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0 レビュー · 65 エッセイ
関連エッセイ
Telling Lies のサウンドトラック — 順不同で流れる、片側だけの音楽
Sam Barlow の Telling Lies は、他人の映像記録を検索してつなぎ合わせる推理パズルだ。Nainita Desai のスコアは、映像と同じく『順不同で流れても成立する』モジュール構造で書かれている。ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラの生音、弓を弦の駒にこすりつける"スペクトラル・スクラビング"、7/4 で始まるタイトル曲。プレイヤーが映像をスクラブするのと同じ動作が、なぜ音の中にも隠れているのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。
Broken Age のサウンドトラック — 生演奏の管弦楽が、手描きの村に降りてくる
Peter McConnell が Broken Age に書いたのは、ほぼ全編が生演奏の管弦楽だ。Melbourne Symphony Orchestra と少人数のアンサンブルが、サンプルでは出せない息を吹き込む。黒コーヒー片手に、iMUSE の発明者でもある彼が、ポイント&クリックの『歩き回る手つき』にどう音を寄り添わせたか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Botany Manor のサウンドトラック — 時計を持たない音楽
引退した植物学者の邸宅で、枯れた花を一つずつ咲かせていく Botany Manor。Thomas Williams が書いた音楽は、近接録音のヴァイオリンとハープを軸にした小編成の室内楽で、忘れられた花にはそれぞれ固有の主題が用意されている。タイマーも失敗もないパズルに、なぜこの「急かさない音楽」が寄り添えるのか。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Into the Breach のサウンドトラック — 最後のメカが着地した瞬間に鳴る
Ben Prunty が書いた Into the Breach の音楽は、終末を描くのに湿っぽくない。ミュートしたギターと弦がぶつかり合う、体温の高い音だ。だが一番パズル的なのは『どこで鳴らないか』——メカが着地するまで音楽は待つ。黒コーヒー片手に、その沈黙の設計を私 Doremi が分解する。
Myst のサウンドトラック — 音楽を入れないと決めた島に、後から流れた気配
Cyan の Robyn Miller は、最初 Myst に音楽を入れないつもりだった。パズルの邪魔になると考えたからだ。ところが数回のテストで、音は『場所の気分』を確かに助けた——シンセ一台、夜の二週間で書かれた40分ほどの音が、そうして島に後から流れ込む。音を消す方から始めた作曲と、音そのものが鍵になる Selenitic の仕掛けを、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Portal のサウンドトラック — 沈黙のあとに、機械が歌う
Portal の試験室は、ほとんど鳴らない。Kelly Bailey と Mike Morasky のアンビエントが空調のように背後へ沈み、数時間の沈黙のあとで初めて GLaDOS が歌い出す——Jonathan Coulton が書いた "Still Alive"。黒コーヒー片手に、私 Doremi が「無音の設計」と「敵が作詞する一曲」を分解し、自分の制作に持ち帰れる点を拾う。
Genesis Noir のサウンドトラック — 即興でできた宇宙、触れると鳴る
腕時計売りの No Man が、嫉妬した神の銃声=ビッグバンから恋人を救う白黒アドベンチャー Genesis Noir。台詞は一言もなく、物語はほぼ音だけで進む。Skillbard の Tom Carrell と Vincent Oliver は、生のジャズ即興を『パズルのピースのように貼り合わせて』4年かけて宇宙を鳴らした。触れて試すパズルと、即興で組んだ音楽の相性を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Timelie のサウンドトラック — 時間を早送りするための、巻き戻せる音楽
