SERIES — 連載

パズルのサウンドトラック

41 · 最新 2026-07-11 · 文: Doremi

パズルの音楽は「壁紙にならないこと」を要求される特殊なジャンルだ。自分でも音を作る Doremi が、1作品ずつサウンドトラックを聴き込み、思考を支える音の設計を言語化していく。

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連載一覧

  1. 第41回
    FRACT OSC のサウンドトラック — パズルを解くと、音楽が生えてくる
    2026-07-11

    Alex Taam(Mogi Grumbles)が FRACT OSC に書いた音楽は、完成した曲として最初から鳴っているのではない。廃墟のようなシンセサイザー世界のパズルを解くたびに、ベースが、パッドが、アルペジオが一層ずつ点いていく——プレイヤーの手が譜面を組み立てる音楽だ。全曲を C ペンタトニック・マイナーに揃えたという作曲者本人の証言を手がかりに、黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  2. 第40回
    Poly Bridge のサウンドトラック — 崩れても、叱らない音楽
    2026-07-10

    崩れる橋、やり直す指、そのぜんぶを責めないアコースティック。Adrian Talens が一本のギターで書いた『道中の音楽』を、曲づくりに持ち帰れる視点で読む。

  3. 第39回
    Maquette のサウンドトラック — 曲を書かず、選ぶという設計
    2026-07-08

    Maquette には、いわゆる劇伴がほとんどない。代わりに流れるのは、別れた二人が実際に聴いていそうな、サンフランシスコのインディー音楽家たちの本物の曲だ。入れ子の箱庭を解きながら、なぜここに歌詞つきのポップスが流れるのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『曲を書くのではなく選ぶ』という設計の意味を、自分の制作へ持ち帰れる形で分解する。

  4. 第38回
    Paradise Killer のサウンドトラック — 順番を決めるのは私だ
    2026-07-06

    Barry "Epoch" Topping が Paradise Killer に書いたのは、シティポップとヴェイパーウェイヴが溶けた24曲。開発陣いわく「特定の場面に付けた曲ではなく、一枚のアルバム」だ。順番のない自由捜査に、順番のないプレイリスト。黒コーヒー片手に、なぜこの音が『偶然の一致』で刺さるのか、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。

  5. 第37回
    Q.U.B.E. 2 のサウンドトラック — 本物そっくりの、本物でない音
    2026-07-05

    David Housden が Q.U.B.E. 2 に書いた音楽は、ピアノと弦とシンセでできた、穏やかで美しい層だ。だがその美しさには仕掛けがある。異星の構造物が地球を模倣するという設定に合わせ、彼は生の音をシンセに通して『本物そっくりの、本物でない音』を作った。黒コーヒー片手に、一人称視点パズルの思考と、この音の距離感を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  6. 第36回
    The Gardens Between のサウンドトラック — 時間を巻き戻しても、後戻りしない音
    2026-07-04

    Tim Shiel が The Gardens Between に書いた音楽は、時間を前後に巻き戻すゲームでありながら、音楽そのものは決して逆再生されない。黒コーヒー片手に、なぜ『巻き戻しても後戻りしない音』が記憶パズルに効くのか、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  7. 第35回
    INSIDE のサウンドトラック — 頭蓋骨を通した音で、頭の中の話をする
    2026-07-03

    Playdead の INSIDE の音は、本物の人間の頭蓋骨に通して録られている。Martin Stig Andersen と SØS Gunver Ryberg は、シンセの音を骨で鳴らし、脆く空洞な質感を与えた。他人の身体を乗っ取るマインドコントロールのパズルに、なぜ『頭の中で鳴る音』がこれほど効くのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。

  8. 第34回
    IMMORTALITY のサウンドトラック — 一つの主題を、その裏側ごと録る
    2026-07-02

    消えた女優の未公開映画を、映像をスクラブしながら追う——Sam Barlow / Half Mermaid の実写ミステリー IMMORTALITY に Nainita Desai が書いたのは、三本の映画それぞれに対応した三つのオーケストラ主題だ。だが本当に面白いのは、各主題が『裏返した(subverted)』版と『超常の(supernatural)』版という影を持ち、映像のメタデータに応じてどれが鳴るかが切り替わること。私 Doremi が、黒コーヒー片手に、一つの録音から双子の裏側まで作るこの設計を、自分の曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  9. 第33回
    Viewfinder のサウンドトラック — 写真を置く手つきに合わせて呼吸する音
    2026-07-01

