ最大の音が『歩く場面』に取ってあるのかを私 Doremi が分解する。

  97. 第20回
    Manifold Garden のサウンドトラック — 落ちても戻ってくる音
    2026-06-18

    重力を選び、底まで落ちれば天井から戻ってくる無限の建築。そこに Laryssa Okada が書いた音楽は、終止のない弦とパッドでできていて、循環する空間とよく似た作りをしている。黒コーヒー片手に、ループしているのに『繰り返し』に聞こえないこの音を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  98. 第19回
    FEZ のサウンドトラック — 8ビットを現代へ連れてきた音
    2026-06-17

    Rich Vreeland(Disasterpeace)が FEZ に書いた音楽は、チップチューンの語彙を持ちながら、リバーブとビットクラッシュで角を丸め、ニューエイジの広がりへ連れていく。高度や時間帯で姿を変える動的な音作りと、スペクトログラムに絵を隠した『音そのものが謎』という仕掛け。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  99. 第18回
    Chants of Sennaar のサウンドトラック — ことばを覚える前に、その民の音を覚える
    2026-06-16

    Thomas Brunet が Chants of Sennaar に書いた音楽は、生楽器で編まれた小さな室内楽だ。塔の各階に住む民は言葉が通じない。だが音は通じる。私 Doremi は、言語を解読するゲームの音楽が、なぜ解読より先に『その民が何者か』を教えてしまうのか、黒コーヒー片手に曲作りの観点で分解する。

  100. 第17回
    Antichamber のサウンドトラック — 進むほど層が増えていく音
    2026-06-15

    Siddhartha Barnhoorn が Antichamber に書いた音楽は、ループでも無音でもない。何枚もの薄い層がクロスフェードしながら重なり、同じ組み合わせを二度と作らないまま、奥へ進むほど厚みを増していく生きたアンビエントだ。黒コーヒー片手に、不可能な空間を歩く体験となぜこの音がほどけずに付いてくるのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  101. 第16回
    Papers, Please のサウンドトラック — 一日の頭で鳴り、あとは判子が引き継ぐ
    2026-06-13

    入国審査のブースで、書類の食い違いを探す。Lucas Pope が自分で書いた音楽は、ほんの30秒ほどの国歌だけだ。一日の頭で大袈裟に鳴り、審査が始まると引っ込む。あとを継ぐのは判子の音、紙をめくる音——プレイヤー自身が刻む拍だ。黒コーヒー片手に、この「頭で鳴らして、あとは黙る」設計を、自分の曲に持ち帰れる形で分解する。

  102. 第15回
    A Monster's Expedition のサウンドトラック — リズムは曲ではなく、君の指先にある
    2026-06-12

    木を倒し、丸太を転がして島々を渡るオープンワールド倉庫番に、Eli Rainsberry は背骨からリズムを抜いた音楽を書いた。では拍はどこへ行ったのか——UI に、つまりプレイヤーの操作音に引っ越している。ギターとピアノの15曲が思考の海をたゆたい、リズムは君の手が刻む。黒コーヒー片手に、この役割分担の設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  103. 第14回
    Blue Prince のサウンドトラック — 音楽までドラフトされた屋敷
    2026-06-11

    Blue Prince の音楽は、オランダの二人組 Trigg & Gusset によるダークジャズだ。打楽器はほぼゼロ、探索の大半は無音、音楽は特定の部屋でだけ立ち上がる。作曲家はスケッチを書き、開発者がそれを屋敷に『ドラフト』した。黒コーヒー片手に、この鳴らない設計から曲作りに盗める点を私 Doremi が探る。

  104. 第13回
    World of Goo のサウンドトラック — 積み上げる手に寄り添う、嵐の前のワルツ
    2026-06-10

    Kyle Gabler が World of Goo に書いた音楽は、ティム・バートン的なゴシック・カーニバルの匂いと、エンニオ・モリコーネの西部劇が同居している。ぷにぷにを積み上げる手の震えに、なぜこのワルツが寄り添うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。

  105. 第12回
    Unpacking のサウンドトラック — 鳴りすぎない音の置きかた
    2026-06-09

    Jeff van Dyck が Unpacking に書いた音楽は、角を丸めたチップチューンにアコースティックギターとピアノを重ねた、不思議と『鳴りすぎない』スコアだ。失敗もタイマーもないパズルに、音楽は何をして、何をしないのか。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  106. 第11回
    Gorogoa のサウンドトラック — タイルが重なるたび、音も重なる
    2026-06-08

    Joel Corelitz が Gorogoa に書いた音楽は、メロディもコードもほとんど立てず、テクスチャだけで「その場所の感情」を置いていく。しかも一枚一枚のタイルに紐づいた小さな曲が、重なり方のルールを持って組み合わさる——絵を並べ替えるパズルそのものが、音でも起きている。黒コーヒー片手に、私 Doremi がその設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  107. 第10回
    The Talos Principle のサウンドトラック — 楽園は一本の持続音でできている
    2026-06-07