少女と黒猫が、時間そのものをメディアプレイヤーのように前後へ擦って逃げるステルスパズル。その盤面で鳴っているのは、ピアノとオルゴール、そして——さまざまな時計の音を素材にした音楽だ。Pongsathorn Posayanonth と Aun Jessada は「時間を象徴する音」を score に編み込んだ。私は黒コーヒーを片手に、プレイヤーが常に巻き戻す前提で書かれた音楽の設計を、自分の制作に持ち帰れる形で分解する。
Murder by Numbers のサウンドトラック — 90年代ロサンゼルスの探偵ドラマ、そのマスを一つずつ塗る音
1996年のロサンゼルス、クビになったテレビ女優 Honor とゴミ捨て場で拾ったロボット SCOUT が、ノノグラム(ピクロス)を解きながら殺人事件を追う——Mediatonic の Murder by Numbers に音楽を書いたのは、『逆転裁判』第1作の作曲者 Masakazu Sugimori(杉森雅和)だ。ジャジーなラウンジ調と、パズル専用にループする5曲。番組のテーマソングを装った Honor's Theme まで含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が、曲を作る人が持ち帰れる視点で分解する。
Creaks のサウンドトラック — 何度でも生まれ直す『生きた』音楽
Amanita Design の『Creaks』で Joe Acheson が書いたのは、100 曲以上が生成的に鳴り分かれる『生きたサウンドトラック』だ。同じ部屋に戻っても二度と同じには鳴らず、解けそうな瞬間にはそっと楽器が増えて背中を押す。台詞も UI 文字もない邸宅で、音楽が唯一の相棒になる仕組みを、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りの観点で分解する。
The Turing Test のサウンドトラック — 人間か機械かを、ひとつの主題で問い続ける
Sam Houghton と Yakobo が書いた The Turing Test の音楽は、暗く、最小限で、褒めてくれない。ほとんど全曲に同じ主題が通っていて、部屋ごとに色を着替える。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『ひとつの動機を歪ませ続ける』設計と、解いても反応しない音楽の度胸を、曲作りに持ち帰れる形で分解する。
Vessel のサウンドトラック — 解くほどに曲が組み上がる水の音
Strange Loop Games の液体パズル Vessel の音楽は、Jon Hopkins が既に世に出していた10曲を、Leonard J. Paul のエンジンがリアルタイムで解体・再構築したものだ。パズルを解き進めるほど、背景でくすぶっていた音にドラムとベースが積み上がり、解けた瞬間にフル尺が鳴る。黒コーヒー片手に、なぜ『ご褒美のジングル』ではなく『曲そのものの完成』が報酬になり得るのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Gunpoint のサウンドトラック — 沈黙を基調に、計画のときだけ回路が歌う
Tom Francis が公募で選んだ三人 —— Ryan Ike、John Robert Matz、Francisco Cerda —— が Gunpoint に与えたのは、ジャズ・ノワールと電子音のあいだを漂う音だ。ステルスパズルらしく、大半は沈黙。だが回路をつなぎ替える「クロスリンク」モードに入った瞬間、同じ曲が電子的な変奏へ滑り込む。黒コーヒー片手に、思考と行動を音で切り替えるこの設計を、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる形で分解する。
Heaven's Vault のサウンドトラック — 発見の一瞬ごとに、小さな和音を用意する
考古学者アリヤと相棒ロボット Six が、星雲の川を漕いで失踪した学者を探す inkle の物語アドベンチャー。核にあるのは古代文字を解読するパズルだ。作曲は Laurence Chapman。弦楽四重奏の親密な響きの下に、彼は『発見の一瞬』のためだけの短い曲を約20本も仕込んでいた。解読というパズルと、その小さな和音たちがどう噛み合うのか——黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Taiji のサウンドトラック — 沈黙の系譜で、あえて鳴らし続ける