    写真を撮って世界に貼りつけると、二次元の像がそのまま立体になる——Sad Owl Studios の Viewfinder に Aether(Jason Taylor)が書いた音楽は、この不思議な操作にせき立てず寄り添うダウンテンポだ。曲名は Lounge と Domain に分かれ、ゲームの骨格そのものを写している。作曲者が法的盲であり、耳で組み上げているという事実まで含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  10. 第32回
    Carto のサウンドトラック — 地図を並べ替えると、音楽も並べ替わる
    2026-06-30

    Eddie Yu が Carto に書いた 31 曲は、どれも短く、角が丸く、アコースティックの匂いがする。このゲームではプレイヤーが地図のタイルを並べ替えて世界そのものを組み直す。面白いのは、音楽もまた『場所』に紐づいて並べ替わることだ。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の上に流れ続けても疲れないのか、曲作りに持ち帰れる視点で私 Doremi が分解する。

  11. 第31回
    The Pedestrian のサウンドトラック — 標識の街を歩く、ジャズの足取り
    2026-06-29

    Logan Hayes が The Pedestrian に書いた音楽は、ピアノとオーケストラを背骨に、ジャズ・アンビエント・東欧的な旋律を縫い合わせた一着だ。標識のパネルを並べ替えて扉をつなぐパズルの裏で、FMOD によって途切れず姿を変え続ける。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『鳴り止まない伴走者』としての音楽を、自分の曲作りに持ち帰れる視点で分解する。

  12. 第30回
    Call of the Sea のサウンドトラック — 愛をひっくり返して二人目の主題を得る
    2026-06-28

    Eduardo de la Iglesia が Call of the Sea に書いたのは、ミニマルでも無音でもない、弦楽オーケストラの恋物語だ。妻のテーマをそっくり反転させて夫のテーマを作る「ネガティブ・メロディ」という手口を中心に、観察して組み合わせる探索パズルのテンポと、前へ引っぱる旋律の関係を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。

  13. 第29回
    The Case of the Golden Idol のサウンドトラック — 凍った時間に寄り添う灰色の音
    2026-06-27

    戦時下のリヴィウで Kyle Misko が書いた《The Case of the Golden Idol》のOST。18世紀英国の冷たさとニューエイジ・アンビエントが溶け合い、凍りついた事件現場のループに寄り添って推理を急かさない。反応しない音楽の設計と、曲作りに盗める視点を読む。

  14. 第28回
    Superliminal のサウンドトラック — 安心させる音が、いちばん怪しい
    2026-06-26

    目を覚ますと夢療法プログラムの待合室にいる。Matt Christensen が Superliminal に書いたのは、ホテルのロビーで流れていそうな、ピアニスト John Reeves の指によるラウンジ・ジャズだ。心地よさが武器になり、同時に最大の misdirection になる――遠近法で大きさが変わるこの一人称パズルと、急かさない音楽がどう噛み合うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。

  15. 第27回
    TUNIC のサウンドトラック — 説明書のページをめくるように鳴る音
    2026-06-25

    Terence Lee(Lifeformed)と Janice Kwan が TUNIC に書いた60曲は、レトロゲームの記憶を頼りにしながら、その引用に逃げない。台北の路地で録った野良猫や夏の風を素材に練り上げた、人工と有機のあいだの音だ。黒コーヒー片手に、断片を拾い集めて世界を読み解くこのゲームと音楽がどう噛み合うのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  16. 第26回
    Opus Magnum のサウンドトラック — 主張しないループ、終わらない最適化の隣で
    2026-06-24

    Zachtronics の錬金術パズル Opus Magnum で、物語と音楽の両方を書いたのは Matthew S Burns。継ぎ目なく回り続ける機械と、継ぎ目を隠したラウンジ風のループ。黒コーヒー片手に、終わらない最適化を『居心地』に変えるこの音楽を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  17. 第25回
    Obduction のサウンドトラック — 世界ごとに音色を着替える
    2026-06-23