    Serious Sam の爆音を16年書いてきた Croteam の Damjan Mravunac が、哲学パズルのために選んだのは、リズムもメロディも意識的に手放した一本の長い持続音だった。聖歌が漂う偽物の楽園で、なぜこの音楽は14時間聴いても飽きないのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が二層構造の設計図を読み解く。

  108. 第9回
    Portal 2 のサウンドトラック — 解くほどに鳴る、機械が書いた音楽
    2026-06-06

    Mike Morasky が Portal 2 に書いた音楽は、流して聴くものではなく『解いている最中に組み上がっていく』。Aerial Faith Plate を踏み、Excursion Funnel に乗るたびに音が一段ずつ増える。黒コーヒー片手に、なぜこの曲が『機械が作曲したように聞こえる』のか、そして自分の制作に何を盗めるのかを私 Doremi が分解する。

  109. 第8回
    LIMBO のサウンドトラック — 身元を消された音だけが残る
    2026-06-05

    LIMBO の音響を一人で担った Martin Stig Andersen は、アクースマティック音楽の出身だ。音の『身元』を歪め、感情を操作する音楽を拒むことで、シルエットの世界に音の影を重ねた。死んで覚えるパズルを邪魔しない『リトライ耐性のある音楽』とは何か。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。

  110. 第7回
    Machinarium のサウンドトラック — 錆びた世界で、ループを飽きさせない算術
    2026-06-04

    Amanita Design の台詞ゼロの手描きアドベンチャー Machinarium に、Tomáš Dvořák (Floex) が書いた音楽は、ピアノとクラリネットの体温に、汚れたアナログシンセと廃材の金属音が混ざった不思議な合金だ。同じ画面を何分も睨むゲームで、なぜこのループは耳に残り続けるのか。黒コーヒー片手に、『抽象とメロディの配合比』という観点で私 Doremi が分解する。

  111. 第6回
    Patrick's Parabox のサウンドトラック — 箱が増えるたびに音がほどける
    2026-06-03

    Priscilla Snow が再帰倉庫番 Patrick's Parabox に書いた音楽は、電子音とアンビエントのあいだに腰を据えた、穏やかで問いかけるような伴奏だ。新しい仕組みが現れるたびに音色が更新され、曲名はそのままメカニクスの名前になっている。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の邪魔をしないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  112. 第5回
    Lorelei and the Laser Eyes のサウンドトラック — ホテルの闇に差すピアノ
    2026-06-02

    Simogo の難解な観察パズル『Lorelei and the Laser Eyes』。Daniel Olsén らが書いた音楽は、Debussy と Satie を下敷きにしたピアノを中心に、デジタルとアコースティックを溶かし合う。長考に効く音の置き方と、画づくりとの隠れた一致を、Doremi が曲作りの目線で読み解く。

  113. 第4回
    Baba Is You のサウンドトラック — 何度間違えても叱らない、小さなループ
    2026-06-01

    Baba Is You の音楽は、ゲームを丸ごと一人で作った Arvi 'Hempuli' Teikari がトラッカー(OpenMPT)で書いたチップチューンだ。何百回とリトライするゲームなのに、音楽は勝ちも負けも告げず、ただ明るいループを回し続ける。黒コーヒー片手に、なぜこの『叱らない音』が試行錯誤を軽く保つのか、曲作りに持ち帰れる視点で私 Doremi が分解する。

  114. 第3回
    Return of the Obra Dinn のサウンドトラック — 鳴って、退く音楽
    2026-05-31

    懐中時計をかざすと、暗転の数秒に続いて凍りついた死の場面へ落ちる。Lucas Pope が一人で書いた擬・19世紀オーケストラは、その瞬間に大きく鳴り、やがて静かに退いていく。鳴ることと黙ることのあいだに、推理の時間が置かれている。

  115. 第2回
    Outer Wilds のサウンドトラック — 音楽が攻略道具になるとき
    2026-05-30

    Andrew Prahlow が書いた Outer Wilds の音楽は、流して終わりの BGM ではない。大半は鳴らず、鳴るときは発見の合図になり、ときには楽器そのものが探索の道具になる。黒コーヒー片手に、曲作りやデザインに持ち帰れる観点で、この音楽の仕組みを私 Doremi が分解する。

  116. 第1回
    COCOON のサウンドトラック — 鳴り続けても壁紙にならない音
    2026-05-30

    Jakob Schmid が COCOON に書いた音楽は、ほぼ全編が合成音でできていて、しかも大半がリアルタイムに生成される。ループを流すのでも、無音を貫くのでもない第三の道だ。黒コーヒー片手に、なぜこの音が鳴りっぱなしでも『壁紙』にならないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。