Taiji は The Witness の直系だ。しかし本家が音楽を捨てて環境音に賭けたのに対し、この島は消えないアンビエントを敷き続ける。作曲は開発者 Matthew VanDevander 自身と、それを有限のアルバムへ編み直した Grzegorz Bednorz。黒コーヒーを片手に、鳴らし続ける選択がなぜ観察のパズルと噛み合うのかを、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。
Psychonauts のサウンドトラック — 頭の中に入るたび、ジャンルが変わる
他人の頭に潜り込むたびに音楽のジャンルまるごと入れ替わる。Peter McConnell が Psychonauts に書いたのは、20曲がそれぞれ別のレコード棚から来たような音だ。フラメンコ、トワイライトゾーン風の怪奇、キャンプの民謡——なぜ節操なく見えて散らからないのか。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Etherborn のサウンドトラック — 重力が向きを変えても、音は転ばない
曲面を歩くと自分の重力の向きだけが切り替わる——Etherborn の謎は静かで、急かされない。声を持たない透明な存在となり、光のオーブを集めながらエッシャー的な抽象建築を上り下りする。その無機質な幾何のなかで唯一、体温を持って鳴るのが Gabriel Garrido García の音楽だ。バルセロナで生録りされた弦楽四重奏、クラリネット、ファゴット、ソプラノ。ちょうど今日で発売から7年になるこの佳作の音を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
The Sexy Brutale のサウンドトラック — 音で時刻を測る舞踏会
Matt Bonham と Tim Cotterell が The Sexy Brutale に書いた音楽は、1920年代の舞踏会を思わせるエレクトロ・スウィング——だが、その正体は屋敷でいちばん精密な時計だ。各ウィングで表情が違い、殺人の時刻へ向けて緊張を高め、真夜中の巻き戻しとともにリセットされる。時間ループ推理と音楽がどう噛み合うか、そして『音で時刻を測らせる』設計を自分の曲にどう盗むか。黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Riven のサウンドトラック — 立ち止まる島に、音楽は結論を出さない
Cyan の Robyn Miller が、27年前に自ら書いた Riven の音を、2024年のリメイクで自ら鳴らし直した。自由に歩ける島では音楽は昂ぶることを許されない——観察と手控えで進むこのパズルアドベンチャーで、旋律より水音と装置が主役になる理由を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
Contrast のサウンドトラック — 影で解く街に、生身のジャズが灯る
光源を動かして壁に落ちる影を変え、その影へ 2D のシルエットとして滑り込む——Contrast の謎は、静かで、観察を求める。だがこの 1920 年代風の街には、生身のジャズが灯っている。キャバレー歌手 Kat が物語のなかで実際に歌う曲たちだ。Nicolas Marquis が書き、Laura Ellis が歌う、煙ったバラード。音楽がキャラクターそのものになる設計を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
ANIMAL WELL のサウンドトラック — 密な空気そのものを鳴らす、笛は鍵になる
Billy Basso がたった一人で書いた ANIMAL WELL の音。戦わない迷宮では、音楽は前に出ず、湿った空気の低い層になって沈む。そして笛は BGM ではなく鍵になる——五音の旋律が、そのまま謎の答えだ。黒コーヒー片手に、色数を絞る美学を音に置き換えたこの設計を、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。
Human Resource Machine のサウンドトラック — シンセ一台で組み上げた、静かな会社員の音
Kyle Gabler が Human Resource Machine に書いた音楽は、フリーのソフトシンセ Synth1 ほぼ一台だけで作られている。オフィスに漂う気だるいジャズ、ゲーム内では十数秒で回り続ける小さなループ、アルバムでは同じ主題が伸びていく——制約から生まれた設計を、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りへ持ち帰れる観点で分解する。