    Myst と Riven の音楽を書いた Robyn Miller が、20年ぶりに Cyan の世界へ戻ってきた。Obduction の音楽は、世界が切り替わるたびに音色そのものを着替える。歩く映像を iPad でループさせ、ピアノで弾き当てたという作り方も含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が、自分の曲作りに持ち帰れる観点で分解する。

  18. 第24回
    Void Stranger のサウンドトラック — モノクロの迷宮に響く、貧しい音源の交響
    2026-06-22

    モノクロの Sokoban 迷宮 Void Stranger の音楽は、ありふれた MIDI 音源とチップ波形だけで荘厳さと不穏さを同居させる。作曲者 Eero Lahtinen は「解けずに同じ曲を聴き続けてもうんざりしない」ことを設計の主眼に据えた。繰り返しに耐える音作りと、思考のテンポへ寄り添う持続音を、Doremi が制作目線で読み解く。

  19. 第23回
    The Swapper のサウンドトラック — 冷凍庫とテープから生まれた宇宙
    2026-06-21

    廃墟と化した宇宙ステーション。クローンを生み、操作を入れ替えて進む The Swapper の音は、Carlo Castellano がたった一人で——音楽も効果音も——組み上げた。宇宙船の軋みは冷凍庫に突っ込んだマイクから、足音は古い VHS テープを潰す音から採られた。粘土細工の世界に手作りの音を重ねるとはどういうことか。部屋ごとに別の環境音が手続き的に鳴る設計と、即興で生まれた『Recreation』。黒コーヒー片手に、私 Doremi が拍の取れない音を分解する。

  20. 第22回
    Braid, Anniversary Edition のサウンドトラック — 逆再生に耐える音だけを選んだ
    2026-06-20

    Braid の音楽は『作曲』されていない。Jonathan Blow は作曲家を雇わず、Magnatune のチェロやハープの既成曲を選んだ。条件はただ一つ——巻き戻しても美しいこと。時間を逆流させるパズルに、逆再生して壊れない音を当てる。Anniversary Edition では LIMBO の Martin Stig Andersen が7曲を電子音響でリミックスした。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『可逆な音楽』を分解する。

  21. 第21回
    The Talos Principle 2 のサウンドトラック — 巨大さに合唱で応える
    2026-06-19

    ロボットたちが築いた都市 New Jerusalem を出て、地平に立つ巨大建造物(メガストラクチャ)へと歩いていく一人称パズル。Damjan Mravunac の音楽は管弦と電子、そして合唱で書かれていて、謎を解く小さな時間と、世界の大きさに見惚れる時間を、別々のテンポで鳴らし分けている。黒コーヒー片手に、なぜ最大の音が『歩く場面』に取ってあるのかを私 Doremi が分解する。

  22. 第20回
    Manifold Garden のサウンドトラック — 落ちても戻ってくる音
    2026-06-18

    重力を選び、底まで落ちれば天井から戻ってくる無限の建築。そこに Laryssa Okada が書いた音楽は、終止のない弦とパッドでできていて、循環する空間とよく似た作りをしている。黒コーヒー片手に、ループしているのに『繰り返し』に聞こえないこの音を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  23. 第19回
    FEZ のサウンドトラック — 8ビットを現代へ連れてきた音
    2026-06-17

    Rich Vreeland(Disasterpeace)が FEZ に書いた音楽は、チップチューンの語彙を持ちながら、リバーブとビットクラッシュで角を丸め、ニューエイジの広がりへ連れていく。高度や時間帯で姿を変える動的な音作りと、スペクトログラムに絵を隠した『音そのものが謎』という仕掛け。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  24. 第18回
    Chants of Sennaar のサウンドトラック — ことばを覚える前に、その民の音を覚える
    2026-06-16

    Thomas Brunet が Chants of Sennaar に書いた音楽は、生楽器で編まれた小さな室内楽だ。塔の各階に住む民は言葉が通じない。だが音は通じる。私 Doremi は、言語を解読するゲームの音楽が、なぜ解読より先に『その民が何者か』を教えてしまうのか、黒コーヒー片手に曲作りの観点で分解する。

  25. 第17回
    Antichamber のサウンドトラック — 進むほど層が増えていく音
    2026-06-15

    Siddhartha Barnhoorn が Antichamber に書いた音楽は、ループでも無音でもない。何枚もの薄い層がクロスフェードしながら重なり、同じ組み合わせを二度と作らないまま、奥へ進むほど厚みを増していく生きたアンビエントだ。黒コーヒー片手に、不可能な空間を歩く体験となぜこの音がほどけずに付いてくるのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  26. 第16回
    Papers, Please のサウンドトラック — 一日の頭で鳴り、あとは判子が引き継ぐ
    2026-06-13

    入国審査のブースで、書類の食い違いを探す。Lucas Pope が自分で書いた音楽は、ほんの30秒ほどの国歌だけだ。一日の頭で大袈裟に鳴り、審査が始まると引っ込む。あとを継ぐのは判子の音、紙をめくる音——プレイヤー自身が刻む拍だ。黒コーヒー片手に、この「頭で鳴らして、あとは黙る」設計を、自分の曲に持ち帰れる形で分解する。

  27. 第15回
    A Monster's Expedition のサウンドトラック — リズムは曲ではなく、君の指先にある
    2026-06-12

    木を倒し、丸太を転がして島々を渡るオープンワールド倉庫番に、Eli Rainsberry は背骨からリズムを抜いた音楽を書いた。では拍はどこへ行ったのか——UI に、つまりプレイヤーの操作音に引っ越している。ギターとピアノの15曲が思考の海をたゆたい、リズムは君の手が刻む。黒コーヒー片手に、この役割分担の設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  28. 第14回
    Blue Prince のサウンドトラック — 音楽までドラフトされた屋敷
    2026-06-11

    Blue Prince の音楽は、オランダの二人組 Trigg & Gusset によるダークジャズだ。打楽器はほぼゼロ、探索の大半は無音、音楽は特定の部屋でだけ立ち上がる。作曲家はスケッチを書き、開発者がそれを屋敷に『ドラフト』した。黒コーヒー片手に、この鳴らない設計から曲作りに盗める点を私 Doremi が探る。

  29. 第13回
    World of Goo のサウンドトラック — 積み上げる手に寄り添う、嵐の前のワルツ
    2026-06-10

    Kyle Gabler が World of Goo に書いた音楽は、ティム・バートン的なゴシック・カーニバルの匂いと、エンニオ・モリコーネの西部劇が同居している。ぷにぷにを積み上げる手の震えに、なぜこのワルツが寄り添うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。

  30. 第12回
    Unpacking のサウンドトラック — 鳴りすぎない音の置きかた
    2026-06-09

    Jeff van Dyck が Unpacking に書いた音楽は、角を丸めたチップチューンにアコースティックギターとピアノを重ねた、不思議と『鳴りすぎない』スコアだ。失敗もタイマーもないパズルに、音楽は何をして、何をしないのか。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  31. 第11回
    Gorogoa のサウンドトラック — タイルが重なるたび、音も重なる
    2026-06-08

    Joel Corelitz が Gorogoa に書いた音楽は、メロディもコードもほとんど立てず、テクスチャだけで「その場所の感情」を置いていく。しかも一枚一枚のタイルに紐づいた小さな曲が、重なり方のルールを持って組み合わさる——絵を並べ替えるパズルそのものが、音でも起きている。黒コーヒー片手に、私 Doremi がその設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。

  32. 第10回
    The Talos Principle のサウンドトラック — 楽園は一本の持続音でできている
    2026-06-07

    Serious Sam の爆音を16年書いてきた Croteam の Damjan Mravunac が、哲学パズルのために選んだのは、リズムもメロディも意識的に手放した一本の長い持続音だった。聖歌が漂う偽物の楽園で、なぜこの音楽は14時間聴いても飽きないのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が二層構造の設計図を読み解く。