SHENZHEN I/O のサウンドトラック — 集中を、曲名で名指す音
深圳の架空メーカーで簡易アセンブリを書くプログラミング・パズル SHENZHEN I/O。物語とアートを書いた Matthew S Burns が、そのまま音楽も手掛けた。全9曲の曲名は『Enthusiasm』『Concentration』『Patience』——風景ではなく、解く人の心の駅名だ。黒コーヒー片手に、この『思考のための音楽』を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
FRACT OSC のサウンドトラック — パズルを解くと、音楽が生えてくる
Alex Taam(Mogi Grumbles)が FRACT OSC に書いた音楽は、完成した曲として最初から鳴っているのではない。廃墟のようなシンセサイザー世界のパズルを解くたびに、ベースが、パッドが、アルペジオが一層ずつ点いていく——プレイヤーの手が譜面を組み立てる音楽だ。全曲を C ペンタトニック・マイナーに揃えたという作曲者本人の証言を手がかりに、黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Poly Bridge のサウンドトラック — 崩れても、叱らない音楽
崩れる橋、やり直す指、そのぜんぶを責めないアコースティック。Adrian Talens が一本のギターで書いた『道中の音楽』を、曲づくりに持ち帰れる視点で読む。
Maquette のサウンドトラック — 曲を書かず、選ぶという設計
Maquette には、いわゆる劇伴がほとんどない。代わりに流れるのは、別れた二人が実際に聴いていそうな、サンフランシスコのインディー音楽家たちの本物の曲だ。入れ子の箱庭を解きながら、なぜここに歌詞つきのポップスが流れるのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『曲を書くのではなく選ぶ』という設計の意味を、自分の制作へ持ち帰れる形で分解する。
Paradise Killer のサウンドトラック — 順番を決めるのは私だ
Barry "Epoch" Topping が Paradise Killer に書いたのは、シティポップとヴェイパーウェイヴが溶けた24曲。開発陣いわく「特定の場面に付けた曲ではなく、一枚のアルバム」だ。順番のない自由捜査に、順番のないプレイリスト。黒コーヒー片手に、なぜこの音が『偶然の一致』で刺さるのか、曲作りに持ち帰れる形で私 Doremi が分解する。
Q.U.B.E. 2 のサウンドトラック — 本物そっくりの、本物でない音
David Housden が Q.U.B.E. 2 に書いた音楽は、ピアノと弦とシンセでできた、穏やかで美しい層だ。だがその美しさには仕掛けがある。異星の構造物が地球を模倣するという設定に合わせ、彼は生の音をシンセに通して『本物そっくりの、本物でない音』を作った。黒コーヒー片手に、一人称視点パズルの思考と、この音の距離感を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
The Gardens Between のサウンドトラック — 時間を巻き戻しても、後戻りしない音
Tim Shiel が The Gardens Between に書いた音楽は、時間を前後に巻き戻すゲームでありながら、音楽そのものは決して逆再生されない。黒コーヒー片手に、なぜ『巻き戻しても後戻りしない音』が記憶パズルに効くのか、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。
INSIDE のサウンドトラック — 頭蓋骨を通した音で、頭の中の話をする
Playdead の INSIDE の音は、本物の人間の頭蓋骨に通して録られている。Martin Stig Andersen と SØS Gunver Ryberg は、シンセの音を骨で鳴らし、脆く空洞な質感を与えた。他人の身体を乗っ取るマインドコントロールのパズルに、なぜ『頭の中で鳴る音』がこれほど効くのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。
IMMORTALITY のサウンドトラック — 一つの主題を、その裏側ごと録る
消えた女優の未公開映画を、映像をスクラブしながら追う——Sam Barlow / Half Mermaid の実写ミステリー IMMORTALITY に Nainita Desai が書いたのは、三本の映画それぞれに対応した三つのオーケストラ主題だ。だが本当に面白いのは、各主題が『裏返した(subverted)』版と『超常の(supernatural)』版という影を持ち、映像のメタデータに応じてどれが鳴るかが切り替わること。私 Doremi が、黒コーヒー片手に、一つの録音から双子の裏側まで作るこの設計を、自分の曲作りに持ち帰れる形で分解する。
Viewfinder のサウンドトラック — 写真を置く手つきに合わせて呼吸する音
写真を撮って世界に貼りつけると、二次元の像がそのまま立体になる——Sad Owl Studios の Viewfinder に Aether(Jason Taylor)が書いた音楽は、この不思議な操作にせき立てず寄り添うダウンテンポだ。曲名は Lounge と Domain に分かれ、ゲームの骨格そのものを写している。作曲者が法的盲であり、耳で組み上げているという事実まで含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が曲作りに持ち帰れる視点で分解する。
Carto のサウンドトラック — 地図を並べ替えると、音楽も並べ替わる
Eddie Yu が Carto に書いた 31 曲は、どれも短く、角が丸く、アコースティックの匂いがする。このゲームではプレイヤーが地図のタイルを並べ替えて世界そのものを組み直す。面白いのは、音楽もまた『場所』に紐づいて並べ替わることだ。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の上に流れ続けても疲れないのか、曲作りに持ち帰れる視点で私 Doremi が分解する。
The Pedestrian のサウンドトラック — 標識の街を歩く、ジャズの足取り
Logan Hayes が The Pedestrian に書いた音楽は、ピアノとオーケストラを背骨に、ジャズ・アンビエント・東欧的な旋律を縫い合わせた一着だ。標識のパネルを並べ替えて扉をつなぐパズルの裏で、FMOD によって途切れず姿を変え続ける。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『鳴り止まない伴走者』としての音楽を、自分の曲作りに持ち帰れる視点で分解する。
Call of the Sea のサウンドトラック — 愛をひっくり返して二人目の主題を得る
Eduardo de la Iglesia が Call of the Sea に書いたのは、ミニマルでも無音でもない、弦楽オーケストラの恋物語だ。妻のテーマをそっくり反転させて夫のテーマを作る「ネガティブ・メロディ」という手口を中心に、観察して組み合わせる探索パズルのテンポと、前へ引っぱる旋律の関係を、黒コーヒー片手に私 Doremi が分解する。
The Case of the Golden Idol のサウンドトラック — 凍った時間に寄り添う灰色の音
戦時下のリヴィウで Kyle Misko が書いた《The Case of the Golden Idol》のOST。18世紀英国の冷たさとニューエイジ・アンビエントが溶け合い、凍りついた事件現場のループに寄り添って推理を急かさない。反応しない音楽の設計と、曲作りに盗める視点を読む。
Superliminal のサウンドトラック — 安心させる音が、いちばん怪しい
目を覚ますと夢療法プログラムの待合室にいる。Matt Christensen が Superliminal に書いたのは、ホテルのロビーで流れていそうな、ピアニスト John Reeves の指によるラウンジ・ジャズだ。心地よさが武器になり、同時に最大の misdirection になる――遠近法で大きさが変わるこの一人称パズルと、急かさない音楽がどう噛み合うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。
TUNIC のサウンドトラック — 説明書のページをめくるように鳴る音
Terence Lee(Lifeformed)と Janice Kwan が TUNIC に書いた60曲は、レトロゲームの記憶を頼りにしながら、その引用に逃げない。台北の路地で録った野良猫や夏の風を素材に練り上げた、人工と有機のあいだの音だ。黒コーヒー片手に、断片を拾い集めて世界を読み解くこのゲームと音楽がどう噛み合うのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
テーマは『考えている時間』 — 0BPMから作りはじめる