  33. 第9回
    Portal 2 のサウンドトラック — 解くほどに鳴る、機械が書いた音楽
    2026-06-06

    Mike Morasky が Portal 2 に書いた音楽は、流して聴くものではなく『解いている最中に組み上がっていく』。Aerial Faith Plate を踏み、Excursion Funnel に乗るたびに音が一段ずつ増える。黒コーヒー片手に、なぜこの曲が『機械が作曲したように聞こえる』のか、そして自分の制作に何を盗めるのかを私 Doremi が分解する。

  34. 第8回
    LIMBO のサウンドトラック — 身元を消された音だけが残る
    2026-06-05

    LIMBO の音響を一人で担った Martin Stig Andersen は、アクースマティック音楽の出身だ。音の『身元』を歪め、感情を操作する音楽を拒むことで、シルエットの世界に音の影を重ねた。死んで覚えるパズルを邪魔しない『リトライ耐性のある音楽』とは何か。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。

  35. 第7回
    Machinarium のサウンドトラック — 錆びた世界で、ループを飽きさせない算術
    2026-06-04

    Amanita Design の台詞ゼロの手描きアドベンチャー Machinarium に、Tomáš Dvořák (Floex) が書いた音楽は、ピアノとクラリネットの体温に、汚れたアナログシンセと廃材の金属音が混ざった不思議な合金だ。同じ画面を何分も睨むゲームで、なぜこのループは耳に残り続けるのか。黒コーヒー片手に、『抽象とメロディの配合比』という観点で私 Doremi が分解する。

  36. 第6回
    Patrick's Parabox のサウンドトラック — 箱が増えるたびに音がほどける
    2026-06-03

    Priscilla Snow が再帰倉庫番 Patrick's Parabox に書いた音楽は、電子音とアンビエントのあいだに腰を据えた、穏やかで問いかけるような伴奏だ。新しい仕組みが現れるたびに音色が更新され、曲名はそのままメカニクスの名前になっている。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の邪魔をしないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。

  37. 第5回
    Lorelei and the Laser Eyes のサウンドトラック — ホテルの闇に差すピアノ
    2026-06-02

    Simogo の難解な観察パズル『Lorelei and the Laser Eyes』。Daniel Olsén らが書いた音楽は、Debussy と Satie を下敷きにしたピアノを中心に、デジタルとアコースティックを溶かし合う。長考に効く音の置き方と、画づくりとの隠れた一致を、Doremi が曲作りの目線で読み解く。

  38. 第4回
    Baba Is You のサウンドトラック — 何度間違えても叱らない、小さなループ
    2026-06-01

    Baba Is You の音楽は、ゲームを丸ごと一人で作った Arvi 'Hempuli' Teikari がトラッカー(OpenMPT)で書いたチップチューンだ。何百回とリトライするゲームなのに、音楽は勝ちも負けも告げず、ただ明るいループを回し続ける。黒コーヒー片手に、なぜこの『叱らない音』が試行錯誤を軽く保つのか、曲作りに持ち帰れる視点で私 Doremi が分解する。

  39. 第3回
    Return of the Obra Dinn のサウンドトラック — 鳴って、退く音楽
    2026-05-31

    懐中時計をかざすと、暗転の数秒に続いて凍りついた死の場面へ落ちる。Lucas Pope が一人で書いた擬・19世紀オーケストラは、その瞬間に大きく鳴り、やがて静かに退いていく。鳴ることと黙ることのあいだに、推理の時間が置かれている。

  40. 第2回
    Outer Wilds のサウンドトラック — 音楽が攻略道具になるとき
    2026-05-30

    Andrew Prahlow が書いた Outer Wilds の音楽は、流して終わりの BGM ではない。大半は鳴らず、鳴るときは発見の合図になり、ときには楽器そのものが探索の道具になる。黒コーヒー片手に、曲作りやデザインに持ち帰れる観点で、この音楽の仕組みを私 Doremi が分解する。

  41. 第1回
    COCOON のサウンドトラック — 鳴り続けても壁紙にならない音
    2026-05-30

    Jakob Schmid が COCOON に書いた音楽は、ほぼ全編が合成音でできていて、しかも大半がリアルタイムに生成される。ループを流すのでも、無音を貫くのでもない第三の道だ。黒コーヒー片手に、なぜこの音が鳴りっぱなしでも『壁紙』にならないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。