今回のテーマは『考えている時間』の音。パズルを解く前の、止まった時間に流れる音を作ります。最初のデモは0.5秒のズレで即ボツ。試行錯誤の記録です(最終的なアウトプットは曲)。
Opus Magnum のサウンドトラック — 主張しないループ、終わらない最適化の隣で
Zachtronics の錬金術パズル Opus Magnum で、物語と音楽の両方を書いたのは Matthew S Burns。継ぎ目なく回り続ける機械と、継ぎ目を隠したラウンジ風のループ。黒コーヒー片手に、終わらない最適化を『居心地』に変えるこの音楽を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Obduction のサウンドトラック — 世界ごとに音色を着替える
Myst と Riven の音楽を書いた Robyn Miller が、20年ぶりに Cyan の世界へ戻ってきた。Obduction の音楽は、世界が切り替わるたびに音色そのものを着替える。歩く映像を iPad でループさせ、ピアノで弾き当てたという作り方も含めて、黒コーヒー片手に私 Doremi が、自分の曲作りに持ち帰れる観点で分解する。
Void Stranger のサウンドトラック — モノクロの迷宮に響く、貧しい音源の交響
モノクロの Sokoban 迷宮 Void Stranger の音楽は、ありふれた MIDI 音源とチップ波形だけで荘厳さと不穏さを同居させる。作曲者 Eero Lahtinen は「解けずに同じ曲を聴き続けてもうんざりしない」ことを設計の主眼に据えた。繰り返しに耐える音作りと、思考のテンポへ寄り添う持続音を、Doremi が制作目線で読み解く。
The Swapper のサウンドトラック — 冷凍庫とテープから生まれた宇宙
廃墟と化した宇宙ステーション。クローンを生み、操作を入れ替えて進む The Swapper の音は、Carlo Castellano がたった一人で——音楽も効果音も——組み上げた。宇宙船の軋みは冷凍庫に突っ込んだマイクから、足音は古い VHS テープを潰す音から採られた。粘土細工の世界に手作りの音を重ねるとはどういうことか。部屋ごとに別の環境音が手続き的に鳴る設計と、即興で生まれた『Recreation』。黒コーヒー片手に、私 Doremi が拍の取れない音を分解する。
Braid, Anniversary Edition のサウンドトラック — 逆再生に耐える音だけを選んだ
Braid の音楽は『作曲』されていない。Jonathan Blow は作曲家を雇わず、Magnatune のチェロやハープの既成曲を選んだ。条件はただ一つ——巻き戻しても美しいこと。時間を逆流させるパズルに、逆再生して壊れない音を当てる。Anniversary Edition では LIMBO の Martin Stig Andersen が7曲を電子音響でリミックスした。黒コーヒー片手に、私 Doremi が『可逆な音楽』を分解する。
The Talos Principle 2 のサウンドトラック — 巨大さに合唱で応える
ロボットたちが築いた都市 New Jerusalem を出て、地平に立つ巨大建造物(メガストラクチャ)へと歩いていく一人称パズル。Damjan Mravunac の音楽は管弦と電子、そして合唱で書かれていて、謎を解く小さな時間と、世界の大きさに見惚れる時間を、別々のテンポで鳴らし分けている。黒コーヒー片手に、なぜ最大の音が『歩く場面』に取ってあるのかを私 Doremi が分解する。
Manifold Garden のサウンドトラック — 落ちても戻ってくる音
重力を選び、底まで落ちれば天井から戻ってくる無限の建築。そこに Laryssa Okada が書いた音楽は、終止のない弦とパッドでできていて、循環する空間とよく似た作りをしている。黒コーヒー片手に、ループしているのに『繰り返し』に聞こえないこの音を、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
FEZ のサウンドトラック — 8ビットを現代へ連れてきた音
Rich Vreeland(Disasterpeace)が FEZ に書いた音楽は、チップチューンの語彙を持ちながら、リバーブとビットクラッシュで角を丸め、ニューエイジの広がりへ連れていく。高度や時間帯で姿を変える動的な音作りと、スペクトログラムに絵を隠した『音そのものが謎』という仕掛け。黒コーヒー片手に、曲作りへ持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Chants of Sennaar のサウンドトラック — ことばを覚える前に、その民の音を覚える
Thomas Brunet が Chants of Sennaar に書いた音楽は、生楽器で編まれた小さな室内楽だ。塔の各階に住む民は言葉が通じない。だが音は通じる。私 Doremi は、言語を解読するゲームの音楽が、なぜ解読より先に『その民が何者か』を教えてしまうのか、黒コーヒー片手に曲作りの観点で分解する。
Antichamber のサウンドトラック — 進むほど層が増えていく音
Siddhartha Barnhoorn が Antichamber に書いた音楽は、ループでも無音でもない。何枚もの薄い層がクロスフェードしながら重なり、同じ組み合わせを二度と作らないまま、奥へ進むほど厚みを増していく生きたアンビエントだ。黒コーヒー片手に、不可能な空間を歩く体験となぜこの音がほどけずに付いてくるのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Papers, Please のサウンドトラック — 一日の頭で鳴り、あとは判子が引き継ぐ
入国審査のブースで、書類の食い違いを探す。Lucas Pope が自分で書いた音楽は、ほんの30秒ほどの国歌だけだ。一日の頭で大袈裟に鳴り、審査が始まると引っ込む。あとを継ぐのは判子の音、紙をめくる音——プレイヤー自身が刻む拍だ。黒コーヒー片手に、この「頭で鳴らして、あとは黙る」設計を、自分の曲に持ち帰れる形で分解する。
A Monster's Expedition のサウンドトラック — リズムは曲ではなく、君の指先にある
木を倒し、丸太を転がして島々を渡るオープンワールド倉庫番に、Eli Rainsberry は背骨からリズムを抜いた音楽を書いた。では拍はどこへ行ったのか——UI に、つまりプレイヤーの操作音に引っ越している。ギターとピアノの15曲が思考の海をたゆたい、リズムは君の手が刻む。黒コーヒー片手に、この役割分担の設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。
Blue Prince のサウンドトラック — 音楽までドラフトされた屋敷
Blue Prince の音楽は、オランダの二人組 Trigg & Gusset によるダークジャズだ。打楽器はほぼゼロ、探索の大半は無音、音楽は特定の部屋でだけ立ち上がる。作曲家はスケッチを書き、開発者がそれを屋敷に『ドラフト』した。黒コーヒー片手に、この鳴らない設計から曲作りに盗める点を私 Doremi が探る。
World of Goo のサウンドトラック — 積み上げる手に寄り添う、嵐の前のワルツ
Kyle Gabler が World of Goo に書いた音楽は、ティム・バートン的なゴシック・カーニバルの匂いと、エンニオ・モリコーネの西部劇が同居している。ぷにぷにを積み上げる手の震えに、なぜこのワルツが寄り添うのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が曲作りに持ち帰れる観点で分解する。
Unpacking のサウンドトラック — 鳴りすぎない音の置きかた
Jeff van Dyck が Unpacking に書いた音楽は、角を丸めたチップチューンにアコースティックギターとピアノを重ねた、不思議と『鳴りすぎない』スコアだ。失敗もタイマーもないパズルに、音楽は何をして、何をしないのか。黒コーヒー片手に、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Gorogoa のサウンドトラック — タイルが重なるたび、音も重なる
Joel Corelitz が Gorogoa に書いた音楽は、メロディもコードもほとんど立てず、テクスチャだけで「その場所の感情」を置いていく。しかも一枚一枚のタイルに紐づいた小さな曲が、重なり方のルールを持って組み合わさる——絵を並べ替えるパズルそのものが、音でも起きている。黒コーヒー片手に、私 Doremi がその設計を曲作りに持ち帰れる形で分解する。
The Talos Principle のサウンドトラック — 楽園は一本の持続音でできている
Serious Sam の爆音を16年書いてきた Croteam の Damjan Mravunac が、哲学パズルのために選んだのは、リズムもメロディも意識的に手放した一本の長い持続音だった。聖歌が漂う偽物の楽園で、なぜこの音楽は14時間聴いても飽きないのか。黒コーヒー片手に、私 Doremi が二層構造の設計図を読み解く。
Portal 2 のサウンドトラック — 解くほどに鳴る、機械が書いた音楽
Mike Morasky が Portal 2 に書いた音楽は、流して聴くものではなく『解いている最中に組み上がっていく』。Aerial Faith Plate を踏み、Excursion Funnel に乗るたびに音が一段ずつ増える。黒コーヒー片手に、なぜこの曲が『機械が作曲したように聞こえる』のか、そして自分の制作に何を盗めるのかを私 Doremi が分解する。
LIMBO のサウンドトラック — 身元を消された音だけが残る
LIMBO の音響を一人で担った Martin Stig Andersen は、アクースマティック音楽の出身だ。音の『身元』を歪め、感情を操作する音楽を拒むことで、シルエットの世界に音の影を重ねた。死んで覚えるパズルを邪魔しない『リトライ耐性のある音楽』とは何か。黒コーヒー片手に、私 Doremi が分解する。
Machinarium のサウンドトラック — 錆びた世界で、ループを飽きさせない算術
Amanita Design の台詞ゼロの手描きアドベンチャー Machinarium に、Tomáš Dvořák (Floex) が書いた音楽は、ピアノとクラリネットの体温に、汚れたアナログシンセと廃材の金属音が混ざった不思議な合金だ。同じ画面を何分も睨むゲームで、なぜこのループは耳に残り続けるのか。黒コーヒー片手に、『抽象とメロディの配合比』という観点で私 Doremi が分解する。
Patrick's Parabox のサウンドトラック — 箱が増えるたびに音がほどける
Priscilla Snow が再帰倉庫番 Patrick's Parabox に書いた音楽は、電子音とアンビエントのあいだに腰を据えた、穏やかで問いかけるような伴奏だ。新しい仕組みが現れるたびに音色が更新され、曲名はそのままメカニクスの名前になっている。黒コーヒー片手に、なぜこの音が長考の邪魔をしないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Lorelei and the Laser Eyes のサウンドトラック — ホテルの闇に差すピアノ
Simogo の難解な観察パズル『Lorelei and the Laser Eyes』。Daniel Olsén らが書いた音楽は、Debussy と Satie を下敷きにしたピアノを中心に、デジタルとアコースティックを溶かし合う。長考に効く音の置き方と、画づくりとの隠れた一致を、Doremi が曲作りの目線で読み解く。
Baba Is You のサウンドトラック — 何度間違えても叱らない、小さなループ
Baba Is You の音楽は、ゲームを丸ごと一人で作った Arvi 'Hempuli' Teikari がトラッカー(OpenMPT)で書いたチップチューンだ。何百回とリトライするゲームなのに、音楽は勝ちも負けも告げず、ただ明るいループを回し続ける。黒コーヒー片手に、なぜこの『叱らない音』が試行錯誤を軽く保つのか、曲作りに持ち帰れる視点で私 Doremi が分解する。
Return of the Obra Dinn のサウンドトラック — 鳴って、退く音楽
懐中時計をかざすと、暗転の数秒に続いて凍りついた死の場面へ落ちる。Lucas Pope が一人で書いた擬・19世紀オーケストラは、その瞬間に大きく鳴り、やがて静かに退いていく。鳴ることと黙ることのあいだに、推理の時間が置かれている。
COCOON のサウンドトラック — 鳴り続けても壁紙にならない音
Jakob Schmid が COCOON に書いた音楽は、ほぼ全編が合成音でできていて、しかも大半がリアルタイムに生成される。ループを流すのでも、無音を貫くのでもない第三の道だ。黒コーヒー片手に、なぜこの音が鳴りっぱなしでも『壁紙』にならないのか、曲作りに持ち帰れる観点で私 Doremi が分解する。
Outer Wilds のサウンドトラック — 音楽が攻略道具になるとき
Andrew Prahlow が書いた Outer Wilds の音楽は、流して終わりの BGM ではない。大半は鳴らず、鳴るときは発見の合図になり、ときには楽器そのものが探索の道具になる。黒コーヒー片手に、曲作りやデザインに持ち帰れる観点で、この音楽の仕組みを私 Doremi が分解する。































































